山口県岩国市を走る錦川鉄道の「錦川清流線」。
現在は川西~錦町を結ぶ路線(列車はJR岩徳線を通り岩国駅まで乗り入れ)ですが、この路線にはかつて「岩日線」という名前がありました。
「岩日」とは、岩国駅と島根県津和野町にあるJR山口線の日原駅を結ぶ計画だったことに由来します。
鉄道としては全線が開通することはありませんでしたが、今回、錦川鉄道が錦町から津和野方面へ向かう連絡バス「清流リレー号」を期間限定で運行します。
鉄道でつながることがなかった区間を、バスで訪ねることができる機会となりそうです。
錦町駅~津和野駅間連絡バス「清流リレー号」の運行について – 錦川鉄道株式会社
錦川鉄道ホームページ
「岩日線」は岩国と日原を結ぶ計画だった
現在の錦川清流線の前身は「岩日線」です。
その名前の通り、岩国から島根県の日原までを結ぶ鉄道として計画されました。
1922年に改正鉄道敷設法が公布されると、「山口県岩国ヨリ島根県日原ニ至ル鉄道」が予定線として位置付けられます。
その後、岩国側から建設が進められ、1960年には川西~河山間、1963年には河山~錦町間が開業。
現在の錦川清流線につながる区間が完成しました。
一方、錦町から先の日原方面についても建設が進められ、「岩日北線」と呼ばれる区間として工事が行われました。
しかし、錦町から先が営業線として開業することはありませんでした。
錦川清流線についても他のJR(国鉄)から赤字ローカル線として引き継いだ鉄道と同様に苦しい経営が続いており、2026年4月から「みなし上下分離」方式で2035年度までの存続が決まっています。
錦町から先は「未成線」に
錦町から島根県側へ向かう岩日北線では、トンネルや高架橋などの構造物が造られました。
ところが、工事は途中で中断。
そのため、岩国と日原を鉄道で結ぶという当初の計画は実現しませんでした。
現在の錦川清流線は、岩国市の川西駅から錦町駅までを結ぶ路線となっています。
「岩日線」という名前だけを見ると、岩国と日原を結んでいそうですが、実際には日原まで鉄道が到達することはなかったわけです。
鉄道ファンにとっては、この「もし全線が完成していたら」という歴史も興味深いところではないでしょうか。
錦川鉄道が「清流リレー号」を運行
そんな岩日線の歴史を感じられる企画が今回行われます。
錦川鉄道では、錦町駅と津和野駅を結ぶ連絡バス「清流リレー号」を期間限定で運行します。
運行日は2026年10月と11月の3日間です。
鉄道では錦町駅までしか行くことができませんが、そこから先をバスで移動することで、岩日線が目指していた島根県方面へ向かうことができます。
今回のバスは、かつて計画された岩日線そのものを復活させるものではありません。
しかし、岩日線の歴史を知ったうえで利用すると、普段とは少し違った旅になりそうです。
錦川清流線に乗って錦町駅まで行き、そこから「清流リレー号」に乗り換えて津和野方面へ向かうという旅もできます。
未成線跡を利用した「とことこトレイン」も
錦町から先の岩日北線は未成線となりましたが、その遺構が現在も活用されています。
代表的なのが「とことこトレイン」です。
錦町駅から雙津峡温泉方面へ向かう観光用の乗り物で、岩日北線として建設された区間の一部を利用しています。
鉄道として完成することはなかった区間が、現在は観光資源として活用されているのは興味深いところです。
錦川清流線では、未成線跡だけでなく、現在の路線そのものを活用した観光列車も運転されています。
今回の「清流リレー号」と組み合わせれば、岩日線の歴史をたどる旅を考えてみてもよさそうです。
2026年10月~12月は「山口デスティネーションキャンペーン(山口DC)が開催
なお、2026年10月から12月にかけては「山口デスティネーションキャンペーン」も開催されます。
山口県内では観光列車の運転やさまざまな特別企画が予定されています。
「清流リレー号」はこの一環として運行されます。
まとめ 岩国と日原を結ぶはずだった「岩日線」
現在の錦川清流線を見ると、岩国から錦町までのローカル線という印象が強いかもしれません。
しかし、その名前のルーツをたどると、もともとは岩国から島根県の日原までを結ぶ壮大な計画がありました。
「岩日線」という名前には、岩国の「岩」と日原の「日」が入っています。
計画された鉄道は日原まで到達しませんでしたが、錦町から先には現在も当時の工事の痕跡が残り、その一部は観光に活用されています。
そして今回、錦川鉄道が期間限定で運行する「清流リレー号」は、錦町から津和野方面へ向かう移動手段となります。
鉄道としてはつながらなかった岩国と日原。
その間を現在の交通機関で訪ねてみると、「岩日線」という名前が付けられた頃の計画にも思いを巡らせることができそうです。
錦川清流線に乗る機会があれば、単に錦町までのローカル線として乗車するだけでなく、その先にある「岩日北線」の歴史にも注目してみてはいかがでしょうか。



-120x68.jpg)
