JR九州が、日豊本線の東別府駅の駅舎を改修し、宿泊施設として活用する「BEPPU 1911」プロジェクトを始めます。
1911年(明治44年)に開業した歴史ある木造駅舎に泊まることができるようになり、2027年春頃の開業が予定されています。
「駅に泊まる」という、鉄道ファンだけでなく旅行好きの人にも気になる施設になりそうです。
明治44年築、別府市指定有形文化財の駅舎に泊まる
JR九州ホームページ
東別府駅の駅舎を改修した一棟貸しの宿泊施設
「BEPPU 1911」プロジェクトを開始
1911年開業の東別府駅
東別府駅は大分県別府市にある日豊本線の駅です。
1911年(明治44年)に、現在の日豊本線にあたる豊州本線の「浜脇駅」として開業しました。
開業から100年以上が経過した現在も、木造平屋建ての駅舎が残っています。
この駅舎は別府市の有形文化財にも指定されています。
一時は駅舎の改築も検討されたそうですが、保存を望む声もあり、現在まで開業当時の姿を伝えてきました。
東別府駅は、別府八湯の一つである浜脇温泉の温泉街に位置しています。
駅を降りると、歴史ある駅舎だけでなく、昔ながらの温泉街の雰囲気も楽しめる場所です。
「泊まれる駅」として2027年春頃に開業
今回、JR九州はこの東別府駅の駅舎を一棟貸しの宿泊施設として改修します。
施設の名称は、
「THE STATION HOTEL BEPPU 1911」
です。
1日1組限定の一棟貸しで、最大7名まで宿泊できる施設となる予定です。
駅舎内に残る旧駅事務室を宿泊空間として改修するほか、敷地内には別棟も新築。
建築当時から残る木の柱や引き戸などを活用し、現役の駅で過ごす時間を楽しめる施設を目指しています。
そして、この宿泊施設の面白いところは、駅が廃止された跡地ではなく、現在も列車が走る現役の駅に泊まることができるというところです。
JR九州によると、コンセプトは「百年の車窓」。
客室の窓から、駅を行き交う列車の気配を感じながら過ごすことができる宿泊施設になりそうです。
駅舎を利用した宿泊施設は奈良県でも
実は、駅舎を宿泊施設として活用する例は今回が初めてではありません。奈良県の万葉まほろば線(桜井線)・櫟本駅でも、駅舎を利用した宿泊施設が2026年7月に開業しています。
「駅から徒歩0分」というより、駅そのものに泊まる――そんな施設が櫟本駅にも登場しました。
櫟本駅に続いて、今度は別府の東別府駅でも、1911年開業の歴史ある駅舎が宿泊施設として生まれ変わります。
宿の浴室は「白湯」 温泉は浜脇の温泉街で
alt="別府市営浜脇温泉" class="wp-image-16734"/>別府といえば、やはり温泉を思い浮かべる人も多いでしょう。
東別府駅の周辺も浜脇温泉の温泉街です。
ただし、「BEPPU 1911」の施設内に設けられる浴室は温泉ではなく白湯となっています。
ただ、別府まで来て「宿泊施設のお風呂が白湯なの?」と思う人もいるかもしれません。
私も以前、別府を訪れた際にバスガイドさんから「別府では一般家庭でも温泉がある」と聞いて、かなり驚いたことがあります。
実際、別府市も「自宅やマンションに温泉を引いている家庭も珍しくない」と案内しています。もっとも、誰でも簡単に自宅へ温泉を引けるというわけではありません。温泉を引くための仕組みや費用があり、新たに温泉を掘る場合には県の許可も必要です。
だからこそ、東別府駅の宿泊施設は「お風呂まで温泉にしなければ」というより、駅舎での宿泊を楽しみ、温泉は温泉街で楽しむという考え方なのかもしれません。
庭を望む浴室が別棟に設けられる予定ですが、温泉旅館のように宿の浴槽で温泉を楽しむ施設ではありません。
その代わり、せっかく東別府駅に泊まるのなら、浜脇温泉の外湯を訪ねてみるのもよさそうです。
宿でゆっくり過ごすだけではなく、駅を出て温泉街を歩く。
「BEPPU 1911」は、そうした地域との回遊も意識した施設となっています。
「駅に泊まる」だけではない施設に
JR九州では、駅舎などの空間を地域とともに活用する「ekinico(えきにこ)」の取り組みを進めています。
東別府駅でも、これまでに駅構内の保線詰所を活用した「BEPPU STUDIO 04」が整備されています。
今回の「BEPPU 1911」も、その取り組みの一環です。
宿泊施設では、地域の人によるまち歩きなどのチェックインツアーや、別府のアート文化に触れるツアー・体験プログラムなども予定されています。
単純に「古い駅舎をホテルにする」というだけではなく、東別府駅を起点として浜脇の街を歩いてもらうことも狙いの一つのようです。
宿泊料金や予約方法はこれから発表
「BEPPU 1911」は2027年春頃の開業を予定しています。
宿泊予約の受付は2026年11月頃から開始する予定で、宿泊料金や食事についてもその際に発表される予定です。
駅舎を丸ごと一棟貸しするということで、一般的なホテルとはかなり違った宿泊体験になりそうです。
鉄道ファンなら「駅に泊まる」というだけでも気になりますし、別府を訪れる旅行者にとっても、温泉街を歩きながら歴史ある駅舎で一晩過ごすという楽しみ方ができそうです。
1911年に開業した駅が、2027年からは「泊まれる駅」として新しい役割を持つことになります。
現役の駅として列車を迎えながら、宿泊施設としても次の100年へ。
東別府駅がどのような場所に生まれ変わるのか、開業が楽しみです。


