横浜市鶴見区にあるJR東海道線・京浜東北線・横須賀線をまたぐ「生見尾(うみお)踏切」について、廃止の撤回を求める住民が署名を集め、11月上旬にも横浜市長へ提出する意向であることが報じられました。
生見尾踏切は、2026年12月7日午前1時(6日終電後)に廃止されることが決まっています。
踏切内で死亡事故が繰り返されていることや、列車が停止するケースが多いことから、横浜市は踏切を廃止し、新たなこ線人道橋を整備する方針です。
一方、踏切がなくなることで自転車や自動車の移動に大きな影響が出るほか、駅前商店街の利用者減少を心配する声も上がっています。
“開かずの踏切”が廃止に…住民は困惑 自転車は迂回で商店街は危機感「売り上げが下がる」
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生見尾踏切は約4日に1回列車が停止する危険な踏切
生見尾踏切は、JR東海道線・京浜東北線・横須賀線の線路を横断する全長約45mの踏切です。
横須賀線と京浜東北線の列車が通過する時間帯には、遮断時間が1時間当たり約44分に達するなど、いわゆる「開かずの踏切」となっています。
横浜市の資料によると、2002年4月から2025年12月までの約24年間に、踏切内への人の立ち入りや車両の立ち往生などによって列車が停止したケースは2088件に上ります。
平均すると約4日に1回という頻度です。
また、同じ期間に踏切内で列車と接触したケースは7件あり、そのうち5件が死亡事故となっています。
こうした状況を受け、横浜市は踏切の廃止を決定しました。
踏切廃止によって地域住民や商店街に影響
今回、住民が廃止撤回を求める背景には、踏切がなくなることによる地域の利便性への影響があります。
踏切の廃止後、歩行者は生麦駅に直結する既設のこ線人道橋などを利用できますが、この人道橋は自転車や自動車では通行できません。
自転車については約400m離れたスロープ付きの歩道橋を利用するか、約800m離れた別の踏切まで迂回する必要があります。
高齢者や子どもを乗せた自転車を利用する人などにとっては、移動の負担が大きくなる可能性があります。
また、生見尾踏切の近くにある生麦駅前通りの商店街も影響を懸念しています。
TBSの報道では、商店街で長年営業している店舗から、踏切の反対側から訪れる自転車利用者が減少し、売り上げにも影響するのではないかという声が紹介されています。
横浜市は踏切廃止後の商店街への支援策も検討していますが、地域の商業活動をどう維持していくかも課題となりそうです。
新たなこ線人道橋の完成は2033年度予定
横浜市は生見尾踏切を廃止した後、代替施設となる新たなこ線人道橋を整備する計画です。
新しい人道橋は幅員4mで、南北にエレベーターを設置するほか、自転車3台が乗車できる大きさとする計画です。
自転車でも利用しやすいよう、斜路付き階段も設けられます。
ただし、完成予定は2033年度です。
踏切が廃止される2026年12月から新しい人道橋が完成するまでには、約7年間の期間があります。
その間は既設の人道橋や周辺の迂回路を利用することになります。
なお、横浜市は既設人道橋の中央階段部分をスロープ化する工事も進めており、2026年11月中の完成を予定しています。
人命と地域の利便性、両面からの検討が必要では
今回の問題は、単純に踏切を残すか廃止するかだけで判断できるものではないと思います。
生見尾踏切では過去に5件の死亡事故が発生し、約4日に1回という頻度で列車が停止しています。
鉄道の安全運行という観点からも、踏切を廃止して危険な状況を解消するという横浜市の方針には一定の合理性があります。
一方、踏切を利用してきた地域住民にとっては、毎日の移動経路が大きく変わります。特に自転車や自動車を利用する人にとって、迂回による負担は小さくありません。
駅前商店街にとっても、踏切を挟んだ地域間の行き来が減ることは、商売に影響する可能性があります。
安全性を高めることは当然重要ですが、踏切を廃止した後の地域の暮らしや商業活動をどう守るのかという点も、同じように考える必要があるでしょう。
新しい人道橋の完成まで約7年間あることを考えると、住民の署名提出をきっかけに、廃止後の代替交通手段や商店街への支援策についても、改めて検討する余地があるのではないでしょうか。
踏切の安全対策をめぐっては、長野県がJR大糸線での事故をふまえて県内に残る第4種踏切107カ所について、原則として全廃する方針を示しています。一方で、地域の実情を踏まえて一部を第1種踏切に格上げすることも検討しています。
リンク先のタイトルでは、長野県内の第4種踏切は109カ所となっていますが記事作成時の報道での数値を使っています。長野県の2026年10月30日の発表では107カ所です。
踏切事故を防ぐためには、廃止だけでなく、設備の改良や代替となる通行手段の確保など、地域ごとの事情に応じた対策も重要です。
人命を守ることと、地域住民の利便性を確保すること。その両方をどのように実現するのか、今後の横浜市の対応にも注目したいところです。



