本州から乗れば宇多津~高松間25.9キロの運賃・特急料金が不要? 琴平延長「サンライズ瀬戸」2026年秋は21日運転

琴平駅 サンライズ瀬戸285系 JR四国

東京駅と高松駅を結ぶ寝台特急「サンライズ瀬戸」が、2026年秋も琴平駅まで延長運転されます。

2026年秋は10月・11月の金曜日や休日前を中心に21日間。東京駅を夜に出発した「サンライズ瀬戸」は、高松駅からさらに琴平駅まで運転されます。

琴平駅到着は朝8時39分。金刀比羅宮の参拝にも便利な列車ですが、今回注目したいのは運転区間だけではありません。

実は、本州側から琴平駅まで「サンライズ瀬戸」を利用する場合、通常なら経路上は通らない宇多津~高松間25.9キロについて、運賃・特急料金を余分に支払う必要がない仕組みになっています。

秋の臨時列車運転のお知らせ

JR四国ホームページ

2026年秋は21日間「サンライズ瀬戸」が琴平へ

JR四国によると、2026年秋の「サンライズ瀬戸」琴平延長運転日は次の通りです。

  • 10月 2日(金)・3日(土)・9日(金)・10日(土)・11日(日)・16日(金)・17日(土)・23日(金)・24日(土)・30日(金)・31日(土)
  • 11月2日(月)・6日(金)・7日(土)・13日(金)・14日(土)・20日(金)・21日(土)・22日(日)・27日(金)・28(土)

