関西と山陰を結ぶ看板特急である智頭急行の HOT7000形で運転される特急列車「スーパーはくと」 に、大きな転機が訪れようとしています。
第三セクター鉄道の 智頭急行 は、老朽化が進む現行車両の更新に向け、新型車両の導入を検討していることを明らかにしました。
一方で明らかになったのが、2025年度の平均利用率が約40%という厳しい数字。
新車導入の一方で、「減車」や「編成見直し」も避けられないのでは、という声が現実味を帯びてきました。
スーパーはくと車両更新へ 開業から30年、5年程度先の導入目指す 智頭急行
山陰中央新報ホームページ
智頭急行ホームページ
開業から約30年、ついに車両更新の検討段階へ
「スーパーはくと」で使用されているHOT7000系は、1994年の運転開始から約30年が経過。
地方私鉄・第三セクターにとって、車両更新は経営を左右する一大事業です。
報道によると、智頭急行は JR西日本 と協議しながら、
今後5年程度を目安に新型車両を導入したい考えを示しています。導入される車両についてはハイブリッド式気動車になると思われます。
→快適性向上・バリアフリー対応・省エネ化など、
現代の特急列車として求められる要素を盛り込んだ車両になる可能性が高そうです。
利用率40%という現実…数字が突きつける厳しさ
alt="智頭急行スーパーはくと" class="wp-image-8374"/>しかし、ここで無視できないのが利用実態です。
智頭急行が公表した決算資料によると、
2025年度の「スーパーはくと」平均乗車率は約40%前後。
これは裏を返せば、
- 半分以上の座席が空席の状態で走っている列車が多い
- コロナ前の水準には、まだ完全に戻っていない
ということを意味します。
特急列車は本来、
「高速」「快適」「付加価値」が強みですが、
人口減少・マイカー利用・高速バスとの競合など、
地方路線を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。
新車=同じ両数とは限らない?
今回のポイントはここです。
新型車両の導入=
「今と同じ5両編成をそのまま更新する」とは限らない、という点。現在、「スーパーはくと」用のHOT7000形は34両(グリーン車+普通車 5両・普通車 29両)あります。
報道では、
- 利用状況を踏まえ
- 編成両数や車両数の見直しも含めて検討
とされており、
実質的な“減車”の可能性もにじませています。一方で、智頭急行がJR西日本から受け取っている車両使用料は結構な金額と言われており減車によって収入が減少することも考えられるため経営上の判断が求められます。
▶ 減車は「後退」ではなく「現実的判断」
鉄道ファンとしては少し寂しい話ですが、
- 空席を大量に抱えたまま運行
- 高額な新車をフル編成で更新
よりも、
- 需要に合った車両数
- 維持費を抑えた持続可能な運営
を選ぶのは、第三セクターとしては極めて現実的な判断とも言えます。利用者の多い時期以外に利用すると空席が目立つのも現実ですので仕方がない所でしょうか。
「スーパーいなば」はもう少し後になりそう
alt="スーパーいなば(岡山駅)" class="wp-image-8375"/>岡山駅と鳥取駅を結ぶ特急列車「スーパーいなば」についても、決算資料の中で乗車率が発表されていますが、こちらも40%を少し切る数値となっています。「スーパーいなば」で使用されているキハ187系は所有はJR西日本となっています。
キハ187系は、2003年10月1日に「いなば」が「スーパーいなば」名称変更した時に投入された車両ですので、こちらは置き換えまでは10年程度ありそうです。また、「スーパーいなば」は片運転台車両を使用して原則2両編成(多客期は増結)で運行していますので減車は難しいと思われます。
それでも「スーパーはくと」は重要な路線
忘れてはいけないのは、「スーパーはくと」が
- 大阪・神戸圏と鳥取・因幡地域を直結
- 観光・ビジネスの両面で重要な役割
を担っていることです。
減車=列車の価値低下、ではありません。
むしろ今後は、
- 観光需要を意識したサービス
- 快適性重視の車内設備
- ダイヤや運行形態の最適化
など、“量より質”への転換が求められる段階に来ているのかもしれません。
智頭急行は、2027年春から交通系電子マネー(ICOCA・Suica等)が利用開始になる予定です。
まとめ
新車導入という明るい話題の裏で、
利用率40%という数字が突きつける現実。
地方鉄道にとって、
「走らせ続けること」そのものが挑戦の時代です。
それでも「スーパーはくと」は、
山陰と関西を結ぶ大切な動脈。
規模を見直しながら、どう生き残っていくのか。
今回の新車導入計画は、その分岐点と言えそうです。



