無人駅に再び活気を! 伯備線伯耆溝口駅にアトリエ「とじるね」7月25日にオープン

伯備線(伯耆溝口駅) JR西日本

伯備線伯耆溝口駅に、新たな人の流れを生み出す場所が誕生しました。

鳥取県伯耆町にある伯耆溝口駅の駅舎内に、アトリエ「あとりえ とじるね」7月25日にオープンしました。

駅にアトリエができるという、一見すると小さなニュースにも見えますが、鉄道ファンの視点から見ると興味深い取り組みです。

なぜなら、無人駅となった駅舎に「列車に乗るため」以外の目的で人が訪れるきっかけが生まれるからです。

地方の鉄道では、駅の利用者減少と無人化が進んでいます。

その一方で、駅そのものを地域の交流拠点として活用する取り組みも各地で始まっています。

伯耆溝口駅の「あとりえ とじるね」は、伯備線の利用促進や無人駅の活用を考えるうえでも注目したい取り組みです。

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伯耆溝口駅の駅舎にアトリエが誕生

伯耆溝口駅は、伯備線の江尾駅と岸本駅の間にある駅です。

岡山方面から伯備線を北上すると、大山の山並みが近づいてくるエリアにあります。

その伯耆溝口駅の駅舎内に今回オープンしたのが「あとりえ とじるね」です。

7月25日にグランドオープンしました。

駅の空きスペースを単に閉鎖したり、倉庫として利用したりするのではなく、アトリエとして活用することで、駅に新しい役割が生まれます。

これは無人駅の活用方法として、とても興味深いものです。

「無人駅=誰もいない駅」にしない

地方の鉄道を取材していると、「無人駅」という言葉を目にする機会が増えました。

駅員が配置されなくなると、駅の管理や営業面では効率化できます。

しかし、駅から人の姿が減ってしまうことには、寂しさもあります。

特に利用者が少ない駅では、列車が到着するときだけ利用者が現れ、列車が出発すると駅は静まり返るという状況になりがちです。

だからこそ、無人駅の駅舎に別の役割を持たせることには意味があります。

アトリエを訪れる人がいれば、そこには「駅を利用する人」とは違った人の流れが生まれます。

駅員がいなくても、人が集まる場所にする。

「無人駅=誰もいない駅」にしないための一つの方法と言えるでしょう。

鉄道を利用するきっかけにもなる

さらに期待したいのが、伯備線の利用促進につながることです。

例えば、アトリエでイベントやワークショップが開催されるとします。

伯耆溝口駅から徒歩圏内に住んでいる人だけでなく、少し離れた地域から参加する人もいるでしょう。

そのとき「車で行く」のではなく、「伯備線に乗って行ってみよう」と思ってもらえれば、駅に新しい利用者が生まれます。

これは鉄道の利用促進を考えるうえで重要なポイントです。

鉄道の利用者を増やすためには、「鉄道に乗ってください」と呼びかけるだけではなかなか難しいものがあります。

むしろ、駅に行く目的をつくることが重要です。

観光施設、飲食店、イベント、地域交流施設、そして今回のようなアトリエ。

「行きたい場所が駅にある」ことで、鉄道を利用する理由が生まれます。


伯備線では、駅舎を地域のために活用する動きがほかにもあります。根雨駅では、みどりの窓口が2026年3月20日をもって営業を終了しましたが、その後は駅を移住支援の拠点として活用する取り組みが進められています。

伯備線に乗ること自体も楽しみに

伯耆溝口駅は、岡山方面から訪れる人にとっても興味深い場所です。

伯備線には特急「やくも」が走っており、岡山駅から伯耆大山・米子方面へ向かう列車が運転されています。

新幹線との接続を含め、岡山と山陰を結ぶ重要な路線です。

一方で、特急列車だけに注目するのではなく、途中駅で降りてみる楽しさもあります。

例えば、伯耆溝口駅まで普通列車で向かい、駅のアトリエを訪問する。

それだけでも、普段とは違った伯備線の旅になります。

鉄道ファンなら「駅を見るために列車に乗る」ことがありますが、一般の人にとっては「行きたい場所があるから列車に乗る」という形のほうが自然です。

その意味でも、駅に新しい目的をつくる取り組みは、鉄道利用につながる可能性があります。


伯備線新見駅以北では115系G編成で運行されていた新見駅~米子駅間の列車8往復が2026年3月14日のダイヤ改正で227系(Urara)に置き換えとなっています。

無人駅の活用は全国のローカル線にも参考になる

今回の取り組みで面白いのは、大規模な施設を新しく建設したわけではないことです。

既存の駅舎を活用し、そこに新しい機能を加えています。

これは人口減少や利用者減少に悩む地方の鉄道にとって、参考になる考え方ではないでしょうか。

駅舎を新しく建て替えるには、多額の費用が必要になります。

しかし、既存の駅舎に地域の人が活動する場所をつくるのであれば、比較的小さな規模から始められます。

もちろん、すべての無人駅で同じことができるわけではありません。

地域にどのような人や団体がいるのか、駅舎に活用できるスペースがあるのか、列車の本数はどうなのかなど、駅ごとに事情は異なります。

それでも「無人になったから終わり」ではなく、「無人になったからこそできることはないか」と考えることは重要です。


同じJR西日本の万葉まほろば線(桜井線)「櫟本(いちのもと)駅」では、無人駅となった駅舎をホテルとして活用しています。

「駅を目的地にする」という発想

鉄道の利用促進を考えるとき、どうしても「駅からどこへ行くか」という発想になりがちです。

しかし、これからは「駅そのものを目的地にする」という考え方もあっていいのではないでしょうか。

駅でイベントが開催される。

駅にカフェがある。

駅舎で作品が展示されている。

そして駅舎の中にアトリエがある。

こうした場所が増えれば、「列車に乗るための駅」から「訪れてみたい駅」へと変わっていきます。

伯耆溝口駅の「あとりえ とじるね」が、そのような駅の新しい姿を見せてくれることを期待したいところです。

まとめ 伯備線の駅を訪れるきっかけに

伯備線は岡山と山陰を結ぶ重要な路線ですが、沿線には特急列車が通過してしまう小さな駅も数多くあります。

そうした駅に降りる理由が一つ増えるだけでも、鉄道の旅は変わります。

「あとりえ とじるね」を訪れるために伯耆溝口駅で降りてみる。

アトリエを訪れた後、次の列車を待ちながら駅で過ごす。

そんな旅があっても面白いでしょう。

鉄道ファンだけでなく、アートや地域の活動に関心がある人にも伯備線を利用してもらえれば、これまでとは違った層の利用者を取り込むこともできます。

無人駅の活用と鉄道利用促進は、別々の問題ではありません。

「駅に人が集まる場所をつくる」ことが、「鉄道に乗る理由をつくる」ことにもつながるからです。

7月25日に始まった「あとりえ とじるね」の活動が、伯耆溝口駅にどのような変化をもたらしていくのか。

そして、伯備線を利用して伯耆溝口駅を訪れる人が増えていくのか。

今後の展開に注目したいと思います。

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