富山地方鉄道から自治体の援助がなければ2025年度中に廃線届を出すと言われていた富山地方鉄道本線の滑川駅~宇奈月温泉駅の区間ですが話し合いの結果、取りあえず1年間の廃止届の延長という形で決着し、これから将来に向けての話し合いが行われることになりました。その中で、滑川駅~新魚津駅について回送線として残し営業運転は廃止する案がありました。これを採用した場合の同区間の活用について考えてみました。
富山地方鉄道について
廃止対象路線
富山地方鉄道は、沿線人口の減少等に伴い経営が悪化しており次の区間について、自治体の援助がなければ2025年度中に廃止届を出し、2026年度中に廃線にするとしていました。
- 本線(滑川駅~宇奈月温泉駅)
- 立山線(岩峅寺駅~立山駅)
- 不二越・上滝線(月岡駅~岩峅寺駅)
詳しくは、こちらをご覧ください。
これらの路線は、
- 本線:2026年2月ごろ最終報告をまとめ、中長期的な支援策を決定
- 立山線:2025年11月22日の立山線分科会で2027年度を目標に再構築事業に着手し、国と自治体が支援
- 不二越・上滝線:「みなし上下分離」で再構築事業を実施
となっています。
本線(滑川駅~宇奈月温泉駅)について
本線については、2025年11月29日の本線分科会において次の6案について検討が行われました。
- 全線存続
- 滑川駅~新魚津駅の廃止(回送運行は継続)
- 滑川駅~新魚津駅の廃止・設備撤去(回送運行も廃止)
- 滑川駅~宇奈月温泉駅の廃止
- 上市駅~新魚津駅の廃止(回送運行は継続)
- 上市駅~新魚津駅の廃止・設備撤去(回送運行も廃止)
この中で、下の3つについては不適切ということで除外され上の3つの案から将来のあり方を検討することになりました。つまり、廃線の可能性があるのは滑川駅~新魚津駅の間ということになり、新魚津駅~宇奈月温泉駅の間の存続が事実上決定しました。
金銭的負担と利用推進策
金銭的負担については全線存続しか計算されていませんが、この場合には10年間で100億円と橋梁等の大規模施設の負担が別途必要となります。残りの二つの案についてはこれから計算されることになりますがかなりの金額に上ることが想像に難くありません。
利用推進策として次の施策が検討されています。
- 新型車両の導入および新駅設置
- 定期券料金の値下げ
- 全国交通系ICカードの導入
- 新魚津駅でのあいの風とやま鉄道乗り入れることにより同一ホームでの乗り換え
私の考えた赤字軽減策
どういう形で決着するかは不明ですが、負担額の決定に際し、滑川駅~新魚津駅の廃止・設備撤去(回送運行は継続)を算定する際に、回送区間を本格的運転体験施設として活用することを含めてほしいと思います。鉄道ファンの視点からすると全線存続がうれしいですが、仮に廃線となるとしたらその部分を運転体験施設として残すということです。
なぜこう考えたかですが、運転体験については単価が高く(数万円)赤字を埋めるのには最適だと考えます。また、長い区間の体験運転施設は他になく富山地方鉄道は運転体験の施設として鉄道が好きな多くの人から愛される施設となるのではないかと思うのです。
まとめ
富山地方鉄道の本線の滑川駅~新魚津駅については、あいの風とやま地方鉄道と並走している区間であり回送運行を残し廃線となる可能性があります。そこで、廃止となる区間を本格的運転体験施設として残すのはどうかというマスカット鉄道の提案でした。


