横浜市鶴見区を走るJR東海道線・京浜東北線・横須賀線の線路を横断する「生見尾(うみお)踏切」が、2026年12月7日午前1時をもって廃止されることになりました。
この踏切では、2002年4月から2025年12月までの約24年間に、踏切内への人の立ち入りや車両の立ち往生などを理由として列車が停止したケースが2088件発生。平均すると、約4日に1回の頻度で列車が停止していたことになります。
横浜市は踏切を廃止したうえで、新たなこ線人道橋を整備する計画です。
横浜・鶴見の「開かずの踏切」が12月廃止 生見尾踏切、新たな人道橋整備
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生見尾踏切は「開かずの踏切」
生見尾踏切は横浜市鶴見区生麦3丁目にあり、京急線の生麦駅にも近い場所にあります。
踏切は、横須賀線・京浜東北線が走る「生見尾(電車線)踏切」と、東海道線が走る「生見尾(旅客線)踏切」、その間の退避スペースなどを合わせて約45mの長さがあります。
横須賀線の線路には、横須賀線の列車だけでなく、湘南新宿ラインの横須賀線直通列車も走っています。
横浜市によると、電車線側では横須賀線と京浜東北線の列車が1時間最大54本通過し、ピーク時の遮断時間は44.3分。
まさに「開かずの踏切」といえる状況です。
一方、東海道線が通る旅客線側も1時間最大25本の列車が通過し、ピーク時の遮断時間は24.4分となっています。
踏切を利用する人も多く、1日あたりの交通量は歩行者約2418人、自転車1249台、自動車257台、自動二輪車179台とされています。
約4日に1回、列車が停止
今回特に気になったのが、生見尾踏切で発生している「列車停止」の件数です。
横浜市の資料によると、2002年4月から2025年12月までの約24年間に、線路内への人の立ち入りや車両の立ち往生などを理由として列車が停止した件数は2088件。
年間では約90件、平均すると約4日に1回という頻度です。
さらに、同じ期間に踏切内で列車と接触したケースは7件あり、そのうち5件が死亡事故となっています。
死亡事故は2013年8月、2016年12月、2022年11月、2024年4月、2024年9月に発生しました。
横浜市内にあるJR東日本の踏切の中でも、死亡事故が最も多く発生している踏切とされています。
2013年の死亡事故以降、警備員の配置や既設のこ線人道橋へのエレベーター整備、路面標示や案内看板の設置など、さまざまな安全対策が行われてきました。
しかし、その後も死亡事故や踏切の通行に起因する列車停止が発生しており、抜本的な対策が必要な状況が続いていました。
既設の人道橋だけでは渡れない人も
実は生見尾踏切のすぐ近くには、すでにこ線人道橋があります。
この人道橋には2021年7月にエレベーターが設置されました。
ただし、中央部に階段がある構造だったため、ベビーカーや車いす、自転車などでは利用しにくく、踏切を利用せざるを得ないケースもありました。
横浜市は現在、この既設人道橋の中央部をスロープ化する工事を進めており、2026年11月下旬の完成を予定しています。
つまり、生見尾踏切を廃止する前に、まず既存の人道橋を利用しやすくすることで、踏切廃止後のバリアフリールートを確保する計画です。
12月7日午前1時に踏切を廃止
横浜市は2026年9月14日に開かれた市会まちづくり常任委員会で、生見尾踏切を12月7日午前1時に廃止する方針を示しました。
実際には12月6日の終電後ということになります。
踏切廃止後は、線路を横断するために既設のこ線人道橋などを利用することになります。
ただし、今回の計画は単に踏切を閉鎖するだけではありません。
横浜市は、踏切を廃止した後、代替施設となる新たなこ線人道橋を整備する計画です。
新しい人道橋は2033年度完成予定
新たなこ線人道橋は、廃止する生見尾踏切の上部に整備される計画です。
通路の幅員は4m。
南北にエレベーターを1基ずつ設置し、自転車3台が乗車できる大きさとする計画です。
また、階段だけではなく斜路付き階段を設け、自転車でも利用しやすい構造とします。
南側では京急生麦駅に近い既設人道橋と接続する計画となっています。
ただ、新しい人道橋がすぐに完成するわけではありません。
踏切廃止後の2027年度までに地下埋設物や鉄道施設の撤去などを行い、2028年度から新しいこ線人道橋の整備工事に入る計画です。
完成は2033年度を目指しています。
つまり、2026年12月に踏切が廃止されてから、新しい人道橋が完成するまでには数年間の期間があります。
地域の利便性と安全性、どちらを優先するか
生見尾踏切の廃止については、地域からさまざまな意見が寄せられてきました。
安全面から踏切廃止を求める声がある一方、踏切がなくなることで迂回が必要になり、地域が分断されることや商店街への影響、災害時の避難などを心配する声もあります。
横浜市によると、2013年の事故以降、地元自治会や商店街、踏切を利用する人などを対象に60回以上、延べ900人以上との説明・意見交換を行ってきました。
2026年3月にも地元説明会が開催され、7月には現地や鶴見区役所でパネル展示を中心とした説明会も行われています。
踏切を廃止することで地域の利便性が低下するという問題は残ります。
一方で、約4日に1回という頻度で列車停止が発生し、過去には死亡事故も繰り返されていることを考えると、安全面から見れば踏切を残し続けることも難しい状況だったのでしょう。
横浜市も踏切廃止後、商店街への支援策を検討するほか、災害時の避難ルートや避難場所の周知などを進めるとしています。
ちなみにGoogleマップで周辺を確認すると、生見尾踏切のすぐ近くには「ふみきり歯科クリニック」があります。踏切が廃止された後も歯科医院は営業を続けるものと思われますが、踏切がなくなった後も「ふみきり歯科」という名前が残るのか、少し気になるところです。
まとめ 「4日に1回列車が止まる踏切」がなくなる
鉄道ファンの視点では、東海道線、京浜東北線、横須賀線という首都圏を代表する路線が集中する場所に残っていた踏切という点も気になります。
しかし、列車本数が多い場所だからこそ踏切の遮断時間も長くなり、歩行者や自転車が線路を横断する際の危険性も高くなります。
そして、約24年間で2088件、約4日に1回という列車停止の実績は、単なる「開かずの踏切」という問題だけではありません。
12月7日の踏切廃止によって、長年の課題が一つの区切りを迎えることになります。
その後は、既設人道橋のスロープ化を経て、新たなこ線人道橋の整備へ。
2033年度の完成までにはまだ時間がありますが、安全性と地域の利便性を両立させる新しいルートがどのような形になるのか、今後も注目したいところです。
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