政府が北陸新幹線の地方負担軽減に前向き 公平な負担のあり方を考える

北陸新幹線(福井駅~敦賀駅) 整備新幹線

政府が北陸新幹線(敦賀~新大阪間)の建設費について、沿線自治体の地方負担を軽減する方向で検討しているとの報道がありました。高市首相も地方負担の軽減に前向きな姿勢を示したとされています。

北陸新幹線の延伸は、建設費の増加や京都府内でのルート問題などもあり、なかなか前へ進みません。その中で地方負担の軽減は、事業を進めるための大きな後押しになるかもしれません。

しかし、このニュースを見て少し気になったことがあります。

高市首相、北陸新幹線延伸の地方負担軽減に前向き姿勢 福井県は「大変心強い」

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北陸新幹線の建設費は国民全体が負担するだけでいいのか

地方負担を軽くするということは、その分を国が負担する可能性があります。国が負担するということは、最終的には税金によって全国の国民が負担することになります。

もちろん北陸新幹線は全国的な高速鉄道ネットワークであり、災害時の代替ルート確保など国全体にメリットがあります。

一方で、最も大きな恩恵を受けるのはどこでしょうか。

私は、福井県だけではなく、京都府や大阪府、さらには関西経済圏も大きな利益を受けると考えています。

東京と関西を結ぶルートが一つ増えることで、観光客やビジネス利用の拡大、企業活動の活性化など、多くの経済効果が期待されています。

整備新幹線着工5条件

現在のルールでは、整備新幹線の着工については5つの条件を満たす必要があります。その中の、「投資効果(B/C)が1を越える事」については、2026年6月19日に従来の新幹線が着工された区間(敦賀駅~新大阪駅)の便益のみを用いて計算する「単独評価」の他に、北陸新幹線全体(東京駅~新大阪駅)で計算する「全線評価」の値も公表されました。その値は次の通りです。

ルート建設費工期単独評価(B/C)全線評価(B/C)
小浜・京都ルート(南北案)4兆2000億円25年0.51.1
小浜・京都ルート(桂川案)3兆9000億円26年0.51.1
亀岡ルート3兆3000億円25年0.61.0
米原ルート(東海道新幹線乗入)2兆1000億円以上18年0.71.0
米原ルート(米原乗換)1兆3000億円18年1.01.0
湖西ルート(新設)4兆7700億円18年0.51.0
湖西ルート(湖西線改軌)5兆1000億円28年0.31.0
舞鶴ルート(京都経由)5兆7000億円25年0.31.0
舞鶴ルート(亀岡経由)4兆1000億円18年0.41.0

2025年10月23日に作成した記事ですので、B/Cについては以前の値を使用しています。また、亀岡ルート・舞鶴ルート・湖西ルートについては、株主総会でのJR西日本の回答などを見る限り個人的には厳しいのではないかと思います。小浜ルート・米原ルートの可能性が高くなるようであれば改めて見てみたいと考えています。

事業費以外の問題もありますので、今後着工5条件の見直しもあるかもしれません。

整備新幹線建設には「受益者負担」という考え方も必要では

もし地方自治体の負担を減らすのであれば、その不足分をすべて国費で補うだけではなく、完成によって恩恵を受ける地域も一定の負担をお願いするという考え方もあるのではないでしょうか。

例えば、

  • 京都府
  • 大阪府
  • 経済効果が期待される周辺自治体

などが、受益に応じた形で建設費を分担する仕組みがあっても不思議ではありません。

道路や空港などでも「受益者負担」という考え方はあります。

北陸新幹線についても、「誰が利益を受けるのか」という視点で議論することは重要だと思います。

一方で、整備新幹線は全国的な高速交通ネットワークであり、防災や国土強靱化という観点から国の負担を増やすべきという意見があることも理解できます。

全国の整備新幹線にも影響する議論

今回の地方負担軽減が実現すれば、今後の整備新幹線にも大きな影響を与える可能性があります。

北海道新幹線や九州新幹線西九州ルートなどでも、「国がより多く負担すべき」という議論が広がるかもしれません。しかし、東北新幹線(盛岡駅~新青森駅)・北海道新幹線・九州新幹線・西九州新幹線の建設の際は、線路が通っている自治体が決められた割合の負担を行っていることを考えれば不公平ではないかとの声が上がるのではないでしょうか。

また、滋賀県が北陸新幹線に前向きでないのは事業費の負担だけが理由ではありませんので、国が事業費の一部を負担しても賛成に回るとは限りません。

だからこそ、「国が負担する」という結論だけではなく、「利益を受ける地域も応分の負担をする」という公平性もあわせて議論してほしいと感じます。

北陸新幹線は日本全体にとって重要なインフラですが、その財源のあり方については、これからも丁寧な議論が必要ではないでしょうか。

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