予定数に達した「地球探索鉄道花咲線フリーパス」 観光利用と地元の利用は別なのか

根室本線(花咲線) 茶内駅 キハ54系 JR北海道

JR北海道は、釧路~根室間を結ぶ花咲線(根室本線)で発売していた「地球探索鉄道花咲線フリーパス」について、2026年10月12日をもって販売を終了しました。

販売終了の理由は、販売予定数の上限に達したためです。

予定数に達するほど利用されたことは、花咲線に乗ってみたいという人が多いことを示す一つの材料といえそうです。一方で、気になるのは、こうした観光利用の増加が、地元の人たちの日常的な利用にもつながっているのかという点です。

今回は、花咲線の利用状況とJR北海道のローカル線維持の取り組みについて考えます。

【デジタルチケット】釧網線フリーパス/地球探索鉄道花咲線フリーパス

JR北海道ホームページ

「地球探索鉄道花咲線フリーパス」は予定数に到達

今回販売を終了した「地球探索鉄道花咲線フリーパス」は、花咲線(根室本線)の釧路~根室間を対象としたフリーパスです。

JR北海道は、花咲線の魅力を発信し、沿線地域と連携しながら利用促進に取り組んでいます。こうした取り組みの一環として、フリーパスの発売も行われてきました。

今回、販売予定数の上限に達したことから、10月12日で販売終了となりました。

ただし、ここで注意したいのは、販売予定数に達したことと、花咲線全体の利用者が増加していることは、必ずしも同じではないという点です。

今回のフリーパスは、補助金を活用して販売されているきっぷです。販売予定数は、需要だけでなく、活用できる補助金などの条件にも左右されます。

そのため、販売終了という結果だけを見て、花咲線の利用が大幅に増えたと判断することはできません。

3日間有効のフリーパスは使いやすいのか

今回のフリーパスについて、もう一つ気になるのが有効期間です。

このきっぷは3日間有効となっています。花咲線を利用して沿線を巡る旅行であれば、時間をかけて楽しめるメリットがありますが、地元住民が通院や買い物などで利用する場合、3日間続けて鉄道に乗る機会は限られるのではないでしょうか。

一方、観光客にとっても、花咲線だけで3日間の旅行行程を組むのは簡単ではないかもしれません。沿線の観光地をじっくり巡る旅行には向いているものの、利用者がどの程度いるのかは気になるところです。

さらに、販売予定数そのものが少なかった可能性もあります。予定数に達したことは事実ですが、販売数や購入者の利用目的が公表されていなければ、今回の販売終了だけで花咲線の人気が高まっていると判断することはできません。

観光客の利用を増やすことは大切ですが、地域住民の日常利用を促すのであれば、利用実態に合ったきっぷや運行体系も必要になりそうです。

観光利用が好調でも、日常利用はどうなのか

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落石湾

花咲線は、釧路と根室を結ぶ路線です。車窓から北海道らしい風景を楽しめることもあり、観光路線としての魅力があります。

一方で、地域の生活を支える交通機関としての役割も担っています。

2026年10月10日に当ブログで取り上げたJR北海道の2026年度第1四半期の決算・利用状況に関する記事では、花咲線の釧路~根室間について、輸送密度が200人を下回る状況を取り上げました。

輸送密度は、区間の1日当たりの平均的な輸送量を示す指標です。観光シーズンに多くの乗客が乗車したとしても、通勤・通学などを含めた年間の利用状況とは分けて考える必要があります。

もちろん、今回のフリーパスを購入した人が地元住民なのか、道外からの観光客なのかは、販売終了の発表だけでは分かりません。

また、地元の人がフリーパスを利用して沿線を移動することも考えられます。

それでも、観光目的の利用を増やす取り組みと、地域住民が日常的に鉄道を利用するための取り組みは、別々に考える必要があるのではないでしょうか。

花咲線を維持するために必要なこと

JR北海道では、輸送密度が200人以上2,000人未満の線区を「黄色線区」と位置付け、沿線地域と連携しながら利用促進やコスト削減などに取り組んでいます。花咲線も、その対象となる路線の一つです。

さらに、鉄道の維持をめぐっては、国の支援のあり方も論点になっています。

鉄道を維持するには、観光客に乗ってもらうことも大切です。しかし、それだけで地域の交通機関としての役割を維持できるとは限りません。

沿線住民にとって使いやすいダイヤになっているのか。通学や通院、買い物などに利用できるのか。鉄道を利用したくても、運行本数や駅までの移動手段が障壁になっていないか。

こうした点も含めて、利用促進策を考える必要があると思います。

また、地域住民の利用が少ないからといって、鉄道が不要だと簡単に結論付けることもできません。鉄道が地域にもたらす効果や、バスなどに転換した場合の費用・利便性も含めて検討する必要があります。

まとめ

今回、「地球探索鉄道花咲線フリーパス」が販売予定数に達したことは、花咲線に関心を持つ人がいることを示す明るい話題です。

一方で、フリーパスの販売終了だけでは、地元住民の利用が増えたのか、観光客の利用が中心だったのかは分かりません。

花咲線を将来にわたって維持していくためには、観光需要を取り込むとともに、地域の生活を支える交通機関として、どのように利用を確保していくのかが重要になりそうです。

今回の販売終了を、単なる人気きっぷの完売として見るだけでなく、花咲線の利用促進策がどのような成果につながっているのかを考えるきっかけにしたいと思います。

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