千葉県は、台風25号の影響で運休が続くJR内房線の姉ケ崎駅~長浦駅間で、シェアサイクルを活用した緊急的な移動手段の確保に取り組みます。
災害時の代替交通としてシェアサイクルを導入するのは全国初とされています。鉄道や代行バスを補完する新たな取り組みですが、通勤に利用する場合は、通勤手当や労災保険などの扱いについて、勤務先への事前確認も必要になりそうです。
JR内房線 姉ケ崎駅・長浦駅間におけるシェアサイクルの実施について
千葉県ホームページ
内房線の現状は
2026年9月に千葉県を中心とした地域に大きな被害をもたらした台風25号によって現在も千葉県内の鉄道路線では影響が続いています。
JR東日本では、内房線(姉ケ崎~長浦間)・総武本線(八街~成東間)・久留里線(久留里~上総亀山間)で現在も運転が見合わせとなっています。
また、小湊鐵道では、上総牛久駅~上総中野駅間で運転を見合わせており復旧までには半年から1年以上かかる見込みとの発表がありました。
2024年10月の脱線事故により運休が続いているいすみ鉄道も被害が確認され、今後の復旧に影響が出る可能性があります。
大規模な土砂崩れが発生した内房線(姉ケ崎~長浦間)ですが、復旧には3か月程度かかる見込みとなっており、利用者の移動手段を確保することが課題となっています。
この区間は利用者が多い区間(2024年度の輸送密度:蘇我~君津間で53,025)となっており代行バスの供給が利用者の数に追い付いていない状況です。
そのため、2026年10月14日午前6時から、JR内房線の姉ケ崎駅~長浦駅間でシェアサイクルの運用が始まりました。
今回の取り組みでは、千葉県や国土交通省、市原市、袖ケ浦市、JR東日本などが連携。シェアサイクルを鉄道やバスなどの公共交通を補完する移動手段として活用します。
利用方法と料金
利用するのは、OpenStreetが展開するシェアサイクルサービス「HELLO CYCLING」です。
専用アプリで会員登録し、姉ケ崎駅と長浦駅の周辺に設置された臨時ステーションで電動アシスト自転車を利用します。両駅間で自転車を借り、返却できる仕組みです。
運用開始時の配備台数は合計130台で、10月16日までに300台へ拡大する予定です。
利用料金は両駅間の利用について12時間まで無料で、12時間を超える場合は12時間ごとに2,500円が加算されます。利用には事前のアプリ登録が必要です。
なお、今回の臨時ステーションは通常のシェアサイクル網とは別の取り扱いとなっており、千葉市などの他のステーションとの相互利用はできません。
利用にあたってはヘルメットを着用し、交通ルールを守る必要があります。
HELLO CYCLINGでは、利用中の事故に備えた補償制度が用意されています。ただし、補償の対象や限度額などは利用条件によって異なる可能性があるため、事前に内容を確認しておきたいところです。
通勤に利用する場合は勤務先への確認を
今回のシェアサイクルは、代行バスに利用者が集中する状況を緩和し、通勤・通学などの移動手段を確保するうえで有効な選択肢になりそうです。
労災の対象となるかは状況次第ですが・・・
通勤途中の事故について労災保険の対象となるかどうかは、通勤の合理的な経路・方法に当たるかなど、個別の事情によって判断されます。鉄道の運休に伴って自転車を利用したからといって、労災の対象になるとも、対象外になるとも一律にはいえません。
ただし、通勤方法を変更したことを会社に伝えていなければ、事故後の確認や手続きに時間がかかる可能性もあります。
そのため、通勤で利用する場合は、事前に勤務先の担当部署に相談しておいた方がいいでしょう。
長期の通勤手段変更では通勤手当や税金にも注意
今回のシェアサイクルは、鉄道の運休に伴う一時的な代替交通として導入されるものです。しかし、運休が長期化した場合に自転車で通勤する場合には、通勤手当の取り扱いにも注意が必要です。
会社によって通勤手当の支給条件は異なりますが、通常の鉄道通勤を前提に通勤手当を受け取っている場合、実際の通勤方法が変わることで、支給額や申請手続きの見直しが必要になる可能性があります。
また、所得税では通勤手当の非課税限度額が定められており、電車・バスのみを利用する場合と、自転車などを利用する場合では計算方法が異なります。
通勤手当の支給額が変わるかどうかだけでなく、税務上の取り扱いについても、勤務先の担当部署に確認しておきたいところです。
公務員の場合は別の理由でも注意が必要です
公務員の場合は、自治体によって通勤方法に関する服務上の規律が設けられていることもあります。
場合によっては、懲戒処分の対象となる事もあり得ます。
通勤中の事故に対する補償と、勤務先の規程に沿った通勤手続きは別の問題であり、長期にわたって通勤方法を変更する場合は、事前に勤務先へ相談しておきたいところです。
職種に関係なく、鉄道の運休によってやむを得ず通勤方法を変更する場合でも、長期間にわたるのであれば、通勤経路や方法の変更について早めに相談しておくと安心です。
災害時の移動手段として定着するか
鉄道の長期運休では、代行バスの運行が重要な役割を担います。しかし、道路事情や車両・運転士の確保などの制約もあり、バスだけですべての移動需要に対応することが難しい場合もあります。
今回のシェアサイクルは、こうした状況で移動手段を増やし、利用者を分散させる取り組みです。電動アシスト自転車を活用することで、徒歩よりも移動範囲を広げられる点も特徴です。
ただし、自転車を利用できるかどうかは、距離や道路状況、天候、体力などによっても変わります。誰もが利用できる代替交通というわけではありません。
今回の取り組みが、鉄道の復旧までの移動を支えるだけでなく、今後の災害時における代替交通の選択肢を考えるうえで、参考となる事例になるか注目されます。





