大阪都構想でJRの運賃制度にも変化? 「大阪市内」の範囲拡大や大阪環状線内の特例にも注目

大阪環状線桜ノ宮駅221系と323系 JR西日本

大阪都構想の議論が進んでいます。

賛成・反対色々な意見が出ていますが、ここでは鉄道ファンの立場から気になったことを書いてみたいと思います。

今回の大阪都構想で想定されている特別区への再編は、基本的に現在の大阪市域を対象とするものです。

一方で以前の大阪都構想では堺市などの周辺自治体も対象となっていました。

仮に実現した場合には、現在の大阪市などがなくなり東京都23区と同様に区が設置されることになります。

そこで注目したいのが、JRの旅客営業規則第86条に定められている特定都区市内制度です。

現在、JRの長距離乗車券では「大阪市内」という表示が使われています。大阪市が廃止されて複数の特別区に再編された場合、この表示はどうなるのでしょうか。

さらに、大阪市以外の自治体も再編された場合、対象駅の範囲が拡大される可能性や、旅客営業規則第87条に定められている運賃計算の特例が大阪環状線にも適用されるのかについても考えてみます。

JRの長距離乗車券にある「大阪市内」

JRには、一定の条件を満たす長距離乗車券について、都市の中心駅を基準に運賃を計算する特定都区市内制度があります。

例えば、広島市内の駅から大阪市内までの乗車券を購入した場合、制度の対象となる駅であれば、大阪駅以外の駅も着駅として利用できます(岡山からは営業キロが200キロないため適用対象外です)。

この制度は、都市部に複数ある駅を利用する際の利便性を高めるものです。

対象となる駅は旅客営業規則第86条に基づいて定められており、大阪市内についても対象駅の範囲が指定されています。

リンク:JR東日本:旅客営業規則>第2編 旅客営業 -第3章 旅客運賃・料金 -第2節 普通旅客運賃

大阪都構想が実現して大阪市が廃止された場合、「大阪市内」という名称を維持するのか、それとも「大阪都区内」などに変更するのかが気になるところです。

また、対象エリアが拡大されるのかも気になります。

ただし、対象の駅は旅客営業規則第86条で定めていますので、エリアの拡大には規則の改正が必要となり大阪市が祭へされた場合でも自動的には変更されません。

仙台市では合併に伴って対象駅が追加された

参考になるのが、仙台市の事例です。

1987年に泉市と宮城町が仙台市に編入合併され、1988年3月には、仙山線の葛岡駅から奥新川駅が「仙台市内」の対象駅に追加されました。

その後、1988年秋には秋保町も仙台市に編入されましたが、町内に対象となる鉄道駅がなかったため、対象駅の追加という面では影響がありませんでした。

この事例から分かるのは、行政区域の変更が、特定都区市内制度の対象駅の見直しにつながったケースがあるということです。

大阪でも、将来の行政区域の変更に合わせて制度の対象駅が見直される可能性はあるのでしょうか。

もっとも、大阪都構想は大阪市を複数の特別区に再編する構想であり、仙台市のように市域を拡大する合併とは事情が異なります。大阪市が廃止されることだけで、対象駅が自動的に増えるわけではありません。

一方、周辺自治体でも再編に向けた動きが出ています。以前の大阪都構想では堺市が対象となっていましたし、泉佐野市・泉南市などの合併を視野に入れた検討も報じられており、今後の行政区域のあり方は流動的です。

ただし、周辺自治体の合併と大阪市の特別区への再編は別の動きであり、これらの自治体が大阪市の特別区に編入されることが決まったわけではありません。

それでも、将来の行政区域や自治体の枠組みが変わるのであれば、JRの運賃制度との関係も気になるところです。

旅客営業規則第87条にも変化はある?

もう一つ注目したいのが、旅客営業規則第87条に定められている大阪環状線内の運賃計算の特例です。

第86条の特定都区市内制度とは別に、山手線内の駅を発着する乗車券には、一定の条件のもとで運賃計算上の特例が設けられています。

こちらは、山手線内の駅から乗車する場合で東京駅から営業キロが100キロを超えて200キロ以下の区間に適用される特例です。

大阪都構想が実現した場合、この制度が大阪環状線にも適用される可能性もでてくるのではないでしょうか。

ただし、第86条と第87条では制度の目的や適用条件が異なります。大阪市が大阪都(仮名)になったとしても対象となるとは限りません。

仮にJRが制度を見直す場合でも、どの駅を対象にするのか、運賃計算の仕組みをどうするのかなど、個別の検討が必要になると考えられます。

株主優待割引では「大阪市内」などの制度は適用されない

特定都区市内制度について考える際には、株主優待割引を利用した場合の扱いにも注目したいところです。

東海道・山陽新幹線を株主優待割引で利用する場合、JR各社の割引対象区間に応じて乗車券類が別々に発売されます。そのため、通常の長距離乗車券で使われる「東京都区内」や「大阪市内」などの表示とは異なり、実際に利用する駅を発着駅とする取り扱いとなっています。

特定都区市内制度の対象となるエリアであっても、こうしたきっぷでは同制度が適用されず、対象駅の範囲がそのまま利用できるわけではありません。

対象となるエリアには、東京都区内、横浜市内、京都市内、大阪市内、北九州市内、福岡市内があります。

このように、行政区域や対象駅の範囲だけでなく、利用するきっぷの種類によっても扱いが異なります。

大阪都構想によって「大阪市内」の名称や対象駅の範囲が見直される場合、通常の乗車券に加え、株主優待割引を利用する際の取り扱いについても確認する必要がありそうです。

大阪都構想の行方と鉄道の運賃制度

大阪都構想をめぐっては、大阪市を特別区に再編する案だけでなく、周辺自治体でも合併などを視野に入れた動きが出ています。

こうした動きが今後どのように進むかによって、将来の行政区域の姿も変わる可能性があります。

その際、JRの旅客営業規則第86条にある「大阪市内」の名称や対象駅の範囲が見直されるのか。さらに、第87条の大阪環状線内にも新たに適用されるのか。

仙台市の合併に伴って対象駅が追加された事例を踏まえると、行政区域の変化と鉄道の運賃制度の関係は、考察する価値のあるテーマです。

もちろん、現時点で「大阪都区内」への名称変更や対象駅の拡大、第87条の制度変更が決まっているわけではありません。

大阪都構想や周辺自治体の再編が進むなかで、JRがこうした制度をどのように扱うのか、今後の動きにも注目したいところです。

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