8月2日の長岡花火臨時列車で積み残し発生? 花火大会の大量輸送はなぜ難しいのか

E7系 JR東日本

8月2日、新潟県長岡市で「長岡まつり大花火大会」が開催されました。

日本を代表する花火大会の一つだけに、今年も全国から多くの観客が長岡を訪れました。

しかし、花火大会終了後の鉄道輸送では大きな混雑が発生したようです。

SNS上では、8月2日夜の上越新幹線や上越線について、臨時列車に乗り切れない利用者が発生したとの投稿が相次ぎました。

特に注目されたのが、東京方面へ向かう上越新幹線です。

「長岡花火臨時の東京行き最終とき号」で、ホームに列車へ乗り切れないほどの利用者があふれ、積み残しが発生したとする投稿が確認されています。

また、上越線でも最終の23時30分発の臨時列車が2両編成だったため積み残しが発生し、その後、4両編成の越後中里行きが運転されたとの投稿もありました。

あくまでSNS上の利用者投稿による情報ですが、長岡花火終了後の鉄道輸送が非常に厳しい状況だったことはうかがえます。

JR東日本も臨時列車を多数運転

今回の長岡花火では、JR東日本もかなり大規模な輸送対策を実施していました。

当ブログでも6月に紹介したように、上越新幹線では「とき」の臨時列車が多数設定され、東京方面・新潟方面の双方で輸送力を増強。

さらに、信越本線・上越線・飯山線・弥彦線でも臨時列車が運転されました。

つまり、今回の混雑を「JR東日本が臨時列車を用意しなかったから」と考えるのは適切ではありません。

むしろ、これだけ多くの臨時列車を設定しても、花火終了後に利用者が一斉に長岡駅へ向かえば、輸送力を上回るほどの需要が発生する可能性があります。

花火大会の輸送が難しい理由

鉄道会社からすると、花火大会の輸送には大きな難しさがあります。

通常の通勤・通学輸送であれば、利用者はある程度時間を分散して駅を利用します。

ところが花火大会では、事情がまったく違います。

花火が終わると、数万人、場合によっては数十万人の観客が一斉に帰り始めます。

長岡花火も打ち上げ時間は午後7時20分から午後9時10分まで。多くの観客が同じ時間帯に会場を出ることになります。

しかも、遠方から来た観客には「最終列車」という時間的な制約があります。

東京方面へ帰る人なら、東京までの上越新幹線に乗らなければなりません。

そのため、「花火が終わったら、できるだけ早く長岡駅へ向かう」という行動が集中します。

ここに鉄道輸送の難しさがあります。

例えば12両編成の新幹線を運転したとしても、1本に乗車できる人数には限界があります。

さらに、長岡駅のホームや改札、駅へ向かう道路にも処理能力があります。

列車の本数を増やせば解決するという問題ではありません。

列車を増やせば、今度は駅のホームや線路容量、乗務員、車両の手配など別の制約が出てきます。

さらに、鉄道会社としては、需要が集中する時間帯にはできる限り輸送力を確保しなければならない一方、そのために車両や乗務員を確保しても、イベント終了後に反対方向の需要があるとは限りません。場合によっては、輸送を終えた車両を回送することになります。

「臨時列車を増やせばいい」だけではない

花火大会のたびに「もっと臨時列車を増やしてほしい」という声が出るのは当然でしょう。

しかし、今回の長岡花火を見ていると、鉄道会社側だけに解決を求めるのも難しいと感じます。

仮に臨時列車をさらに増やしたとしても、観客が同じ時間に駅へ集中すれば、今度は駅構内に人が滞留してしまいます。

列車を増やすことと同時に、利用者が帰る時間を分散させることが重要なのです。

実際、SNS上には、花火の一部を見たところで帰宅を始める人が以前からいたという趣旨の投稿もありました。

もちろん、せっかく長岡まで来たのだから最後まで花火を見たいという気持ちはよく分かります。

しかし、遠方からの日帰りの場合には、最後まで見てから最終列車へ殺到するより、少し早めに会場を出るという選択肢もあります。

逆に、宿泊できるのであれば、無理に花火終了直後の列車へ集中する必要はありません。

「早く帰る」だけではなく「泊まる」ことも分散利用

花火大会の混雑対策というと、「早めに帰る」という方法ばかりが注目されがちです。

しかし、もう一つの方法があります。

それが「泊まる」ことです。

長岡市内や周辺地域で宿泊できれば、花火終了直後の鉄道利用を避けることができます。

また、東京方面へ帰る人だけでなく、新潟方面、越後湯沢方面など、目的地によって利用する列車も異なります。

さらに、花火大会によっては、会場から駅まで歩く時間を考慮して、あえて少し離れた駅や別の交通手段を利用する方法も考えられます。

大切なのは、「みんなが同じ時間に、同じ駅から、同じ方向へ帰る」状態を作らないことでしょう。

まとめ 花火大会の鉄道輸送は「みんなで少しずつ分散」が重要

今回の長岡花火で発生した積み残しについて、現時点ではSNS上の投稿が中心であり、JR東日本から詳細な検証結果が公表されたわけではありません。

そのため、今回の混雑について「JR東日本の輸送計画が失敗した」と断定することはできません。

むしろ、臨時列車を多数運転し、駅にも臨時口を設けるなど対策を行っていたにもかかわらず、それでも混雑が発生したことに、花火大会輸送の難しさが表れているのではないでしょうか。

長岡花火のような大規模イベントでは、鉄道会社が輸送力を増やすだけでは限界があります。

利用者側も、

  • 花火を最後まで見ずに少し早めに帰る
  • 帰りの列車を複数の時間帯に分散させる
  • 可能なら宿泊する
  • 複数の交通手段を検討する
  • 遠方からの場合は無理に最終列車を狙わない

といった工夫が必要になります。

「臨時列車があるから大丈夫」と考えるのではなく、臨時列車があっても混雑する可能性があると考えておくことも大切です。

長岡花火に限らず、全国各地で夏の花火大会が開催されています。

花火大会と鉄道は非常に相性の良い組み合わせですが、終了後には利用者が一斉に移動するという特殊な事情があります。

だからこそ、鉄道会社による増発だけでなく、利用者一人ひとりが少しずつ帰宅時間をずらすことが、結果的に全体の混雑緩和につながります。

花火大会を最後まで楽しむことも大切ですが、「どう帰るか」まで含めて計画することが、花火大会を快適に楽しむポイントなのかもしれません。

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