京浜急行電鉄の泉岳寺駅~新馬場駅間で進められている連続立体交差事業について、完成時期が当初予定の2029年度から2036年度へ延期されることになりました。事業費についても大幅な増額となっています。
今回は、建設通信新聞の報道をもとに、事業の変更内容とその背景を見ていきます
東京・京急の連立事業、完了36年度に延伸 工費2135億円に増
建設通信新聞
京急本線の連続立体交差事業とは
今回の事業は、東京都が事業主体となり、港区、品川区、京浜急行電鉄が連携して進めているものです。
対象となるのは、泉岳寺駅~新馬場駅間の約1.7km。線路と道路の立体交差化を進め、3か所の踏切をなくす計画となっています。
踏切による交通渋滞や踏切待ちの解消に加え、踏切事故の防止、鉄道によって分断されていた地域の一体化などが期待されています。
また、品川駅については地平化と2面4線化が計画されており、北品川駅の整備や周辺の道路整備なども含む大規模な事業です。
事業は2021年6月に工事に着手しています。
完成時期は2029年度から2036年度へ
建設通信新聞によると、事業の完了時期は当初予定していた2029年度から2036年度へ、7年延期されることになりました。
主な理由として挙げられているのが、高輪築堤などの埋蔵文化財調査工事の長期化と、品川駅周辺で進められているほかの事業との工事の輻輳(ふくそう)です。
高輪築堤は、1872年に開業した日本初の鉄道の一部で、現在の品川駅周辺の再開発とも関係する歴史的な遺構です。
鉄道工事を進めるにあたっては、こうした文化財の調査や保存への対応も必要になります。さらに、品川駅周辺では再開発など複数の事業が進められており、それぞれの工事を調整しながら進めなければなりません。
単に線路を立体化すればよいというわけではなく、周辺のまちづくりや歴史的な遺構への対応も含めて工事を進める必要があることが、今回の延期の背景にあるようです。
なお、東京都の公式サイトでは、現時点で今回の事業評価に関する資料は確認できていません。今後、東京都から詳細な資料が公表された際には、必要に応じて追記したいと思います。
事業費は約2,230億円に増額
工事期間だけでなく、事業費も大幅に増えることになりました。
建設通信新聞によると、2025年度末時点での事業費は、前回評価時の2022年度と比べて983億円増の約2,230億円となっています。
工事費だけでも961億円増の2,135億8,100万円に達しています。
主な数字を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 変更内容 |
|---|---|
| 事業完了予定 | 2029年度から2036年度へ |
| 全体事業費 | 約2,230億円 |
| 全体事業費の増加額 | 983億円 |
| 工事費 | 2,135億8,100万円 |
| 工事費の増加額 | 961億円 |
事業費の増加要因としては、建設資材や労務費などの高騰による365億円、埋蔵文化財調査に伴う工法変更による141億円などが挙げられています。
資材価格や人件費の上昇に加え、文化財への対応によって工事の進め方も変わることになり、費用の増加につながっているようです。
なお、事業費の負担は東京都側が約1,744億円、鉄道側が約486億円とされています。東京都が事業主体となって進める公共事業であり、京急電鉄だけが費用を負担するわけではありません。
工事の進捗と今後の課題
私のブログでは8月にも、この連続立体交差事業を取り上げました。
前回の記事では、泉岳寺駅~品川駅間の下り線を仮下り線へ切り替える工事を紹介しました。営業線を切り替えながら工事を進めることは、限られた空間で鉄道の運行を続ける都市部の大規模工事ならではの難しさといえます。
今回の事業費増額や完成時期の延期は、こうした工事そのものに加え、文化財調査や周辺の再開発との調整など、さまざまな要素が重なった結果と考えられます。
連続立体交差事業は、完成すれば踏切による交通渋滞の解消や安全性の向上などが期待できます。一方で、工事期間が長くなれば、それだけ費用もかかります。
今後は、工事をどのように進めていくのかだけでなく、増加した事業費をどこまで抑えられるのかも注目点になりそうです。
まとめ
京急本線の泉岳寺駅~新馬場駅間で進められている連続立体交差事業は、完成予定が2029年度から2036年度へ延期され、全体事業費も約2,230億円に増額されることになりました。
背景には、建設資材や労務費の高騰に加え、高輪築堤などの文化財調査や品川駅周辺の工事との調整があります。
3か所の踏切をなくし、品川駅や北品川駅周辺の環境を大きく変える事業だけに、今後の工事の進捗と事業費の動向を引き続き見守りたいところです。
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