北陸新幹線延伸小浜ルートは絶望的? 費用対効果は、米原ルート1.777に対し、小浜京都ルートは0.551! 

北陸新幹線 富山駅 整備新幹線

 10月22日に、自民党の石川県関係の国会議員で構成される自主研究会で、新たな調査結果が報告されました。これによると整備新幹線着工5条件の一つである費用対効果は、米原ルートが条件の一つである1を超える1.777に対し、京都・米原ルートは0.551であり1を下回っていることが示されたと各種報道機関が報道しています。これにより、現行の枠組みでの小浜ルートは困難な状況になってきました。

整備新幹線着工5条件

 鉄道ファンの方ならよく知っていると思いますが、整備新幹線着工5条件について改めてみてみたいと思います。

安定的な財源見通しの確保

 新幹線の建設には莫大な費用がかかるため、整備新幹線の建設財源は、営業主体となるJRが受益の範囲で支払う貸付料を除いたうち、国が3分の2、地方自治体が3分の1を負担することになっています。

  • 米原ルート 滋賀県が反対
  • 小浜ルート 福井県は賛成、京都府は反対

 どちらのルートについても現状では、反対する府県があり条件を満たしていません。滋賀県もしくは京都府の賛成を得ることが着工に必要な条件となっています。

収支採算性

 整備新幹線が建設される区間について整備新幹線と並行在来線にかかる収入と費用を推計し、新幹線が整備される場合の収益と、整備されない場合の収益を比較して収支が取れる事(=利益が出ること)が求められます。

 これについては、ある意味何とかなるものなので強引に計算すればプラスに持っていくことは可能です。

投資効果(B/C)が1を越える事

 これが、今回報告された数値です。整備新幹線は、建設費・用地関係費・車両購入費・施設の維持更新投資といった「費用(C)」を、所要時間短縮など鉄道利用者が受ける利用者便益と、鉄道事業者の収支改善など供給者便益の合計である「便益(B)」が上回らないといけません(B/C >1)。

  • 米原ルート 1.777
  • 小浜ルート 0.551

 今回の報告の数値が正確だとすると、米原ルートしか建設できないことになります。政府の決定している小浜ルートについては建設について再検討する必要があります。

営業主体であるJRの同意

 4番目は、実際に整備新幹線を運営する営業主体であるJRの同意が必要となります。それぞれのルートについては次のようになっています。

  • 米原ルート JR西日本 × JR東海 ×
  • 小浜ルート JR西日本 〇

 小浜ルートについては、JR西日本は賛成していますが、米原ルートについてはJR西日本・JR東海の同意は現状では得られない状況となっています。

並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意

 最後は、整備新幹線により並行在来線とされた区間をJRが経営分離することに沿線自治体が同意することが必要です。これについては、JRが経営分離する区間を決めることができ沿線自治体が受け入れるかがポイントとなります。

  • 米原ルート 北陸本線(米原駅~敦賀駅) ×
  • 小浜ルート 湖西線(近江塩津駅~山科駅)だと ×

 これについては、米原ルートだと北陸本線の経営分離について沿線の自治体の合意を取り付けることは難しい状況です。一方の小浜ルートについても湖西線が経営分離の対象(並行在来線にあたるかどうかは不確実)とすると困難な状況にあります。

今回の報告が影響を受けるのは?

 正式な整備新幹線のルートとして決定している小浜ルートに対し、3番目の条件である「投資効果(B/C)が1を越える事」を満たさないということを意味します。したがって、現行の枠組みでは北陸新幹線の新大阪延伸が事実上不可能となります。

 よって、今後着工5条件の見直しおよび着工ルートについて根本的な所からの見直しが必要となります。

まとめ

 昨日(10月22日)に、報告された北陸新幹線の報告書で、小浜ルートは(B/C)<1であることが示されました。これにより、北陸新幹線の新大阪延長がより困難な状況となり現況の敦賀駅が乗り換え駅となる可能性が高くなったものと思われます。

タイトルとURLをコピーしました