JR北海道は、2025年12月12日に2026年度ダイヤ改正と併せて石北本線を走る特別快速「大雪」の座席をリニューアルすることを発表しました。座席の増加と座りやすさの改善が行われるようです。しかしながらボックスシートであり長距離を走る列車としては少し物足りない感じがしました。
JR北海道ホームページ
石北本線特別快速「大雪」とはどんな列車か
石北本線における「大雪」の位置づけ
特別快速「大雪」は、2025年3月15日のダイヤ改正で特急「大雪」を快速化した列車です。道央の都市である旭川市とオホーツク海を望む都市である網走市を約4時間かけて結びます。快速化したことにより特急料金が不要となり利用者の増加を見込んで設定された列車です。H100形電気式気動車2両を使用しての運転となります。
長距離利用が前提となる特別快速という性格
特別快速「大雪」は、旭川と網走という200㎞以上離れた都市の移動を考えて設定された列車ですので長距離移動が前提が考えられています。しかしながら、準備の時間が十分になかったため2両編成の場合でも座席数が72席しかなくボックスシートとなっています。
今回行われた「大雪」座席リニューアルの概要
リニューアル対象となった車両形式
リニューアルの対象となった車両は、JR北海道がキハ40系の置き換え用に製造したH100形電気式気動車です。特別快速「大雪」は基本的にH100形2両での運行となり他の普通列車用の車両と同じシートが使われていました。
座席の変更点
JR北海道のプレスリリースによると変更点は次の通りです。
- 座席数の増加(2両編成で72席→84席)
- 座り心地の改善(長距離移動に適した図割り心地を改善した座布団・背ズリに変更 色をオホーツクブルーへ変更)
となっています。なお、座席配置はボックスシートのまま変更はありません。
公式発表から読み取れる狙い
特別快速「大雪」は、長距離移動を前提にした座席に変更となるようです。実際、H100形の座席では短距離はいいですが長距離では少し辛いものがあったので利用者目線に立った座席の変更だと思います。
評価できる点 確実に前進したポイント
老朽化対策としての効果
プレスリリースにはありませんが、H100形は今後長く使用される車両ですので老朽化対策としての仕様が入っているものと思われます。特別快速「大雪」も石北本線が廃線になるようなことがない限り運行されるでしょうからしかるべき変更と言えるでしょう。
見た目・清潔感の向上
新しいシートの色は、青を基調とした「オホーツクブルー」となっています。従来の緑を基調とした座席カラーと比較するとさわやかな感じと清潔感が漂っています。また、オホーツク海をイメージした「オホーツクブルー」は石北本線のカラーとしてふさわしいものだと思います。
最低限の快適性は確保された
長距離移動を考慮した座席としては、今回の変更は取りあえず最低限の機能を果たしているのではないでしょうか。座席数を12増やすことは、長距離の立席乗車の利用者を減らすことになりますので特別快速「大雪」に求められている需要を満たすことになると思います。
それでも「もう一息」と感じた理由
長距離快速としては座面が物足りない
長距離快速の座席としてと求められているのは次の2つだと思います。
- 確実に座れること
- 移動の快適性
この二つについて見てみると、一つ目は車内の配置上は84席が限界であり仕方がないのではないでしょうか。H100形は車両内に機械室があるためこれ以上の座席数の増加は難しいように感じます。もう一つについては、乗車時間が長いためリクライニングがあればなおよいのではないでしょうか。
ボックスシート的要素が残る課題
私は乗り物酔いをすることがあるので、できれば長距離移動の際は進行方向を向いた座席に座るようにしています。乗り物酔いしない人でも進行方向を向いた座席が空いていればそちらに座ると思います。そういう意味で、ボックスシートではなく転換クロスシートが良かったのではないかというのが私の感想です。
特別快速としての“非日常感”が弱い
「大雪」は特別快速であり、快速の上のランクの列車となります。また、高速バスに対抗する使命も持っている列車です。それを考えるとボックスシートではなく転換クロスシートが良かったのではないかというのが正直な印象です。私的には、快速「エアポート」のUシートクラスの座席を期待していたので次があるのであれば変えてほしいと思っています。
他路線・他列車との比較で見える差
同じ北海道内の快速・特急との比較
他の快速・特急と比較するとなると、一番に思いつくのが快速「エアポート」です。この話を聞いた時はUシートクラスの座席が来ると想像していたので残念に思っています。「エアポート」は指定席ですが、「大雪」は長時間乗車するので自由席でも指定席並みのサービスがあってもよかったのではないでしょうか。また、「大雪」はもとは特急列車でしたので特急の座席でも問題ないと個人的は思います。
本州ローカル線の事例
私は、岡山に住んでいますので快速と言えば「サンライナー」「マリンライナー」を想像します。これらの車両は、転換クロスシートの座席が装備されています。特急レベルとはいかないまでもこれらの列車並みの座席はお願いしたいと思います。
「大雪」に期待してしまう理由
「大雪」は快速列車ですが、都市間輸送と長距離輸送という使命を帯びた列車です。その使命を果たすためには、それなりの座席というものが求められると思います。そういう意味でも転換クロスシートは最低限あってもよかったのではないかでしょうか。
なぜ今回は“攻めきれなかった”のか
車両更新が難しい石北本線の事情
今回、大きな座席の更新が出来なかった理由として石北本線の利用実態があるのではないかと思います。JR北海道から単独で維持が困難な路線である黄線区に指定されているため大胆な投資が出来なかったのが背景にあると予想されます。これについては、沿線の人口減少と大きな関係があるため今後も解消するのは困難であると思われます。
コストと利用実態のバランス
石北本線の事情と重なる部分が多いですが、コストと利用実態のバランスを取るのが難しいというのも理由としてあるでしょう。本当なら大胆な変更があってもよかったのですが、民営化しているというのが一つの壁となったのでしょう。この点については、沿線自治体の援助があってもよかったと思います。
JR北海道の現実的判断
それらを踏まえた上での判断が今回の座席の変更になると思います。コストと利用実態という難しい二つの要素を検討したうえで下した判断が今回の結論だったのでしょう。
もし次があるなら期待したいポイント
簡易リクライニング導入の可能性
次があるなら期待したい点の一つです。最大で4時間という長時間の乗車となるので簡易リクライニング導入は利用者としてはありがたいです。コスト面で難しいのかもしれませんが検討してもらえるとありがたいです。
座席配置の工夫という選択肢
転換クロスシート一択ではないでしょうか。長時間進行方向と逆向きに座るのは乗り物酔いがなくても辛いものがあると思います。これも次があれば検討していただきたいです。
「特別快速らしさ」をどう演出するか
上の二つと重なりますが、高速バスに対抗する特別快速という名前を持っているので高速バスと同等の座席は利用者として期待してしまうでしょう。その期待に応えることが利用者をつなぎとめることに繋がるのではないかと私は思います。
まとめ リニューアルは前進、だが惜しい
今回のリニューアルは間違いなく前進であるためその点については利用者目線で見た時に間違いなくプラス評価となるでしょう。しかし、まだ踏み込める点があること(転換クロスシート・簡易リクライニング)については惜しいと思わざるを得ないです。

