大阪と北陸を結ぶ特急「サンダーバード」が、2027年に団体列車として金沢駅まで運転されることが分かりました。
北國新聞によると、今回の列車には特急「能登かがり火」で使用されている683系を活用するとのことです。
定期列車としての復活ではありませんが、北陸新幹線敦賀延伸により敦賀駅までの運転となった「サンダーバード」が再び金沢へ向かうことになります。
大阪-和倉直通特急、来年に臨時運行 JR西調整 団体、春夏秋に各1本 2回の乗り換え不要
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特急「サンダーバード」は大阪~敦賀間の運転に
特急「サンダーバード」は、大阪・京都方面と北陸を結ぶ特急列車として運転されてきました。
2024年3月16日の北陸新幹線金沢~敦賀間の延伸開業に伴い、運転区間が大阪~敦賀間に短縮されました。敦賀駅で北陸新幹線に乗り換える運行体系となり、金沢駅や和倉温泉駅まで直通する定期列車はなくなっています。
そのため、今回の団体列車が実現すれば、現在の運行体系では見られなくなった「サンダーバード」の金沢乗り入れを再び見る機会となりそうです。
「能登かがり火」用の683系を使用
今回使用されるのは、金沢駅と七尾駅・和倉温泉駅方面を結ぶ特急「能登かがり火」用の683系です。
「能登かがり火」は、北陸新幹線との接続を担う特急列車です。2024年3月のダイヤ改正以降、七尾線方面の特急列車として運転されています。
同じ683系でも、普段は金沢~七尾・和倉温泉方面で活躍する車両が、団体列車として大阪方面と金沢を結ぶことになります。
車両の活用方法という点でも、鉄道ファンにとって興味深い運転になりそうです。
定期列車としての復活には問題もあります
金沢行きの「サンダーバード」ですが、定期化については多くの問題が考えられます。
車両面
一つ目は、車両の問題です。
以前の記事で名古屋・米原と敦賀を結ぶ特急列車「しらさぎ」用の681系・683系を225系快速列車に置き換えて金沢行き「サンダーバード」に使用することについて取り上げました。
現在、金沢車両区の「能登かがり火」用の683系は3両編成4本の配置となっています。運用は3運用ですので予備は1本です。今回は団体列車ですので予備の車両で運転すると思われます。
一方で、JR西日本は2030年度から「サンダーバード」に新型車両を順次投入すると発表しています。
現在「サンダーバード」が走行する大阪駅~敦賀駅間については全区間直流電化ですので、新しい車両は直流専用になると思われます。そのため、敦賀より東の「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」への乗り入れはできません。
一方、七尾線の「能登かがり火」は、金沢~津端間が交流電化となっていますのでこちらは置き換えるとすれば交直両用車両もしくはハイブリッド式気動車となると思われますので「サンダーバード」用の車両を確保することは不可能ではないでしょう。定期列車として走らせるのであればこちらの車両を5本以上投入して使用すれば可能だと思います。
また、681系・683系ともに車齢が高いですがしばらくの間であれば置き換えた681系・683系での運行も可能でしょう。
車両面だけでいえば不可能ではないと思います。
継続的な利用者の確保は難しいか
イベント列車としての年に数回の運転であれば、話題性もありある程度の集客を望むことが出来るでしょう。
一方で、定期列車としての運行となれば継続的に利用する人や観光客を集めないといけません。そうなると、最低限の本数(1日5往復以上?)が必要となります。
そうなった場合、JR西日本が保有する車両での運行だけでなく。「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」も特急用の車両を保有する必要が出てくるでしょう。
1両あたり数億円が必要となる特急用車両を保有するコストについても考える必要があるように思います。
JR時代の北陸本線では、多くの特急列車が走行していたため普通列車の増便が難しく・列車追い越しによる普通列車の所要時間が長くなる問題がありましたが、北陸新幹線開業によりこれらの問題が無くなり、列車の増便・所要時間の短縮が行われ利便性が向上しました。
しかし、特急列車を走らせることにより同じ問題が出てくる可能性が考えられます。
経営面ではどうか
北陸新幹線の場合、大阪~金沢間では乗り換えが2回(新大阪駅・敦賀駅)発生します。また北陸新幹線開業により「サンダーバード」の一部の停車駅では乗り換えが必要となった駅もありますので、速達性・利便性の面から一定数の利用者が北陸新幹線から「サンダーバード」へ移行することが考えられます。
JR西日本に注目した場合、北陸新幹線から「サンダーバード」に利用者が移ると敦賀駅~金沢駅間の運賃・料金が入らなくなります。そのため、「サンダーバード」を定期列車として走らせるメリットはほとんどないと思います。
今回のように団体列車として走らせてイベントのための利用者を新たに呼び込むのであればJR西日本としも増収になりますのであり得る話でしょう。
一方で、「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」にとっても定期列車としての「サンダーバード」を走らせるのであればJR貨物からの線路使用料・貨物調整金の問題があります。
貨物列車が走行する北陸本線では、JR貨物の貨物列車が走っているため線路使用料・貨物調整金が「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」に支払われています。
並行在来線を引き継いだ第三セクター会社にとってこれらは重要な収入源となっています。
金沢行き「サンダーバード」が定期列車化すると、線路使用料・貨物調整金の金額が変わってくることが考えられます。年間に受け取っている金額については数十億円と言われています。計算方法が公開されていないためどの程度変わるのかが不明ですが、特急列車を走らせることにより収入が減るのであれば「ハピラインふくい」「IRいしかわ鉄道」にとっては経営が苦しくなる可能性があります。
結局のところは総合的な判断となりそう
金沢行き定期「サンダーバード」の復活は、メリット・デメリットの両方が考えられますので、じっくりと検討する必要がある課題だと思います。
この件は、個人的には検討する価値は十分あると思いますので、将来の路線のあり方として考えてみるのは一つの方法ではないでしょうか。少なくとも681系・683系が現役の間は色々な実験を行ってみることも可能です。
定期列車の復活とは異なる団体列車
今回の運転は、通常の乗車券や特急券で利用する定期特急「サンダーバード」の復活ではなく、団体列車としての運転です。
運転日や運転区間、募集方法、参加条件などの詳細については、旅行商品の案内などで確認する必要があります。
北陸新幹線の敦賀延伸から約3年となる2027年に、団体列車として金沢へ向かう「サンダーバード」。かつて大阪から北陸へ直通していた特急列車を思い起こさせる運転として、注目を集めそうです。
※本記事は北國新聞の報道をもとに作成しています。運転日・募集内容などの詳細が判明した場合は、必要に応じて追記します。


