北総鉄道は2026年9月18日、磁気乗車券の発売終了について発表しました。
北総鉄道では2027年3月頃を予定として、磁気乗車券による普通乗車券(きっぷ)と定期乗車券の発売を終了します。
磁気乗車券の発売終了後、普通乗車券はQRコードを使用した乗車券に変更され、交通系ICカードも引き続き利用できます。
さらに2027年6月頃には、北総線の全駅で自動改札機の更新が完了する見込みで、これ以降は磁気乗車券を自動改札機に通して利用することもできなくなります。
北総鉄道ホームページ
2027年3月頃に磁気乗車券の発売を終了
北総鉄道では2026年3月にも磁気乗車券の発売終了を発表していました。
今回の発表では、発売終了後の具体的な取り扱いなどが明らかになっています。
磁気乗車券の発売終了時期は2027年3月頃の予定です。
ただし、現時点では具体的な終了日は決まっておらず、決まり次第あらためて案内するとしています。
発売を終了するのは、
- 普通乗車券(きっぷ)
- 通勤定期乗車券
- 通学定期乗車券
です。
一部の定期乗車券は対象外となります。
また、現在磁気乗車券のみで発売している学期定期乗車券も発売終了となります。
普通きっぷはQR乗車券へ
磁気乗車券の発売終了後、普通乗車券はQRコードを使用した乗車券で発売されます。
これまでの磁気きっぷは自動改札機に投入していましたが、QR乗車券では自動改札機のQRリーダーにQRコードをかざして利用する方式となります。
北総鉄道を含む8社では、2024年5月に磁気乗車券からQR乗車券への置き換えを発表していました。
対象となるのは、各社の自動券売機から発券する普通乗車券(近距離券)です。
QR乗車券の情報や入場・出場などの利用状況は、8社共用のQR乗車券管理サーバーで管理される予定です。
8社が同じシステムを使用することで、会社をまたいだQR乗車券の発券も可能になるとしています。
交通系ICカードは引き続き利用可能
磁気きっぷがなくなるからといって、紙のきっぷがすべてなくなるわけではありません。
普通乗車券についてはQR乗車券が用意されるほか、これまでと同じように全国相互利用が可能な交通系ICカードでも乗車できます。
北総鉄道ではPASMOやSuicaなどの交通系ICカードが利用できます。
また、定期乗車券については磁気定期券からIC定期乗車券(PASMO・モバイルPASMO)へ移行します。
2027年3月以降も有効な磁気定期乗車券については、磁気定期券の発売終了後も有効期限まで利用できます。
2027年6月頃には磁気券を自動改札機に通せなくなる
今回の発表でもう一つ注目したいのが、自動改札機についてです。
北総線では現在、各駅で自動改札機の更新を順次進めています。
更新後の自動改札機では磁気乗車券を使用できません。
北総鉄道によると、2027年6月頃には全駅の自動改札機の更新が完了する見込みです。
これをもって、北総線のすべての自動改札機で磁気乗車券による通行ができなくなります。
磁気乗車券を利用する場合には、有人窓口で駅係員に提示する必要があります。
つまり、2027年3月頃に「磁気きっぷの販売が終わる」だけではありません。
2027年6月頃には、北総線の自動改札機から磁気乗車券そのものが姿を消すことになります。
磁気きっぷからQR乗車券への移行が進む
北総鉄道が磁気乗車券を終了する理由として挙げているのが、交通系ICカードの利用者が増えていることや環境面です。
磁気乗車券は磁気層に金属を含んでいるため、リサイクルする際には磁気層の分離・廃棄が必要になります。
QR乗車券に変更することで、よりリサイクルしやすい用紙を使用でき、環境負荷の低減につながるとしています。
また、磁気乗車券を処理する自動改札機は機構が複雑で、きっぷが詰まるなどのトラブルも発生します。
QRコードを読み取る方式に変更することで、出改札機器のメンテナンス性向上や故障率の低減も期待されています。
京成グループはクレカタッチには当面対応しない?
今回の北総鉄道の発表でもう一つ気になるのが、クレジットカードのタッチ決済です。
2026年3月25日からは、関東の鉄道11社局でクレジットカードなどによるタッチ決済乗車の相互利用が始まりました。
しかし、この11社局には京成電鉄や北総鉄道は含まれていません。
京成グループでは、北総鉄道を含む8社が2024年に磁気乗車券をQR乗車券へ置き換える方針を発表しており、今回の北総鉄道もその流れに沿ったものです。
そのため、北総鉄道では磁気乗車券の代わりに交通系ICカードとQR乗車券を利用する形が示されています。
現時点では、北総鉄道からクレジットカードのタッチ決済を導入するという発表はありません。
関東ではクレカタッチの相互利用が広がる一方、京成グループでは磁気乗車券からQR乗車券への移行を進めるという、少し違った方向性になっています。
磁気乗車券の廃止=クレカタッチではない
2024年に磁気乗車券をQR乗車券へ置き換える方針を示した8社を見ても、その後の方向性は一様ではありません。
東武・西武・京急は、QR乗車券への移行を進めながら、クレジットカードのタッチ決済にも対応しています。
一方、京成・新京成(2025年4月1日に京成電鉄に吸収合併され消滅)・北総では、QR乗車券と交通系ICカードを中心とした乗車方式への移行が進められています。
JR東日本と東京モノレール(JR東日本の子会社)では、Suicaを単なる乗車手段としてではなく、データ活用やポイントなどを含めたサービス基盤として活用しています。
このため、「磁気きっぷをなくす」という方向は同じでも、その先にどの乗車方式を位置付けるかは鉄道会社によって異なります。
JR東日本・JR西日本には別の考えも
関東以外でも、JR西日本の奥田英雄取締役が日本経済新聞のインタビューで、クレジットカードのタッチ決済について「データを手放すデメリット」に言及しています。
鉄道会社にとって乗車データは、単に利用状況を把握するためだけのものではなく、駅や列車のサービス改善、マーケティングなどにも活用できる情報です。
そのため、今後も「磁気券を廃止したからクレカタッチ」という単純な流れではなく、自社の交通系ICを維持するのか、QR乗車券を導入するのか、クレカタッチを受け入れるのか、それぞれの事業者によって判断が分かれていくのかもしれません。
JR東日本ではSuicaを単なる乗車用ICカードではなく、データ活用なども含めたデジタル基盤として発展させる動きが進んでいます。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
磁気乗車券の終了の先にあるものは?
首都圏の鉄道から、磁気きっぷを使う機会が少しずつ減っていきます。
磁気乗車券がなくなるというニュースだけを見ると、「次はQR乗車券」という話に見えます。
しかし、鉄道会社の動きを追っていくと、もう少し大きな変化が起きています。
東武・西武・京急のようにQR乗車券とクレジットカードのタッチ決済を組み合わせる会社がある一方、京成・北総のようにQR乗車券と交通系ICカードを中心にする会社もあります。
そしてJR東日本ではSuicaエリアの統合、JR西日本ではICOCAを軸とした他社との連携など、交通系ICそのものをより大きなサービス基盤としていく動きが見られます。
「磁気きっぷの次は何になるのか」ではなく、「鉄道会社はどのような乗車・決済サービスを自社の基盤としていくのか」
という視点で見ると、今回の北総鉄道の磁気乗車券終了も、鉄道の乗車サービスが変わっていく流れの一つとして見ることができそうです。