東京駅発を基準とした日付で、琴平駅への延長は翌朝になります。

東京駅を21時26分に出発し、高松駅には8時02分に到着。その後、延長区間では多度津駅、善通寺駅に停車し、琴平駅には8時39分に到着します。

高松駅から琴平駅までは通常の営業列車として運転されるため、「サンライズ瀬戸」の利用者がそのまま琴平まで乗車できるのがポイントです。

宇多津~高松間を「往復」するように見える

ここで少し面白いのが、東京方面から琴平駅までのきっぷの計算方法です。

「サンライズ瀬戸」は岡山駅から瀬戸大橋を渡って四国へ入り、宇多津駅を経由して高松駅まで向かいます。

琴平延長運転では、高松駅から進行方向を変えて多度津・善通寺を経由し、琴平駅へ向かいます。

つまり、東京方面から琴平まで乗車する場合、運賃計算上では

宇多津 → 坂出 → 高松 → 坂出 → 宇多津 → 多度津 → 善通寺 → 琴平

という動きになります。

実際には、マリンライナーと同じく宇多津駅構内の短絡線を通るため宇多津駅のホームは通りません。

なお、宇多津駅の短絡線は宇多津駅構内ですので宇多津駅を通らないというわけではありません。

宇多津~高松間は約25.9キロあります。

普通に考えると、「琴平へ行くのに高松まで遠回りするのだから、その分の運賃や特急料金も必要なのでは?」と思ってしまいます。

ところが、JRのおでかけネットの時刻表には、琴平延長運転日に次のような案内があります。

東京方面から多度津以遠に行く場合の運賃・料金は、宇多津-高松間の往復を含めないで計算します。

つまり、琴平までの運賃・料金を計算する際に、宇多津~高松間を往復した分を上乗せしないという扱いです。

このため、東京・横浜・岡山など本州側から琴平まで「サンライズ瀬戸」に乗車する場合、高松までの寄り道を理由に余分な運賃・特急料金が発生することはありません。

「高松まで行ってから琴平」が料金面では不思議なことに

この仕組みは、鉄道の運賃計算を知っている人ほど面白く感じるところではないでしょうか。

通常、乗車経路が大きく迂回すれば、その分の運賃が必要になることがあります。

しかし「サンライズ瀬戸」の琴平延長は、そもそも高松まで運転する列車を琴平まで延長する特殊な運転です。

そのため、琴平延長運転日に東京方面から多度津以遠へ向かう場合は、宇多津~高松間の往復を運賃・料金の計算に含めないという扱いになっています。

ただし、高松駅で途中下車したら場合は、この扱いとなりません。あくまで同じ列車で折り返した時のみの取り扱いです。

言い換えれば、

「高松まで行ってから琴平へ戻るように走るけれど、高松への寄り道分は料金計算ではなかったことになる」

という、ちょっと面白いきっぷのルールです。

琴平駅には8時39分に到着

琴平駅には朝8時39分に到着します。

金刀比羅宮への参拝を目的に利用する場合にも便利な時間帯です。

東京を夜に出発し、車内で一晩を過ごして翌朝に琴平へ到着するため、ホテルを1泊分節約しながら四国へ向かう旅行にも利用できます。

また、岡山駅から琴平駅まで乗車する場合とは違い、東京方面からの「サンライズ瀬戸」だからこそ楽しめる夜行列車としての魅力があります。

「サンライズ瀬戸」が宇多津駅を通過するから高松~宇多津間の運賃・料金が不要になる、というわけではありません。

旅客営業規則の少し難しい話

ポイントは同一列車の乗車して折り返すこと

旅客営業規則には「特定列車による折返し区間外乗車の特例」(第160条の6)があり、宇多津~高松間を折り返して直通運転する列車について、宇多津~高松間を乗車券面の区間外として乗車できることが定められています。

リンク:JR東日本:旅客営業規則>第2編 旅客営業 -第4章 乗車券類の効力 -第2節 乗車券の効力

同じ規定には西小倉~小倉間も含まれています。「ソニック」などが博多~小倉~大分方面を直通する場合も、この規定によって西小倉~小倉間を運賃・料金の計算に含めません。

ここで似ているようで違うのが、「分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例(旅客営業規則第160条の4)」です。

こちらは文字通り、分岐駅を通過する列車を利用する際に乗車することになる区間が対象です。

「サンライズ瀬戸」や「ソニック」は、分岐駅を通過するからではなく、特定の列車が折り返して直通運転することについて別の特例が設けられているということです。

折り返す駅で別の列車に乗り換える場合は?

では、折り返す駅で別の列車に乗車する場合はどうなるでしょうか。

この場合には、先ほどとは違う扱いとなります。

岡山駅を例にすると、福山駅から山陽新幹線で岡山駅へ向かい、岡山駅で特急「やくも」に乗り継いで新見・米子方面へ向かうケースが分かりやすいでしょう。

旅客営業規則第16条の2では、山陽新幹線と並行する在来線について、福山~岡山間は新幹線と在来線を同じ線路として扱う区間が定められています。

結論としては、新幹線と「やくも」は同一列車ではないので「特定列車による折返し区間外乗車の特例」は適用されません。

このため福山~岡山を山陽新幹線、岡山~倉敷を山陽本線として利用すると、運賃計算上は岡山駅を境に山陽本線を戻る形になります。

ここで関係してくるのが、旅客営業規則第160条の4の「分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例」です。

山陽新幹線の列車は伯備線との分岐駅となる倉敷駅を通過するため、この特例によって、岡山~倉敷間を折り返して乗車することができます。

在来線の特急列車に限定すると、日豊本線の特急列車「にちりん16号」から小倉駅で「かささぎ201号」で乗り換える例があります。

「分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例」は折り返し乗車区間では途中下車できません

この特例を利用する際は、折り返し乗車となる岡山~倉敷間では途中下車できません。

伯備線の駅から広島方面へ向かう乗車券を券売機で購入すると、岡山~広島間の新幹線特急券とは別に、160条の4の特例が適用された乗車券が発券されることがあります。

この場合、岡山駅で新幹線に乗り換えること自体は問題ありません。

しかし、「岡山駅で買い物をしたい」といった理由でいったん改札の外へ出ることはできません。

利用者からすると「岡山駅で乗り換えるのだから、一度改札を出てもいいのでは?」と思ってしまいそうですが、160条の4は岡山~倉敷間を実際の乗車経路とは異なる形で乗車することを認める特例です。

