西武鉄道は2026年9月2日、通勤形車両「20000系」全144両(10両編成8本・8両編成8本)をリニューアルすると発表しました。
リニューアル車両は2028年から順次運行を開始する予定です。
今回のリニューアルでは、主要機器の更新だけでなく、車両の外観・内装デザインも変更されます。
さらに、20000系を製造した日立製作所の笠戸事業所(山口県下松市)でリニューアル工事を実施することから、長年西武線で活躍してきた車両が「製造元へ里帰り」することも大きな特徴となっています。
西武鉄道ホームページ
西武20000系全144両をリニューアル
今回リニューアルの対象となるのは、西武20000系の全144両です。
内訳は10両編成が8編成、8両編成が8編成となっています。
20000系は2000年2月にデビューした車両で、「環境と人にやさしい」をテーマに開発されました。
アルミニウム合金製の車体による軽量化や電力回生ブレーキの採用などにより、省エネルギーにも配慮された車両です。
また、西武鉄道の通勤車両として初めてワンハンドル・マスコンやLEDによる車外の種別・行先表示器を採用するなど、当時としては新しい設備も取り入れられました。
2026年現在では登場から26年が経過していますが、今回のリニューアルによって、今後も西武線の通勤・通学輸送を支える車両として活躍することになります。
日立製作所の笠戸事業所へ「里帰り」と甲種輸送
今回のリニューアルで特に注目したいのが、工事を行う場所です。
20000系は日立製作所が製造した車両で、今回のリニューアルは山口県下松市にある日立製作所の笠戸事業所で実施されます。
笠戸事業所は、新幹線やモノレールなど、さまざまな鉄道車両を製造している国内最大級の鉄道車両製造拠点です。
そのため、対象となる20000系の送り込みやリニューアル後の返却で甲種輸送が行われれば、山陽本線を経由して岡山県内を走ることになります。西武線で活躍する20000系が岡山を通過する機会が生まれるのか、今後の動きにも注目です。
岡山駅では19時頃に甲種輸送の列車が設定されることがあり、東京メトロなどの車両が山陽本線を通過する姿を見ることができました。今回も西武20000系のリニューアルに伴う甲種輸送が実施されれば、岡山を通過する姿を見られる可能性があります。
つまり、西武線で長年走り続けてきた20000系が、製造された場所へ戻ってリニューアルされることになります。
日立製作所によると、笠戸事業所で製造された車両が「里帰り」してリニューアルを実施するのは今回が初めてです。
リニューアルにあたっては改造専用の設備を用意し、施工体制を強化。製造元が持つ設計・製造の知見を生かすことで、工期の短縮と品質の向上を目指します。
外観デザインも変更へ
今回のリニューアルでは、20000系の外観デザインも変更されます。
20000系の製造時に掲げられていた「シンプル&クリーン」というデザインコンセプトを引き継ぎながら、新しいデザインへ進化させるとしています。
車両正面では、現在の波板部をシルバーに変更。
さらに車両側面については、ストライプと西武鉄道のコーポレートカラーをもとにしたデザインとなります。
そのため、2028年以降はこれまでの20000系とは少し印象の異なる車両が西武線を走ることになります。
リニューアル後の姿がどのように見えるのか、実際の運行開始が今から楽しみなところです。
車内も木目調の床・濃いブルーの座席に
車内についても大きく変わります。
床面には木目調を採用し、座席モケットは濃いブルーとなります。
西武鉄道らしい「やさしい」空間を目指したデザインで、袖仕切りも大型化されます。
さらに今回のリニューアルでは、全車両にフリースペースを設置します。
さまざまな移動ニーズに対応するとともに、「つながりが伝わるデザイン」を追求した車内となります。
現在も利用できる荷棚などは残しながら、座席や床材など乗客が直接触れる部分を中心に更新する方針です。
主要機器や安全設備も更新
見た目だけではなく、車両の機器類もリニューアルされます。
SIV装置、空調装置、モニター装置などの主要機器を更新するほか、放送装置や非常通報装置などの補助機器も更新されます。
これにより、安全性の向上に加えて、乗り心地や利便性の改善も図られます。
リニューアルされた20000系は、これまでの車両を単純に延命するだけではなく、設備を現代の利用環境に合わせながら、これまでのデザインコンセプトや車両そのものの価値を引き継いでいく形となります。
2028年から順次運行開始
西武20000系のリニューアル車両は、2028年から順次運行を開始する予定です。
対象は全144両ですが、現時点では具体的な編成ごとの施工順序や運行開始時期などは明らかにされていません。
2000年に登場した20000系は、2028年には登場から28年を迎えることになります。
今回のリニューアルによって、車両を廃車して新型車両に置き換えるのではなく、既存車両を大規模に更新して長く使い続けることになります。
西武鉄道と日立製作所は、既存車両の改造・更新を通じて、車両を長期にわたり安全・快適に活用する「ライフサイクル価値」の向上を目指しています。
今後、笠戸事業所へ最初の20000系が入場し、リニューアルを終えて西武線へ戻ってくるまでの動きにも注目したいところです。
2028年から登場する新しい20000系が、西武線でどのような姿を見せるのか期待したいですね。

