JR九州から旧国鉄特定地方交通線の伊田線・糸田線・田川線の各線を引き継いで営業している平成筑豊鉄道の今後のあり方が現在話し合われていますが、沿線の9市町村の意向が判明したことが各種報道により明らかになりました。その内容を見る限り鉄道での存続については厳しい模様です。
沿線自治体9市町村の「選択」
福岡県筑豊地域を走る第三セクター鉄道・平成筑豊鉄道。
長年にわたり地域の足を担ってきたこの鉄道をめぐり、沿線9市町村の意向がはっきりと分かれたことが明らかになりました。
2026年3月、沿線自治体が参加する法定協議会で示されたのは、次の3つの選択肢です。
- 鉄道を上下分離方式で維持
- BRT(バス高速輸送システム)への転換
- 一般路線バスへの転換
そして、その内訳は非常に象徴的な数字となりました。
路線バス転換案を支持(5市町村)
- 行橋市
- 香春町
- 糸田町
- 小竹町
- 赤村
全体の過半数が、最もコストの低い「一般路線バス」への転換を支持しています。
鉄道という形にこだわらず、「移動手段として成立するか」「財政的に持続可能か」を重視した判断と言えるでしょう。
鉄道存続(上下分離方式)を支持(2町)
- 福智町
- みやこ町
鉄道を地域の象徴・インフラとして評価し、上下分離方式での存続を支持する自治体です。
ただし2自治体にとどまっている点は、鉄道存続の厳しさを物語っています。
BRT案を支持(2市)
- 直方市
- 田川市
鉄道とバスの「中間的存在」とも言えるBRT。
定時性や速達性を確保しつつ、鉄道よりコストを抑えられる点を評価した判断です。
数字が語る「現実」
この 5:2:2 という構図は、非常に示唆的です。
- 「鉄道を残したい」という思いはある
- しかし、財政負担を背負える自治体は少ない
- 結果として「現実解」としてのバス転換が多数派になる
これは平成筑豊鉄道に限った話ではありません。
全国のローカル線問題で、今まさに同じ構図が各地で繰り返されています。
なぜ意見が割れたのか
鉄道存続の課題
- 将来30年単位で見た場合の巨額な維持費
- 人口減少・利用者減少が止まらない現実
- 自治体財政への長期的な圧迫
BRTのジレンマ
- 専用道整備など初期投資は決して小さくない
- 「鉄道廃止」というイメージをどう受け止めるか
路線バス転換の強み
- 初期費用が最も小さい
- 路線変更・増減が柔軟
- 自治体にとって“決断しやすい”
その結果、「理想」と「現実」の間で、自治体の判断が分かれた形です。
まとめ
平成筑豊鉄道の議論は、
『ローカル鉄道はどこまで“守るべき存在”なのか』
という問いを私たちに突きつけています。
鉄道は確かに魅力的です。
しかし、数字と将来人口を直視したとき、選択肢は限られてきます。
今回示された 「鉄道2・バス5・BRT2」 という構図は、
これから全国で起きるローカル線議論の“縮図”とも言えるでしょう。
この先、協議会がどの案に集約されるのか。
そして、それが他地域のローカル線にどんな影響を与えるのか。
引き続き注目していきたいところです。

