2031年(令和12年)春に予定されていた北海道新幹線の函館北斗駅~札幌駅間の延伸は8年遅れで2039年(令和20年)春にになる事がしばらく前に報道機関から報道されました。そこで、今日は2025年(令和7年)7月4日に発表されたJR北海道の2024年度の収支と利用状況から考えてみたいと思います。
JR北海道ホームページ
影響が考えられる範囲について
次の項目が北海道新幹線の開業が遅れることにより影響を受けることが予想されます。
北海道新幹線延伸による北海道新幹線の赤字の期間の長期化
北海道新幹線については、新函館北斗駅~札幌駅間が延伸することにより、現在の多額の赤字(2024年度約124億円)がほぼ解消もしくは、黒字化が見込まれています。これについては、飛行機から北海道新幹線利用へ移ることにより利用者数が増加することで達成できるとされています。
しかしながら、北海道新幹線の開業が遅くなれば人口減少等により利用客そのものの減少し、利益の上昇が少なくなると思われます。北海道新幹線が8年完成が遅れることによる影響ははっきりしませんが、最悪の場合黒字化どころか金額こそ少なくなるにせよ赤字のままということも考えれらます。
また、北海道新幹線の延伸の遅れは関係ないですが、広告費・eチケットの販売・青函トンネルの補修等で損失が約7億2000万円拡大しているためその補填も大事な要素となるでしょう。
仮に北海道新幹線が赤字ということになれば、利益の中心となるであろう事業が赤字ということになり、経営にとって大きなマイナスになるのは間違いありません。そうなれば、JR北海道の国からの独立どころか補助金の追加投入等の施策が必要になると考えられます。
並行在来線(函館本線山線区間)
北海道新幹線の開業が8年遅れることになれば、廃線の決まっている並行在来線も8年間営業を続ける必要が出てきます。長万部町・ニセコ町は、早期の廃線・バス転換を考えているようですが、インバウンドにより利用客の増加による函館本線山線の混雑を考えれば、現実的ではなく2039年春までの運行が必要になると考えます。
この区間は、昨年度より2億円程度解消したとはいえ約24億円の赤字となっています。この金額を8年間余分にJR北海道は負担する必要が出てきます。8年間ですと約192億円の追加負担となるでしょう。インバウンドがさらに増えたとしても現状の函館本線山線区間にそれを裁くだけの余裕はほとんどないため利用の増加による赤字の減少はほとんど見込めないと思います。むしろ物価の上昇による赤字の増加の危険の方が大きいと思います。
並行在来線(函館本線海線区間)
長万部駅~新函館北斗駅の間の函館本線海線区間については、北海道新幹線開通後貨物線として第三セクターに移管されることがほぼ決まっています。この区間は、山線区間と違い特急列車「北斗」が運行しているために必ず北海道新幹線開業まで残す必要のある区間です。
赤字額ですが、こちらは2023年度とほぼ同じ約65億円となっています。特急列車・貨物列車が運行しているため列車本数が多いのと保線にお金がかかるためと思われます。8年間で考えると1,000億円の負担となりとても無視できる金額ではありません。
並行在来線の赤字もJR北海道が原因で発生する赤字でないため、北海道新幹線同様何らかの公的な支援が必要だと考えます。
追加の損失の補填をどうするか
北海道が負担
北海道は、鉄道への投資について積極的ではなく、道の第三セクター会社である「道南いさりび鉄道」への負担額でさえ沿線の自治体の負担を増やそうとしている状況です。今の方針が変わらない限り北海道の負担というのは考えにくいと思います。私としては北海道ももう少し責任をもってやってほしいというのが正直な感想です。
国が負担
北海道が無理であれば、国が負担するしかないと思います。ただ、与党が過半数割れをしている現在の状況で新幹線にどれだけの予算を割けるか不透明な部分が心配です。
ただ、北海道新幹線を今からやめるという選択肢は現実的ではないので最終的には、国が責任をもって対応することが求められると思います。
1年開票が遅れるごとに追加費用が213億円必要となり、北海道だけで負担するのは北海道の方針が変わったとしても現実的ではありません。最終的には、北海道新幹線の計画を決定したのは国ですので責任を持って負担する必要があるのではないでしょうか。
まとめ
北海道新幹線の札幌延伸が8年延びたことにより、追加で約1,700億円の費用が必要になります。国は、北海道新幹線を計画した立場としてJR北海道に対し責任を持って負担をする必要があると思います。