JR東日本と八王子市が高尾駅の南北自由通路整備へ JR・京王の駅を結ぶ動線改善 現駅舎は解体・保存へ

JR高尾駅北口 JR東日本

JR東日本と八王子市が、JR高尾駅の南北自由通路整備に向けて工事委託契約を締結する方向となりました。

高尾駅はJR中央線・中央本線と京王高尾線が乗り入れる駅ですが、現在は南北を自由に行き来できる通路がなく、駅の南側と北側を移動する際には駅構内を通行するための入場券を購入するか、駅を大きく迂回する必要があります。

今回の南北自由通路整備によって、この長年の課題が解消されることになります。

高尾駅の南北分断 解消へ 自由通路 32年春に供用開始

タウンニュースホームページ

八王子市のホームページへのリンクです。

リンク:高尾駅周辺整備事業について|八王子市
JR高尾駅構内の通行費用を補助|八王子市

約100mの南北自由通路を整備

八王子市は2014年6月、JR東日本と京王電鉄との間で「高尾駅南北自由通路整備事業に関する基本協定書」を締結しました。

その後、2022年12月には変更協定を締結。2024年度には設計が完了し、2025年度には都市計画変更などの手続きが進められていました。

今回、八王子市議会にJR東日本への工事委託契約に関する議案が提出されており、9月18日に「高尾駅南北自由通路新設工事委託契約の締結について」が可決されました。

これにより、JR東日本への工事委託契約締結に向けた手続きが進むことになります。

整備される南北自由通路は約100m。

橋のような形でJR高尾駅をまたぐ構造となり、JRの駅施設は橋上駅舎となります。

さらに、京王側についても自由通路と現在の南口を結ぶ約80mの通路が整備される計画です。

つまり、今回の事業は単純に「JR高尾駅に自由通路を造る」というだけではありません。

JRと京王の高尾駅を含め、高尾駅周辺の南北方向の歩行者動線そのものを改善する事業といえそうです。

現在は南北を移動するために入場券が必要

高尾駅を利用したことがない方には、現在の状況は少し分かりにくいかもしれません。

高尾駅ではJR側が北口、京王側が南口となっているため、駅の南北を直接移動することができません。

駅構内を通り抜ける場合には、JR高尾駅の入場券などが必要になります。

八王子市はこの不便を少しでも軽減するため、65歳以上の市民や障害者手帳を持つ市民を対象に、JR高尾駅構内を通行するための入場券・定期入場券の購入費用を補助する制度も設けています。

自由通路が完成すれば、このような駅構内を通行するための費用そのものが必要なくなります。

八王子市の資料では、現在の南北移動は初沢踏切を経由すると約600m、町田街道を経由すると約900mあります。

これが南北自由通路の整備によって約230mとなり、所要時間も約3分程度になるとされています。

高齢者や障害者だけでなく、駅の南北を行き来するすべての人にとって大きな変化になりそうです。

こういった駅の南北分断を解消するため、全国各地で自由通路の整備が進められてきました。

岡山県のお隣・兵庫県でも、姫路駅や英賀保駅などで同様の整備が行われています。

また山口県の新山口駅では、橋上駅舎と南北自由通路が2015年に完成しています。

JR高尾駅は橋上駅舎へ バリアフリー化も

南北自由通路の整備に合わせて、JR高尾駅の駅施設も大きく変わります。

現在の駅舎から橋上駅舎へ移転し、JRの改札も自由通路上に設けられる計画です。

これにより駅のバリアフリー化も進められます。

高尾駅は高尾山への観光客が利用する駅というイメージが強いかもしれませんが、中央線・中央本線の主要駅の一つであり、地域住民の日常利用も多い駅です。

高尾山へ行く場合は、京王線の「高尾山口駅」が便利ですのでJRを利用した来た人でも「高尾駅」で京王線に乗り換える人が多いですが、乗り変える場合は南口から出る必要があります。

JR東日本の資料によると2024年度の高尾駅の1日の乗車人員は次の通りです。

リンク:各駅の乗車人員 2024年度 101位以下(1)|データ集|企業サイト:JR東日本

定期外定期合計
9,492人16,050人25,542人

高尾山という観光地があるため定期外の利用者の割合が他の駅よりも高くなっていますが、定期利用者も多いことが分かります。

観光客だけでなく、通勤・通学や買い物などで利用する人にとっても、駅周辺の移動がしやすくなることが期待されます。

八王子市も高尾駅を「観光拠点及び交通結節点」と位置づけ、安全性・利便性を高める整備を進めています。

現在のJR高尾駅舎は解体されるが「保存」へ

今回の整備で気になるのが、現在のJR高尾駅舎です。

橋上駅舎への移転に伴い、現在の駅舎は解体される予定です。

一方、この駅舎は単なる古い駅舎というわけではありません。

現在のJR高尾駅舎は、大正天皇の大喪列車のため新宿御苑に設置された仮停車場を後に移築したものとされています。

そのため、今回の南北自由通路整備では解体されるものの、駅舎そのものを保存する方針となっています。

ただし、現時点では再築する場所は決まっていません。

高尾駅を訪れたことがある人にとっては、現在の駅舎がなくなってしまうことを残念に感じるかもしれません。

一方で、駅舎を何らかの形で保存することで、高尾駅の歴史を後世に残すことも考えられています。

供用開始は2032年春を予定

今回の事業は、すぐに駅の姿が変わるというものではありません。

JR東日本は2027年度に仮駅舎へ切り替えたうえで、現在の駅舎の解体に着手する予定です。

その後、南北自由通路と新しいJR高尾駅舎を整備し、2031年度末、つまり2032年春の供用開始を目指します。

さらに全体の工事完了は2033年度を予定しています。

計画が最初に動き始めたのは2014年。

さらにさかのぼると、2000年には高尾駅の南北自由通路整備を求める約4万6000人分の署名が八王子市長に提出されていたといいます。

長い時間をかけて検討されてきた高尾駅の南北自由通路が、ようやく工事段階へ進むことになります。

高尾駅は高尾山観光の玄関口であると同時に、JR中央線と京王線が接続する交通結節点でもあります。

南北自由通路が完成すると、JRと京王の駅を利用する人だけでなく、駅周辺を歩く人にとっても高尾駅の使い方が大きく変わりそうです。

そして、長い歴史を持つ現在の駅舎がどのような形で保存されるのかについても、今後注目したいところです。

タイトルとURLをコピーしました