中国山地を縦断するローカル線、芸備線。
近年は存廃問題の象徴的な路線として、全国から注目を集めています。
その芸備線で実施された「増便」の実証事業について、**JR西日本**と沿線自治体などでつくる再構築協議会が、費用対効果の検証結果を公表しました。
増便などにかかった経費に対し、経済効果はおよそ半分程度――。
数字だけを見ると、なかなか厳しい評価です。
JR芸備線の増便やイベントによる経済効果、鉄道運営費を大幅に下回る…「再構築協議会」で報告 : 読売新聞
読売新聞ホームページ
「増便すれば人は来る」…が、それだけでは足りなかった
実証事業では、休日を中心に列車本数を増やし、観光客や鉄道ファンの利用を促しました。
実際、
- 「久しぶりに芸備線に乗った」
- 「乗車そのものが目的だった」
という利用者は一定数確認され、列車に人が乗る光景は確かに戻ってきました。
しかし一方で見えてきたのが、
→沿線での消費や滞在に結びつきにくい
という現実です。
列車には乗るものの、
- 駅周辺で買い物をする
- 宿泊する
- 日常的に使う
といった行動には、なかなかつながっていません。
その結果、地域全体としての経済効果は、運行コストを十分に回収できる水準には届かなかった、というわけです。
「乗車目的利用」の限界がはっきり見えた
今回の検証で浮き彫りになったのは、
「乗ること自体が目的の利用」だけでは、路線は支えきれない
という点です。
これは芸備線に限らず、全国のローカル線に共通する課題でもあります。
- 鉄道ファン
- 観光イベント時のスポット利用
これらは話題づくりとしては重要ですが、
毎日の利用(通学・通院・買い物) を増やさなければ、持続的な収支改善には結びつきません。
それでも「数字だけ」で切れない理由
とはいえ、今回の結果をもって
「だから芸備線は不要」
と単純に結論づけるのも早計です。
芸備線は、
- 高齢者の移動手段
- 冬季や悪天候時の代替交通
- 災害時のリダンダンシー(冗長性)
といった、採算では測りにくい役割も担っています。
今回の増便実験は、
・鉄道を残すために何が足りないのか
・どこまでを鉄道に求めるのか
を「数字」で可視化した、という点では大きな意味があったと言えそうです。
芸備線は「次の段階」に入った
増便=魔法の杖、ではない。
今回の検証で、それははっきりしました。
今後は、
- 観光と日常利用をどう結びつけるか
- 鉄道単独でなく、バスや地域交通との役割分担
- 自治体がどこまで本気で支えるのか
といった、より踏み込んだ議論が避けられません。
芸備線の議論は、
→ **「ローカル線はどう生き残るのか」
→ **「地域は公共交通をどう守るのか」
その問いを、私たちに突きつけ続けています。
まとめ
芸備線の「経費に対して経済効果は約半分」という結果は、
今後、全国のローカル線で行われる実証事業を評価する際の“基準値”になる可能性があります。
数字で示された現実をどう受け止め、どこまで公的支援を認めるのか。
これは一つの路線の問題ではなく、全国の地域交通政策そのものが問われている段階に入ったと言えそうです。
芸備線の存廃の関係の記事です。


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