吉備線(桃太郎線)LRT化の最大の壁 工事の際のバス代行は可能なのか?

吉備線(総社駅) JR西日本

 今回は、2026年最初の記事ということで将来の吉備線(桃太郎線)のLRTについての障壁となりそうなバス代行について検討してみたいと思います。現在は新型コロナの影響で計画は凍結されていますが近い将来に動き出すことが予想されます。その時に一番の問題となりそうなバス代行について取り上げてみます。

吉備線(桃太郎線)のLRT化に際しての大きな壁となる代行輸送

実際にバス代行が試される局面がすでに発生

 2026年1月に吉備線で昼間の保線工事を行うため、列車が 8日間・昼間時間帯に運休し、その間はバス代行が実施される予定となっています。これはJR西日本からプレスリリースで発表されています。

吉備線 岡山駅~総社駅における昼間時間帯集中工事に伴う代行輸送のお知らせについて(1月):JR西日本

  • 運休対象は岡山〜総社の昼間の7往復
  • バス代行は実施されるが、時刻詳細についても2025年12月23日に発表済み

 この「短期の工事でバス代行」という実例自体が、 将来LRT化時の代行輸送の予行演習になると思われます。

バス代行は本当に成立するのか? 現実的な障壁

  • バスの確保が困難

 バス代行にあたっては、吉備線の輸送密度(2024年度 5,738)および私が平日の利用した際の乗車率から考えてもそれなりの本数が必要となります。列車が岡山駅~総社駅間を40分のところをバスが55分で結んでいるため単純に考えてもバスの本数は1.5倍必要となり、列車が4両編成で約400人運んでいるところをバスで輸送すると50人×8本=400人であり8倍の本数が必要であると思われます。同時に5本の列車を代行すると40本必要となり現在の状況でこれを用意できるバス会社はないのではないかと思われます。

  • バスドライバーの確保

 現在の吉備線は、最大4両編成で運行しており全ての列車でワンマン運転となっています。1本あたり100人輸送できるとすれば、400人が1人の運転手で運ぶことが出来る計算となります。これをバスで運ぶと400÷50=8となり8人運転手が必要です。現在、全国的にバスドライバーが不足している状況を考えると確保は難しいことが想像されます。同時に5本運行すれば40人必要です。両備バスが運転手確保についてはうまくいっていると全国的にニュースになりましたがさすがに40人というのは難しいのではないでしょうか。

  • 国道180号線の渋滞

 岡山の方ならよくご存じだと思いますが、朝・夕の国道180号線の混雑はかなりのレベルにあります。そうなるとバスで55分というのは恐らく厳しいものがあると思います。現在進んでいる180号バイパスがLRT工事までにどの程度完成するかにも左右されますが、全線開通したとしても55分というのは難しいでしょう。もし、バスが遅れればさらにバスと運転手の確保が必要となります。

 LRT工事の最大の障壁として、以上の3つが挙げられるのではないでしょうか。そして、これを解決するのは難しいと思います。それ故に、今回取り上げてみました。ただ、難しいとだけ言っていては先に進みませんので解決策をあげてみたいと思います。

バス代行の困難を解決する方法

 この困難な状況に対応する方法として考えたのが、朝・夕の時間帯は、鉄道の代行バスのように駅ごとに停車する方式ではなく、目的地ごとに輸送する方法です。それは、あらかじめ利用者に乗車駅と行先を登録してもらい国道180号に通るのではなく最も効率的なルートで目的地に行く方法です。できるだけ渋滞を避けるルートを選択し乗車駅と目的地を最短時間で結ぶことによりバスの回転率を上げるのです。こうすることで必要なバスとドライバーを最低限にします。

 もう一つは、伯備線・山陽本線を活用する方法です。少し歩かないといけませんが、岡山駅に近い吉備線の駅であれば、庭瀬・北長瀬駅を活用することもできます。場合によってはそこからバスでピストン輸送もできるでしょう。

 この二つの方法により、少しでも輸送効率を上げることが可能になるのではないかと期待しています。

沿線環境と輸送需要のギャップ

  • 吉備線は沿線人口が比較的多く、利用客が決して少なくない路線ですが、地域交通は依然として自動車依存の傾向が強いこともあり、バスへ乗り換えとなると移動時間が大幅に増える・利便性が落ちる懸念があります。
  • 特に高齢者や学生など「鉄道での移動が主だった層」にとっておそらくバス代行は負担が大きく、利用者減少のリスクもあります。

 列車の本数を増やすことにより、公共交通の利用者を増やすための吉備線のLRT化ですが、逆に鉄道離れを促進する可能性もありその点については注意深く見守る必要があると思います。

LRT化計画自体の停滞も大きな障壁

 吉備線のLRT化協議自体がコロナ禍以降、岡山市・総社市・JR西日本の3者での基本計画策定が一時中断していて、計画の実現時期も未定という状況です。財政面や利用回復の見通しの厳しさが背景となっているようです。つまり、長期の大規模工事・代行輸送に耐えうる体制づくり以前に、計画そのものが立ち止まっているという実状があります。これについては、今後の3者の動きについて注目されるところです。

まとめ

 吉備線のLRT化については、財政面や利用回復の見通しの厳しさから計画が中止になる可能性があります。また、計画が進む際には工事中のバス代行に対して大きな壁がありその突破の方法についてよく検討する必要があると思われます。

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