そのため、この区間で途中下車することはできません。

また、倉敷~岡山間を往復した場合の運賃が別途必要となりますし、営業キロが100キロ以下の乗車券の場合には途中下車すると前途無効となるため回収されます。

ここを知らずに岡山駅の在来線改札で下車しようとして、駅員に止められるケースもあります。

つまり、160条の4は「岡山駅で自由に途中下車できるようにする特例」ではありません。列車の運転経路と乗車券の経路の関係から、岡山~倉敷間を区間外乗車として認めるための特例なのです。

そして、これはあくまで運賃計算上の特例です。「やくも」や山陽新幹線を利用するための特急料金まで不要になるわけではありません。

つまり、このケースでは、

第16条の2で新幹線と在来線を同じ線路として扱う

↓

その結果、岡山駅で折り返す形になる

↓

第160条の4で岡山~倉敷間の区間外乗車を認める

という、二つの規定が組み合わさっています。

つまり、

「分岐駅を通過すること」が条件の特例と、「特定の列車が折り返して直通運転すること」を対象にした特例は別物です。

ここを分けて考えると、サンライズ瀬戸の琴平延長がなぜ宇多津~高松間の往復を運賃・料金計算に含めないのかも分かりやすくなります。

もし広島~米子の直通特急が走ったら? 岡山~倉敷にも同じ特例

旅客営業規則第160条の6を見ると、「宇多津・高松間」だけでなく「倉敷・岡山間」も対象区間として定められています。

例えば将来、広島方面から岡山駅で折り返して米子方面へ直通する特急列車が倉敷駅経由で設定され、次のような経路で運転されたとします。

広島 → 倉敷 → 岡山 → 倉敷 → 伯備線 → 米子

この場合、列車は岡山駅まで来た後、倉敷方面へ戻る形で走り、倉敷から伯備線に入って米子方面へ向かうことになります。

このような列車であれば、岡山~倉敷間について第160条の6の「特定列車による折返し区間外乗車の特例」が関係してきます。

ところが、岡山駅で広島からの列車を降りて、別の特急「やくも」に乗り換えた場合はどうでしょうか。

この場合は同じ列車に乗ったまま折り返して直通運転するケースではありません。

したがって、第160条の6による岡山~倉敷間の特例は、この乗継ぎだけを理由に適用することはできません。

さらに、広島からの特急列車が倉敷駅に停車するのであれば、「分岐駅通過列車に対する区間外乗車の特例」も利用できません。

つまり、同じ「広島→岡山→米子」という旅行でも、

直通列車として走るのか、岡山駅で別の列車に乗り換えるのか

によって、きっぷの扱いが変わってくるわけです。

特例の対象かどうかは経路が重要

さらに面白いのは、同じ広島~米子の直通列車でも、走る経路によって扱いが変わることです。

例えば、

広島 → 倉敷 → 岡山 → 倉敷 → 伯備線 → 米子

ではなく、

広島 → 倉敷 → 岡山 → 吉備線 → 総社 → 伯備線 → 米子

という経路で運転されたとします。

この場合、岡山~倉敷間を山陽本線経由で折り返す列車ではありません。

そのため、第160条の6に定められた「倉敷・岡山間」の特例の対象にはなりません。

「広島から岡山を経由して米子へ行く」という行先だけではなく、実際にどの経路を走る列車なのかが重要なのです。

こう考えると、旅客営業規則の特例は、単純に「遠回りする区間を無料にするルール」ではなく、実際の列車の運転経路や、乗り継ぎ方に応じて定められたルールであることが分かります。

2026年秋は21日間

2026年秋の琴平延長は21日間。

毎週運転されるわけではありませんが、金曜日や3連休などに合わせて設定されています。

なお、延長運転は東京駅発基準の日付となります。

「10月3日の朝に琴平へ着きたい」という場合は、10月2日夜に東京駅を出発する列車が対象です。

サンライズ瀬戸の琴平延長というと、「高松より先まで乗れる」という点が最も分かりやすい特徴ですが、個人的には宇多津~高松間25.9キロの扱いも興味深いところです。

「高松を経由して琴平へ向かう」という運転経路と、実際の運賃・料金計算が一致しないところに、鉄道のきっぷの面白さがあります。旅客営業規則

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