利用が極端に少ないことで路線の存廃が議論されている加古川線ですが、2025年4月13日~2025年10月13日の期間に実証実験として1日2往復の増便と谷川駅への特急「こうのとり」の停車を増やしました。その結果が、2025年12月22日にJR西日本よりプレスリリースとして発表されました。
JR西日本ホームページ
加古川線(西脇市駅~谷川駅)の実情
JR西日本が発表している数字は次の通りとなっています。
- 輸送密度 293(2024年度 12位)
- 営業係数 1,758(2022年度~2024年度平均 11位)
でありJR西日本の電化路線の中では最も低い数字となっています。他の路線については以前の記事で取り上げていますのでリンクを貼っておきます。
コストのかかる電化路線ということで輸送密度以上に営業係数の方が悪くなっています。このような状態のため関西地方で一番初めに路線の存廃の議論の対象となったものと思われます。
実証実験の内容
今回の実証実験は次の2つについて行われました。
加古川線(西脇市駅~谷川駅)で2往復(4本)の増便
ダイヤ上で列車の設定がない時間帯に2往復の臨時列車が設定されました。具体的には
- 下り(西脇市→谷川)
- 上り(谷川→西脇市)
| 西脇市 | 谷川 |
| 11:32 | 12:02 |
| 12:38 | 13:08 |
| 谷川 | 西脇市 |
| 10:53 | 11:21 |
| 13:15 | 13:43 |
となっています。これにより列車の空白時間が埋まり利用しやすくなっています。
特急「こうのとり」の谷川駅への停車
福知山線を走る特急列車「こうのとり」を加古川線との接続駅である谷川駅に停車させることにより大阪方面とのアクセスの向上を図る目的で行われました。こちらは、下り1本と上り3本で設定されました。
- 下り(大阪→西脇市)
| 福知山線 | 加古川線 | |||
| 列車名 | 大阪 | 谷川 | 谷川 | 西脇市 |
| こうのとり17号 | 17:05 | 18:27 | 19:03 | 19:32 |
- 上り(西脇市→大阪)
| 加古川線 | 福知山線 | |||
| 列車名 | 西脇市 | 谷川 | 谷川 | 大阪 |
| こうのとり12号 | 10:10 | 10:40 | 11:17 | 12:29 |
| こうのとり14号 | 12:38 | 13:08 | 13:16 | 14:29 |
| こうのとり16号 | 13:41 | 14:10 | 14:16 | 15:29 |
実証実験の結果
加古川線(西脇市駅~谷川駅)で2往復(4本)の増便
輸送密度は、利用促進前2023年と比較すると275→350となりました(+75)。利用者の80%は定期利用者とのことですので、増便の列車よりは朝晩の列車の利用が増えたものと思われます。一般の利用者の増加は15ですので大きな効果があったとは言えないでしょう。
特急「こうのとり」の谷川駅への停車
こちらは、1本あたり0.6人の増加があったようです。こちらも効果として大きなものとは言えない数字となっています。
結果について
2往復の増便と谷川駅への4本の特急列車の停車の実証実験を行いましたが、満足な結果とはなりませんでした。これがうまくいけば、列車の運転化間隔を1時間にするといった次に段階に進むことが可能だったと思いますが今の結果では難しいと思われます。今後は、加古川線の利用者の掘り起こしといった地道な努力で利用者を増やしていくことが必要ではないでしょうか。
まとめ
加古川線(西脇市駅~谷川駅)では、増便と特急「こうのとり」の谷川駅への臨時停車という利用者増加のための実証実験を半年間行いました。その結果が発表されましたが、あまり良いものではなく今後の運動の方針について見なおしが必要なものとなっています。


