近畿日本鉄道(近鉄)は、2026年11月30日(月)をもって、磁気定期券の発売を原則として終了すると発表しました。
これまで駅の自動改札機に通して利用してきた「磁気定期券」ですが、ICカードの普及によって、いよいよその役割を終える時代が近づいてきたようです。
ただし、すべての磁気定期券が完全になくなるわけではありません。IC定期券では対応できない利用条件に該当する場合は、11月30日以降も「定期券購入サポート駅」で磁気定期券の発売が続けられます。
(2026年9月17日追記)南海電鉄からも2027年3月31日で磁気定期券が廃止になると発表がありました。
近畿日本鉄道ホームページ
近鉄が磁気定期券の発売を11月30日で終了
近鉄は2026年8月5日、磁気定期券の発売終了について発表しました。
今回の発表によると、2026年11月30日(月)をもって、近鉄が発売するすべての磁気定期券を原則として発売終了します。
近鉄が終了の理由として挙げているのが、近年のIC定期券の利用割合の高まりです。
現在はICOCAなどのICカードを改札機にタッチして利用するスタイルがすっかり定着しています。
さらに、磁気定期券の磁気層に含まれる金属について、リサイクルが難しいことなどもあり、環境負荷への影響を考慮したことも理由となっています。
紙のきっぷから磁気券へ、そして磁気券からICカードへ――。
鉄道の乗車券が少しずつデジタル化されてきた流れを考えると、今回の近鉄の決定は大きな転換点と言えそうです。
近鉄の定期券はICOCA定期券が中心に
近鉄では現在、磁気定期券だけでなく「ICOCA定期券」も発売されています。
ICOCA定期券なら、改札機にカードをタッチするだけで乗車できます。また、定期券区間外へ乗車する場合も、あらかじめチャージしておけばICカードとして利用できるのが便利なところです。
近鉄では、ICOCA定期券について、近鉄のICエリア内であれば利用できる一方、区間や経路によっては磁気定期券しか発売できないケースもあると案内しています。
つまり、今回の発売終了によって、今後は多くの利用者が磁気定期券からIC定期券へ移行していくことになりそうです。
すでに近鉄では、使用中の磁気定期券をICOCA定期券へ変更する取り扱いも行っています。
近鉄の案内では、磁気定期券からICOCA定期券への変更が可能で、すでにICOCAを持っている場合は、そのカードに定期券を搭載することもできます。
ただし磁気定期券が完全になくなるわけではない
今回のニュースで注意したいのが、「2026年11月30日で磁気定期券が完全廃止」というわけではないことです。
IC定期券が対応していない利用条件の場合は、11月30日以降も磁気定期券の発売が継続されます。
近鉄が発表している主な例外は次の通りです。
- 障がい者割引定期券を購入する場合
- 実習用通学定期券を購入する場合
- 連続する区間で2枚以上の定期券を利用する場合
- 磁気定期券と他の磁気乗車券を併用する場合
- その他、磁気定期券のみで発売している定期券を利用する場合
これらの場合は、「定期券購入サポート駅」で引き続き磁気定期券が発売されます。
「定期券購入サポート駅」は、定期券WEB予約サービスの入力補助や、定期券自動発売機の操作などを駅係員がサポートする駅です。
したがって、磁気定期券を必要とする利用者が11月30日以降に完全に締め出されるわけではありません。
磁気定期券からICOCA定期券への移行を検討する機会に
今回の発表を見て、「現在、磁気定期券を使っているけれど、11月30日以降はどうすればいいの?」と気になる方もいるでしょう。
IC定期券に対応している区間・経路であれば、ICOCA定期券への変更を検討することになりそうです。
近鉄では、磁気定期券からICOCA定期券への変更方法も案内しています。
また、磁気定期券を使っている人が同じ区間・経路で継続購入する場合、ICOCA定期券で継続することもできます。
ICOCA定期券には、紛失した場合に再発行できるというメリットもあります。一方、磁気定期券は紛失時の再発行ができません。
こうした違いを考えると、IC定期券への移行は単に「磁気券がなくなるから仕方なく」というだけではなく、利用者にとって便利になる部分もありそうです。
磁気定期券の歴史にも一区切り
鉄道を日常的に利用してきた人にとって、磁気定期券は非常に身近な存在でした。
駅の券売機で定期券を購入し、改札機に「スッ」と通して駅の中へ入る。
現在ではICカードをタッチするのが当たり前になりましたが、少し前まではこの光景が通勤・通学の定番でした。
近鉄でもICOCA定期券などのICカード利用が広がり、磁気定期券の存在感は年々小さくなっています。
今回、近鉄が原則として発売を終了することで、磁気定期券はさらに「過去の鉄道風景」になっていくのかもしれません。
もっとも、IC定期券では対応できないケースについては、今後も磁気定期券が残されます。
そのため、2026年12月1日から近鉄の磁気定期券が一斉に消えるわけではありません。
「磁気定期券の完全廃止」ではなく、「一般的な定期券としての役割を終え、例外的なケースを中心に残る」
と考えるのが、今回の近鉄の発表を理解するうえでは分かりやすいでしょう。
今後はICカード・QRなどへさらに移行?
鉄道の乗車券を取り巻く環境は、大きく変化しています。
ICOCAなどのICカードに加えて、スマートフォンを利用した乗車サービスやQRコードを利用した乗車券なども登場しています。
また、2026年10月1日からは、鶴橋駅での近鉄とJR西日本のICOCA連絡定期券の販売範囲の拡大が行われます。
磁気券そのものを減らしていく動きは、今後も各鉄道会社で進んでいく可能性があります。
今回の近鉄の磁気定期券発売終了も、そうした鉄道のデジタル化の流れの一つと言えそうです。
長年、通勤・通学客を支えてきた磁気定期券。
近鉄では2026年11月30日が一つの大きな節目となります。
「磁気定期券を使うのが当たり前だった時代」から「ICカードをタッチするのが当たり前の時代」へ。
今回の発表は、そんな時代の変化を改めて感じさせるニュースではないでしょうか。
なお、磁気定期券の発売終了後も例外として発売されるケースがありますので、現在磁気定期券を利用している方は、自分の定期券がICOCA定期券へ変更可能なのか、近鉄の公式案内で確認しておくと安心です。



