小湊鐵道、台風25号被害の復旧は半年~1年以上の見込み 10月14日から上総牛久~養老渓谷間で平日のみ代行輸送

小湊鐡道キハ200形 小湊鉄道(小湊鐡道)

小湊鐵道は10月8日、台風25号による小湊鉄道線の被災状況と今後の復旧見通しについて発表しました。

9月21日の台風25号によって大きな被害を受けた上総牛久駅~上総中野駅間について、全線開通まで半年~1年以上かかる見込みであることが明らかになりました。

また、10月14日からは上総牛久駅~養老渓谷駅間で、平日のみ列車代行バス・タクシーが運行されます。

小湊鉄道線列車時刻表(平日・休日)
平日のみ上総牛久~養老渓谷間列車代行バス・タクシーで運行

小湊鐡道ホームページ

台風で被災の小湊鉄道、全線復旧まで半年から1年以上 一部でバス振替輸送開始

産経新聞ホームページ

全線開通まで半年~1年以上かかる見込み

今回の台風25号では、小湊鉄道線の上総牛久駅~上総中野駅間で土砂流入や路盤・盛土の流出、法面崩落など、多数の被害が発生しています。

9月24日時点では24か所の被災が確認されていましたが、その後の調査によってさらに被害が確認され、復旧には長期間を要することになりました。

今回の発表では、小湊鉄道線の全線開通まで半年~1年以上かかる見込みとされています。

つまり、10月時点から考えると、早くても2027年春ごろ、場合によってはそれより先まで運休が続く可能性があります。

ただし、これは現時点での見通しであり、実際の復旧時期は今後の工事の進捗などによって変わるものと思われます。

10月14日から上総牛久~養老渓谷間で代行輸送

一方、鉄道が運休している区間すべてで代行輸送が行われるわけではありません。

10月14日から、上総牛久駅~市原市石神間で代行バスを運行します。

市原市石神の運賃は養老渓谷駅と同額とされており、実質的には上総牛久駅~養老渓谷方面を結ぶ代行輸送となります。

ただし、代行輸送は平日のみです。

また、列車よりも代行バスの本数が少ないため、利用する場合には注意が必要です。公式の代行輸送時刻表では、バスだけでなくタクシーによる代行も設定されています。

さらに、代行バス・タクシーは沿線の通学利用者を優先するとされており、満員の場合は乗車できない可能性があります。

養老渓谷~上総中野間は代行輸送なし

今回の発表で特に気になるのが、養老渓谷駅~上総中野駅間です。

この区間については、鉄道が運休するだけでなく、代行輸送も行われません。

理由は、鉄道だけでなく沿線道路にも被害が発生しているためです。

小湊鐵道の公式サイトでも、養老渓谷駅~上総中野駅間については、路線バスによる振替輸送の取り扱いを中止すると案内されています。

つまり現在は、

区間鉄道代行輸送
五井~上総牛久運転―
上総牛久~養老渓谷(養老峡谷駅まではバスが通れないので市原市石神までとなります)運休10月14日から平日のみ
養老渓谷~上総中野運休なし

という状況になります。

  • 上総牛久→養老峡谷
    • 里見駅前(13:25発)→養老峡谷(13:47着) ※10月23日・27日運転
    • 牛久駅前(14:00発)→養老峡谷(14:52着)
    • 里見駅前(15:25発)→養老峡谷(15:47着)
    • 牛久駅前(17:02発)→養老峡谷(17:44着)
  • 養老峡谷→上総牛久
    • 養老峡谷(7:35発)→牛久駅前(8:17着)
    • 養老峡谷(16:00発)→牛久駅前(16:42着)

「鉄道が復旧するまでバスで移動できる」という単純な状況ではないことが今回の発表からも分かります。

道路も被災しているため、鉄道だけの問題ではない

今回の被害が難しいのは、線路だけが被災したわけではないことです。

9月24日の発表では、沿線道路についても路面崩落などによる通行止めや規制が発生しているとされていました。

そのため、前回の発表時点では鉄道の復旧計画そのものについても再検討する必要がある状況でした。

今回、代行輸送が設定されることになったのは一歩前進ですが、養老渓谷より先については道路事情もあり、代行輸送を設定できない状態が続いています。

小湊鐵道の公式サイトでも、現在は上総牛久~上総中野間を当分の間運休し、五井~上総牛久間のみ通常運行としています。

「台風に便乗した値上げ」「臨時バスで運賃徴収」という声も

10月1日から東京方面への高速バス運賃が値上げ

今回の台風25号による被害をめぐっては、ネット上で小湊鐵道に対するさまざまな意見も見られます。

その中には、10月1日から東京方面の高速バスの運賃が値上げされたことについて、「台風25号の混乱に乗じて値上げしたのではないか」といった見方もあります。

しかし、今回の運賃改定は台風の発生後に急きょ決まったものではありません。

高速バスの運賃改定には所定の手続きが必要であり、今回も事前に発表されたうえで10月1日から実施されています。台風25号の被害が9月下旬に発生したことだけをもって、「台風に便乗した値上げ」と考えるのは少し違うのではないでしょうか。

