北海道の鉄道と聞くと、雄大な自然の中を走る列車を思い浮かべる方も多いと思います。
その一方で、その「自然の近さ」ゆえに、どうしても避けられない問題があります。
JR北海道が発表したのは、
鹿(エゾシカ)や熊(ヒグマ)によって、列車の運行にどれくらい影響が出ているのか、というデータ。
2025年度は、鹿・熊ともに影響件数が過去最多水準となり、改めて北海道の鉄道が置かれている現実が見えてきました。
JR北海道ホームページ
鹿との衝突、実はかなり多いんです
鹿による影響は、北海道全体で増加傾向。
線路に立ち入った鹿と衝突したり、列車の前方に鹿が確認されたりすると、
- 列車を一旦止めて安全確認
- 車両点検でその場にしばらく停車
- 結果として遅れや運休が発生
といった流れになります。
特に、旭川や釧路を中心とした道北・道東エリアでは、
線路のすぐ横が森や原野、という区間も多く、
鹿にとって線路が“通り道”のようになっているケースも少なくありません。
「また鹿か…」と感じるほど、現場では日常的な出来事になっているのが実情です。
鹿との衝突件数(2020年度~2025年度)
| 年度 | 本社エリア | 釧路エリア | 旭川エリア | 函館エリア | 合計 |
| 2020 | 625 | 943 | 777 | 68 | 2,413 |
| 2021 | 772 | 1,023 | 765 | 72 | 2,632 |
| 2022 | 859 | 1,047 | 914 | 61 | 2,881 |
| 2023 | 882 | 1,167 | 1,007 | 89 | 3,145 |
| 2024 | 738 | 1,077 | 870 | 85 | 2,770 |
| 2025 | 1,072 | 1,192 | 1,077 | 137 | 3,478 |
| 平均 | 825 | 1,075 | 902 | 85 | 2,887 |
熊が関係すると、さらに慎重な対応に
熊(ヒグマ)の場合は、話が少し変わってきます。
熊が線路付近に出没した、あるいは衝突した可能性があるとなると、
- すぐには運転を再開できない
- ハンターの手配や現地確認が必要
- 安全が確認できるまで時間がかかる
といった対応が求められます。
そのため、1件あたりの影響が大きくなりやすいのが熊関連の特徴。
利用者から見ると「なぜこんなに長く止まっているの?」と思う場面でも、
実はその裏で、かなり慎重な確認作業が行われているんですね。
熊の発見数 (2020年度~2025年度) 合計の( )は衝突数
| 年度 | 本社エリア | 釧路エリア | 旭川エリア | 函館エリア | 合計 |
| 2020 | 8 | 10 | 35 | 3 | 56(41) |
| 2021 | 14 | 8 | 43 | 3 | 68(46) |
| 2022 | 10 | 8 | 43 | 2 | 63(45) |
| 2023 | 19 | 10 | 42 | 0 | 71(52) |
| 2024 | 4 | 6 | 24 | 1 | 35(21) |
| 2025 | 19 | 12 | 38 | 7 | 76(57) |
| 平均 | 12 | 9 | 38 | 3 | 62 |
旭川・釧路エリアで多い理由
今回の資料を見ると、影響が多いのはやはり
旭川エリア・釧路エリア(北海道北部・東部)。
この地域は、
- 野生動物の生息数が多い
- 人の生活圏と自然が近い
- ローカル線が長距離にわたって続く
といった条件が重なっています。
宗谷線や石北線、根室線、釧網線など、
鉄道ファンにとっては魅力的な路線ほど、
動物との距離も近いという現実があります。
観光で北海道の鉄道を利用する人は、どう備える?
北海道旅行で鉄道を使う場合、鹿や熊による遅れ・運休は
「運が悪かった」では済まないこともあります。
とくに気をつけたいのは、
- 空港連絡に直結する移動
- その日に乗り継ぎが集中している行程
- 最終列車に近い時間帯の移動
です。
道東・道北エリアでは、1本逃すと次が数時間後、という路線も珍しくありません。
可能であれば、
- 移動日は余裕を持ったダイヤを組む
- 重要な移動の前日は都市部に泊まる
- 列車が止まった場合の代替手段(バス・レンタカー)を軽く調べておく
といった準備をしておくと、いざという時に慌てずに済みます。
鹿・熊の影響を受けやすい時期はある?
JR北海道の過去の傾向や報道を見ると、
影響が出やすいのは、
- 春(雪解け後)
- 秋(繁殖期・行動範囲が広がる時期)
とされています。
特に早朝や夕方以降は、動物の活動が活発になる時間帯。
観光列車や普通列車でゆっくり移動していると、
「この区間で止まるかもな…」という覚悟が必要な場面もあります。
遅れたとき、現場では何が起きている?
列車が鹿や熊の影響で止まった場合、
運転士や車掌さんは、
- 司令所と連絡を取りながら状況確認
- 車両の点検
- 周囲の安全確認
を一つずつ進めています。
特に熊の場合は、
「もういないだろう」で動かすわけにはいきません。
利用者としては車内で待つしかありませんが、
その時間は安全を守るために必要な時間でもあります。
遅れにイライラしてしまいがちですが、
その裏側を少し知っておくだけで、見え方は変わってきます。
今後、影響はさらに増えるのか?
正直なところ、
簡単に減るとは考えにくいのが現実です。
- 鹿や熊の個体数は依然として多い
- 人の生活圏と自然の境界は年々あいまいに
- ローカル線の維持コストは上昇
こうした条件を考えると、
今後も一定数の影響は続くと見られます。
それでも、JR北海道は
- 忌避装置の研究
- 線路周辺の環境対策
- 現場対応の迅速化
など、少しずつ対策を積み重ねています。
「遅れる鉄道」ではなく「自然と走る鉄道」
本州の感覚で見ると、
北海道の鉄道は「よく止まる」と感じるかもしれません。
でも見方を変えると、
それだけ自然と近い場所を走っている鉄道とも言えます。
鹿や熊による遅れは、
北海道の鉄道が抱える大変さであり、
同時に、この土地ならではの現実でもあります。
まとめ
岡山は、熊と遭遇することはあまりありませんがイノシシ・鹿により鉄道のダイヤが乱れることはたびたびあります。
先日も、伯備線内の鹿との衝突により「サンライズ出雲」が岡山駅で運転打ち切りとなりました。また、山陽本線の岡山県東部地域・伯備線・赤穂線では1月に数回動物との接触により列車の遅れや運休が発生しています。
記事にはしませんでしたが、JR東日本もプレスリリースで熊対策の強化を発表しています。今後、動物との接触による列車のダイヤの乱れはますます多くなると思われます。

