広島電鉄は、2026年度から2028年度までを対象とする中期経営計画を発表しました。
人口減少や人手不足、施設の老朽化といった全国の鉄道事業者が直面する課題に向き合いながら、広島の街を支える路面電車を「どう持続可能にしていくのか」。
今回の計画では、その答えがかなり踏み込んだ形で示されています。
とくに鉄道(電車)事業では、
①電停の統廃合
②ワンマン運転の拡大
③運賃制度の見直し(値上げ含む)
④平和大通りルートの新設
という4つが大きな焦点になっています。
広電グループ経営総合3ヵ年計画2028
広島電鉄ホームページ
2026年度~2028年度
電停の統廃合へ “細かすぎる電停配置”を見直す動き
今回の計画で目を引くのが、電停の集約・統廃合を進めるという明確な方針です。
広島電鉄の路線は、歴史的経緯から電停間隔が非常に短い区間が多く、
- 停車回数の多さ
- 表定速度の低下
- ダイヤ乱れの影響拡大
といった課題を抱えてきました。
電停を整理することで
- 所要時間の短縮
- 定時性の向上
- バリアフリー化の集中整備
といった効果が期待されます。
一方で、生活の足として電停を使っている利用者にとっては「最寄り電停が遠くなる」可能性もあり、今後の具体案と説明の丁寧さが重要になりそうです。
ワンマン運転の拡大 人手不足時代の現実的な選択
運転士不足が深刻化するなか、ワンマン運転の拡大も計画の柱に据えられました。
路面電車はもともとワンマン運転との相性が良いとはいえ、
- 乗降時間の増加
- 運賃収受の負担
- 混雑時の安全確保
などの課題もあります。広島電鉄では、ワンマン運転の際、運転手のいるドア以外では、現金・ICカードのみで降車することになります。それ以外の方法で乗車する場合(一日乗車券・MOBIRY・乗車証・その他乗車券)は、運転台扉に移動する必要があります。
今後は
- 車両・電停設備の改良
- 運行管理の高度化
- 利用者の協力を前提とした運用
を組み合わせながら、「省力化」と「サービス維持」の両立を図っていく流れになりそうです。
運賃制度の見直し 値上げは避けられない流れか
中期経営計画では、「適切な運賃制度の見直し」も明記されました。
広島電鉄は近年すでに運賃改定を実施していますが、
- 人件費の上昇
- 電力・資材価格の高騰
- 設備更新投資の増加
を考えると、さらなる見直し(値上げ)を含めた検討は現実的な選択とも言えます。現在の初乗り運賃の、おとな240円(こども120円)の運賃は他の事業者と比べた場合決して安い方ではありませんが・・・。
全国の鉄道事業者が相次いで運賃改定を発表するなか、
広島電鉄も「安さ」より「持続可能性」を重視する段階に入った、と見ることができそうです。
平和大通りルート新設 広島の路面電車を変える“切り札”
alt="広島平和大通り" class="wp-image-7285"/>今回の計画でもう一つ注目したいのが、平和大通りルートの新設です。
平和大通りは
- 道路幅が広い
- 直線的なルートが確保しやすい
- 都心アクセス改善効果が高い
という点で、路面電車にとって非常に魅力的な空間です。
実現すれば
- 所要時間の短縮
- 混雑区間の分散
- 観光動線の強化
など、広島の公共交通全体に与えるインパクトは小さくありません。
長年構想段階にとどまってきたルートが、中期計画に明確に盛り込まれた意味は大きいと感じます。
2026年3月28日から運行が開始された「循環線」のことを考えると、広島電鉄は実態に応じた運行形態を常に考えているようです。
「便利」から「続く」路面電車へ 広島電鉄の覚悟
今回の中期経営計画を通して感じるのは、
広島電鉄が「これまでのやり方を守る」から「続けるために変える」段階に入ったということです。
電停の統廃合も、ワンマン運転も、運賃見直しも、
利用者にとっては決して手放しで歓迎できる話ばかりではありません。
それでも、
何も変えなければ、路面電車そのものが続かない。
そんな危機感が、計画の随所から伝わってきます。
広島の街とともに走り続けてきた路面電車が、
この3年間でどこまで姿を変えるのか。
そして、その変化を私たち利用者がどう受け止めるのか。
これからの動きにも、引き続き注目していきたいと思います。
各鉄道事業者の2026年度の事業計画のまとめのページへのリンクです。



