2026年10月4日、長野県大町市のJR大糸線・花見踏切で、男子中学生が列車にはねられ死亡する事故が発生しました。
この事故を受け、長野県は10月14日、県内にある第4種踏切について、原則として廃止するか、第1種踏切への変更を進める方針を明らかにしました。
長野県内には109か所の第4種踏切が残っています。 今後、鉄道事業者や市町村と協議しながら、利用状況などを踏まえて具体的な対策を進めます。
長野県ホームページ
長野県内の第4種踏切は109か所
長野県の発表によると、2026年10月14日現在、県内の踏切は全部で1,081か所あり、そのうち109か所が第4種踏切です。
踏切は、警報機や遮断機の設置状況などによって種類が分かれています。
- 第1種踏切:警報機と遮断機がある踏切
- 第3種踏切:警報機はあるが、遮断機がない踏切
- 第4種踏切:警報機も遮断機もない踏切
第4種踏切では、列車の接近を知らせる警報機も、通行を止める遮断機もありません。通行する人が自ら列車の接近を確認する必要があり、安全性の確保が課題となっています。
今回事故が発生したJR大糸線の花見踏切も、第4種踏切でした。
県内すべての第4種踏切で廃止または第1種化を目指す
長野県は、今回の事故を繰り返さないため、鉄道事業者や市町村などと連携して第4種踏切の解消を図る方針です。
具体的には、原則として踏切を廃止するか、警報機と遮断機を設置して第1種踏切に変更する方向で検討します。
今後の取り組みとして、県は次のような予定を示しています。
| 時期 | 取り組み |
|---|---|
| 2026年10月中 | 県内すべての第4種踏切の名称や所在地などを公表 |
| 2026年内 | 歩行者・自転車の通行量、迂回路の有無、通学路指定の有無などを考慮し、安全対策の緊急度を整理・公表 |
| 2027年1月以降 | 地元との協議状況や、各踏切の廃止などの見通しを順次公表 |
※時期はいずれも県の発表に基づく予定です。
県内の第4種踏切を一律に廃止するという単純な方針ではなく、利用状況や周辺の道路環境なども確認しながら、踏切ごとに対応を具体化していくことになります。
踏切の廃止か、第1種化か 地域の事情も考慮する必要
第4種踏切の安全対策には、大きく分けて踏切そのものを廃止する方法と、警報機・遮断機を設置して第1種踏切に変更する方法があります。
安全性の向上という観点では、第1種化が選択肢となります。一方、設備の設置には費用(1か所につき1500万円~3000万円)がかかり、その後も維持管理(1か所につき年間50万円~100万円)が必要です。利用者が少ない踏切では、整備費用と利用状況のバランスも課題になります。
反対に、踏切を廃止すれば、周辺住民が道路を通行する際に遠回りを強いられる可能性があります。近くに代わりの通路がない場合などは、地域の生活への影響も考慮しなければなりませんし、廃止した踏切を「勝手踏切」として使用する可能性もあり、第4種踏切として残すよりもさらに危険な状態になる可能性も考えられます。
長野県は、歩行者や自転車の通行量だけでなく、迂回路の有無や通学路に指定されているかどうかなども踏まえて、対策の緊急度を整理する方針です。
安全性を高めることを前提としながら、地域の実情に応じて具体的な対策を検討することが求められます。
JR西日本では、「踏切ゲート-Lite」を展開
第4種踏切での事故を防ぐためには、第1種踏切への改修・踏切の廃止といった方法が検討されますが、かかるコスト・利便性の低下といった面もあり対応が難しいのが現実です。
中国地方に多くの第4種踏切を持っているJR西日本では、比較的低コストで設置できる「踏切ゲート」・「踏切ゲート-Lite」を開発し設置しています。
「踏切ゲート-Lite」は、第4種踏切に設置する設備となっており、歩行者等が通行する際にバーを持ち上げて通ることにより強制的に踏切の前で停止させるものです。
列車の接近によってバーが下りたり、警報音が鳴るわけではないので無理な横断を防ぐことはできませんが、踏切の前で停止する必要がありますので列車との接近を減らす効果は期待できます。
近くに代わりとなる第1種踏切・第3種踏切がない場所では、最終的にはこのような設備の導入も含めて検討が必要になると思われます。安全対策の面で考えた場合には、廃止した第4種踏切が勝手踏切となる事を防ぐことが最も重要な対策だと個人的には考えます。
全国に残る第4種踏切の安全対策にも注目
第4種踏切の問題は、長野県だけのものではありません。
当ブログでは10月7日にも、全国に2,000か所以上残る第4種踏切について、安全対策にかかる費用や地域の利便性という観点から取り上げました。
今回、長野県が県内すべての第4種踏切を対象に、原則廃止または第1種化を進める方針を示したことは、今後の安全対策を考えるうえで注目されます。
今後は、県による危険度の整理や、鉄道事業者・市町村との協議を通じて、どの踏切でどのような対策が実施されるのかが焦点となりそうです。
-160x90.jpg)

