伯備新幹線開通により第三セクター化されるのはどの区間か? 総社以北が対象となりそうです。

Urara(伯備線) 整備新幹線

 岡山と山陰とを結ぶ伯備新幹線の計画があります。この区間は岡山県と鳥取県の県境付近の普通列車の利用客が極めて少なく新見駅から生山駅の区間は普通に考えれば廃線となりそうな状況となっています。しかし、4往復とはいえ貨物輸送がある事と岡山地区の気動車の検査の回送を伯備線経由で起こっていることから路線として残す必要があるため、経営分離され第三セクターとして残ると考えられます。そこでどういう形で経営分離されるか検討してみたいと思います。

伯備新幹線のついて

ルートはどうなるか

 2019年(令和元年)に、京都大学大学院の藤井 聡教授が発表したものがあり私もおおむねこのルートで建設されるものと思っています。

山陰縦貫・超高速鉄道実現による経済的・社会的効果 京都大学 藤井聡教授より引用

 このルートでは、倉敷駅・総社駅停車は避け、現在の吉備線のルートの北側を通る計画となっています。倉敷駅を通ると新幹線の建設において、駅の北側のカーブにより大きなタイムロスが生じる事と路線距離が長くなることを考えるとやむを得ないことだと思います。

 一方、生山駅および根雨駅については、路線距離を短くすることおよび利用者の観点で停車駅から外されたものだと思われます。

並行在来線はどことなるか

 並行在来線については、伯備新幹線は「やくも」の代わりに運行されるものですので倉敷駅から出雲市駅(伯備線および山陰本線)が該当するものと思われます。山陰本線についても山陰新幹線が建設されればどちらにしても山陰新幹線の並行在来線に該当すると思われます。

経営分離について

伯備線の輸送密度

 伯備線の輸送密度を示します(「やくも」利用者を含む)。

2013201720232024
倉敷~備中高梁11,78911,1469,3669,443
備中高梁~新見5,5264,8944,0804,376
新見~伯耆大山4,4953,8952,9333,234

 2024年は、273系「やくも」導入による乗客増で増えていますが減少が続きこの先もこの傾向は続くと予想されます。

JR西日本が路線を残す基準について

 芸備線の再構築協議会で、広島駅~下深川駅の輸送密度が約10,000あるにも関わらず赤字になっているという発言がありましたので輸送密度10,000を越えていないと経営分離されるのではないかと思われます。

 そこから考えると、普通列車の輸送密度が10,000を越えているのは、倉敷駅~総社駅間だけとなります。公式には、発表されていませんが2022年度の駅の利用者数が、清音駅1,684人・総社駅3,294(吉備線利用者を含む)と普段の利用状況から判断しました。

総社駅までJR西日本が残すメリット

  • JR西日本にとって黒字であると予想される

 倉敷駅~総社駅間については、データがないのではっきりとは分かりませんが輸送密度が15,000を越えていると予想され黒字になっているのではないかと思われます。黒字となっている区間をわざわざ経営分離する必要はありませんので総社駅まで残すのは十分あり得ると思われます。

  • 山陽本線(岡山駅~倉敷駅間)の列車の確保

 伯備線全線を経営分離すると、継承した第三セクターの車両が山陽本線の岡山駅~倉敷駅間に乗り入れることになります。そうすると車両使用料を支払う必要があります。それを考えると総社駅までは残して基本的に折り返し運転として支出を抑えることが出来ます。この場合、利用が大きく減る総社駅以北の第三セクターへは総社駅でJRに乗り換えとなるのではないでしょうか。

 全線第三セクターにして伯備線からは、倉敷駅で乗り換えとする方法もありますが、山陽本線の増発が必要になるためJR西日本は選ばないのではないでしょうか。

どういう形で伯備線は残るか

 私は、倉敷駅~総社駅間はJRが西日本が運営し、残りの区間は第三セクターになると予想します。JR西日本にとってはこれが一番メリットが大きいのではないでしょうか。一方で、第三セクターに転換される総社駅以北の区間は、総社駅で乗り換えになりそうです。今でも通勤通学時間帯は7両編成の列車が運行されておりあまり効率的ではない運用がされています。利便性は下がりますが基本は2両編成の227系での折り返し運転となるのではないでしょうか。

まとめ

 実現は難しいとは思いますが、伯備新幹線開業後の伯備線のあり方を検討してみました。私の予想では、総社駅以北が経営分離されると予想します。また、運行についても総社駅で分断されるのではないでしょうか。総社駅以北の利用者は乗り換えが必要になり利便性が低下しますが、私の想像する伯備線の将来の姿です。

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