広島電鉄(広電)が新規路線「平和大通りルート」を検討 「速達性」「安全性」「輸送力」の3点に注目

広電西広島駅 広島電鉄

広島電鉄(広電)が、路面電車の新たな路線となる「平和大通りルート」の実現に向けて検討を進めています。

2026年5月に発表された「広電グループ経営総合3ヵ年計画2028」でも、平和大通りルートの実現に向けて関係機関との協議・調整を進める方針が示されていました。

今回、広島テレビの報道で、具体的なルートや開業を目指す時期などが明らかになりました。

広電がこのルートを検討する背景には、速達性、安全性、そして将来的な輸送力という3つのポイントがあります。

広島電鉄が「平和大通りルート」構想を検討

広テレホームページ

現在の西観音町~土橋間に代わるルート

現在、広島電鉄の路面電車は西観音町から観音町、天満町などを経由して土橋方面へ向かっています。

これに対して「平和大通りルート」は、西観音町から平和大通りを経由し、小網町交差点付近で江波線につなぐルートが検討されています。

距離は約900メートル。

現在のルートと比べて右左折する場所が少なくなるため、所要時間を数分程度短縮できる見込みです。

広島テレビの報道では、広電はこの新ルートへの切り替えによって、速達性の向上だけでなく、バリアフリー化や安全性の確保も目指しているとしています。

開業時期については、2036年度ごろを目標としています。

これは、アストラムラインのJR西広島駅方面への延伸が目指されている時期とも重なります。

なぜ平和大通りルートが必要なのか

今回の計画で特に気になるのが「安全性」です。

現在の西観音町や観音町、土橋、小網町周辺には、道路幅が狭い場所があります。

広電では現在、30メートル級の大型車両も運行しています。

かつての路面電車より車両が大型化している一方で、道路側の環境が昔のままでは、安全に運行するうえで課題が出てきます。

広電側も、より幅の広い道路を走行することで、安全性や利便性を高めたいという考えを示しています。

特に小網町電停は、安全地帯が設けられていない電停として知られています。

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広島電鉄小網町電停

小網町電停では、一般的な路面電車のようなホームが設けられておらず、道路上の乗降スペースを利用します。写真で見ると、電車と自動車が近い位置を通行していることが分かります。

平和大通りルートの検討では、こうした現在の路線が抱える安全面の課題を改善できるかという点も注目されます。

そのため、今回の新線計画は単純に「新しいルートを作って時間を短縮する」という話だけではありません。

現在の路面電車ネットワークが抱える安全面の課題を、新しいルートによって改善する意味もあります。

「輸送力」の向上もポイント

もう一つ注目したいのが「輸送力」です。

広電は、将来的にアストラムラインがJR西広島駅まで延伸されることを想定しています。

そうなると、西広島駅と広島市中心部を結ぶ公共交通の需要についても考える必要があります。

広電では、西広島駅から白神社付近までのルートについて、将来的な輸送需要を考慮して輸送力向上の観点から検討する必要があるとの考えを示しています。

つまり、平和大通りルートは現在の路面電車の混雑や所要時間だけを見るのではなく、2030年代の広島市の公共交通ネットワークを見据えた計画ともいえそうです。

広島市では地下鉄がないことから、広電は路面電車を主要な大量輸送公共交通機関として位置付ける考えも示しています。

「駅前大橋ルート」に続く路面電車ネットワークの見直し

広島電鉄では、2025年に開業した駅前大橋ルートによって、広島駅への路面電車のアクセスが大きく変わりました。

そして2026年には、循環線の運行開始や路面電車の速度向上など、既存路線を含めたネットワークの見直しが進んでいます。

さらに今回の平和大通りルートです。

広島電鉄は2026年5月に発表した中期計画で、電停の見直しや新たな路線の検討など、路面電車ネットワークの将来像を示していました。

今回の「平和大通りルート」は、その中でも具体的な動きが出てきたものです。中期計画については、以前の記事でも取り上げています。

2036年度ごろの開業を目指す

平和大通りルートについて、広電は2036年度ごろの実現を目指しています。

ただし、現時点ではまだ検討段階です。

新線を整備するためには、道路管理者や広島市、警察など関係機関との協議が必要になります。

また、今回のルートでは緑大橋の架け替えも関係するとみられています。

そのため、今後の協議によって具体的なルートや整備方法などが変わる可能性もあります。

とはいえ、広電が2026年度からの中期経営計画に「新線計画の推進」を明記し、平和大通りルートの実現に向けて動き始めていることは注目できます。

広島では、広島駅への新ルートが開業した後も、路面電車のネットワークをどのように変えていくのかという議論が続いています。

平和大通りルートは、「速達性」「安全性」「輸送力」という3つの面から、これからの広島の路面電車を考えるうえで興味深い計画になりそうです。

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