また、現在の高速バスは、かつての「高速ツアーバス」のように、旅行会社が貸切バスを使って実質的な高速バスを運行する仕組みとは異なります。

長浦駅~姉ケ崎駅間の臨時バスでJRの定期券が使用できず440円が必要だった

また、ネット上では小湊鐵道について「JRの代行輸送が始まるまでの臨時バスで運賃を取った」という批判も見られました。

しかし、ここでも「臨時バス」と「JRの代行輸送」を分けて考える必要があります。

小湊鐵道が9月30日から運行した長浦駅~姉ケ崎駅間のバスは、JR東日本の鉄道代行バスではありません。

小湊鐵道自身が運行する乗合バスとして設定されたもので、JRの乗車券や定期券では利用できず、運賃は大人440円、小人220円でした。

つまり、JRの鉄道代行輸送が始まる前に、小湊鐵道が独自に臨時の乗合バスを運行したという位置付けです。

これは「鉄道の代わりなのだから無料にする」という性質のバスではありません。

むしろ、通常の路線バスと同じように小湊鐵道が事業として運行しているのであれば、運賃を設定して利用者から運賃を受け取ること自体は、特に不自然なことではないでしょう。

今回のケースでは、東京都交通局が10月1日から都営バス10台を派遣し、小湊鐵道と協調して同じ区間の臨時バスを運行しました。

都営バスについても、小湊鐵道に合わせて大人440円、小人220円の運賃が設定されています。東京都交通局は、この都営バスによる臨時バスの収入について「後日被災地に寄付する」としています。

ここは少し注意が必要です。

東京都交通局が運賃相当の収入を被災地に寄付するとしているのであって、小湊鐵道も運賃収入を寄付すると発表したわけではありません。

したがって、「小湊鐵道も被災地への寄付のために運賃を取っていた」という話ではありません。

そもそも、小湊鐵道が自社の乗合バスとして運行している臨時バスと、東京都交通局が支援として派遣した都営バスでは、運行主体が異なります。

そして10月5日からはJR東日本による鉄道代行輸送が始まるため、10月4日をもって小湊鐵道の臨時バスと都営バスによる支援は終了しました。小湊鐵道自身も、JR東日本の鉄道代行輸送開始を理由として臨時バスを終了したと案内しています。

このため、「鉄道が止まっているのに小湊鐵道が運賃を取った」とだけ見るのではなく、

小湊鐵道が自社の乗合バスとして運行した臨時バス
↓
東京都交通局が同じ運賃で支援した臨時バス
↓
JR東日本による正式な鉄道代行輸送

という3つを分けて考えた方が、実態に近いのではないでしょうか。

なお、JR東日本の代行輸送については、JRの運賃体系や代行輸送の扱いが適用されます。

今回の小湊鐵道の臨時バスについては、少なくとも公表されている内容を見る限り、JRの代行バスとして無料で運行するものではなく、小湊鐵道の乗合バスとして運賃を設定して運行したものと考えるのが自然でしょう。

上総中野で接続するいすみ鉄道も大きな被害が

2025年の脱線事故により運休しているいすみ鉄道ですが、被災直後は被害の状況について発表がありませんでした。

しかし、実際は大きな被害を受けていることが徐々に明らかになってきています。

復旧するのであればさらに多額の費用が必要になると思われます。

「半年~1年以上」という長期戦に

小湊鐵道はこれまでも台風や豪雨による被害を受けており、今回の台風25号による被害は、それらからの復旧が進められている中で発生しました。

今回、全線開通まで半年~1年以上という見通しが示されたことで、復旧はかなり長期的なものになりそうです。

特に養老渓谷~上総中野間については、鉄道施設だけでなく道路の復旧状況も関係するため、今後の発表を注視する必要があります。

小湊鐵道は10月14日から一部区間で代行輸送を始めますが、養老渓谷から先は代行輸送もありません。

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