京浜東北根岸線・中央総武線(各駅停車)のワンマン運転は、自動運転が先では? 南武線の状況を見ると大混乱が予想されますが・・・。

京浜東北線E233系 マスカット鉄道の意見

 JR東日本は、2025年9月24日のプレスリリースで、京浜東北根岸線・中央総武線(各駅停車)で、2027年(令和9年)の春からワンマン運転を開始すると発表しました。2025年春からワンマン運転を行っている南武線・常磐線各駅停車・2026年(令和8年)春からワンマン運転が行われる横浜根岸線(八王子~大船)に次ぎ動きとなります。これについて、私が思ったことを中心に書いていきたいと思います。

サステナブルな輸送モードを実現するため、京浜東北・根岸線、中央・総武線(各駅停車)でワンマン運転を実施します

JR東日本ホームページ

私の大都市圏でのワンマン運転に対する考え方

 私は、閑散線区でのワンマン運転については、経費削減効果もあり望ましいとは思いませんが、仕方ないと考えています。一方で、東京・大阪といった利用者が多い線区でのワンマン運転には基本的には反対です。理由は以下の通りです。

安全性の確保の問題

 何もトラブルがなく運行しているときはいいですが、もしも何かトラブルが発生した時に運転手一人では対応が難しいと思います。今回の対象線区は10両編成の列車で運行する路線ですので、乗客の数は1,000人を超えることになります。一人の人間で非常時での対応を行うことは常識的に考えても不可能です。鉄道の一番の使命は、乗客を安全に目的地に運ぶことです。これが難しいのであればワンマン運転をするべきではないと考えます。

定時制の確保の問題

 今年の春のダイヤ改正でワンマン運転化した南武線では、遅れの頻度が大幅に増えたと読売新聞が報道しています。

リンク:リンク:ワンマン運転化の南武線、10分以上の遅れが2倍に…システム変更でドアが開くまで数秒長く : 読売新聞

 南武線は、施設の関係で6両編成で運行しており環境は異なりますが、ワンマン運転を開始すれば同様に遅れが多くなるのは確実でしょう。輸送力が厳し状態にある首都圏の鉄道でワンマン化する際に遅れは、走らせる列車本数が減るという意味で、致命的な問題となります。そうなるとさらに混雑して列車が遅れるという悪循環となる事が予想されます。この観点からも、都市部の鉄道のワンマン化には反対します。

運賃に対する対価の減少

 安全性の低下・列車の遅延・列車の混雑といったサービスの低下が発生するにも関わらず、JR東日本では、運賃は下がるどころか来年から高くなります。これでは、受益に対する利用者の出費が釣り合わないことになります。サービスが低下するのであれば運賃は値下げするのが本来の姿ではないでしょうか。

運転手の精神的負担

 ワンマン運転化するということは、運転業務だけでなく1,000人を超える乗客の命を対応をすることも業務となります。当然の事ながら、運転手のには車掌の業務が加わることにより精神的な負担がかかることになります。これにより、尼崎での脱線事故のような大事故に繋がる可能性が出てきます。これは、最終的には乗客の安全性に関わる事なので、そういう面でもワンマン化には賛成できません。

JR東日本の事情

 私の意見だけ書くのは不公平ですのでJR東日本の置かれている立場について見てみたいと思います。

少子高齢化に伴う労働者不足

 首都圏でのワンマン化の理由はこれが最も大きな問題でしょう。鉄道は、運転手・車掌といった人員の他にも駅員・保線の人間といった表に出ない人たちの働きがあって成り立っているものです。労働力不足でこういった人たちが不足しているのであれば省力化できるところから不足している部門へ人を回すのは企業として当然の対応だと思います。

株式会社である以上株主への還元が求められること

 JR東日本は、すでに株式を民間にすべて売渡し民営化されています。民間企業である以上は、利潤を追求し株主に還元するのは当然の事です。労働組合等の問題があったとはいえ民営化したことでこうなるのは必然と言えるでしょう。日本は、資本主義社会ですのでこれを否定することは不可能です。

JR東日本のワンマン化に対する対策

対象路線へのホームドアの設置

 運転手だけで運行することになりますし、駆け込み乗車等の対応をしていたら遅延が発生するのは目に見えています。そこで、対象路線の全ての駅にホームドアを設置し、駆け込み乗車等・ドアで乗客を挟む事象に対応するとプレスリリースで発表しています。

TASC(定位置停止装置)の車両への設置

 プレスリリースでは、TASC(定位置停止装置)をE233系に設置し、運転手の停止作業の軽減化を図ると記されています。これにより運転時に一番気を使うと言われている停止作業の軽減化を図ることが出来るでしょう。実際トレインシミュレーターで遊んでいる際一番大変なのが停車作業なのでこれは大きな効果があると思います。

京浜東北・根岸線(大宮駅~大船駅間)を走行するE233 系10 両編成には、ATO(自動列車運転装置)を導入

 京浜東北・根岸線だけですが、ATO(自動列車運転装置)を導入して運転手の業務を東神奈川駅~大船駅間でATOが行います。これにより、運転手は作業のほとんどをATOに任し車掌業務に集中することが出来ます。

私の意見

 大都市圏でのワンマン運転は、法律が許しているものですから恐らく実施されると思います。もちろんJR東日本に対して反対する意見を出すことはできるでしょうが、ワンマン化による大きな事故でも発生しない限りは止めることはできないと思っています。

 しかし、私の意見を言わせてもらえばATO(自動列車運転装置)が導入される京浜東北・根岸線の結果を見てからワンマン化してもいいのではないかと思います。もし。遅延等がATOにより改善されるのであれば、2027年から今回の対象の路線をワンマン化するのではなく、ATOを導入することでワンマン化すればよいのではないかと思います。

 結局の所、鉄道に求められているものは、安全に目的地に運ぶことと定時性です。これらを達成するために急いでワンマン化を進めるのは待ってほしいというのが私の意見です。

まとめ

 JR東日本は、2027年からワンマン運転を開始すると発表しました。予定とはいえ決定事項でしょうから止めることはできないでしょう。しかし、私としてはATO(自動列車運転装置)が導入される京浜東北・根岸線(東神奈川駅~大船駅)の結果を見てからワンマン化してほしいと思います。

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