JR東日本が釜石線の小佐野駅(岩手県釜石市)を、建設用3Dプリンターを活用して建て替えることを発表しました。
3Dプリンターを使った鉄道駅舎といえば、2025年にJR西日本が紀勢本線の初島駅(和歌山県有田市)で実現しています。
初島駅は「世界初の3Dプリンターによる鉄道駅舎」として建設されましたが、今回はJR東日本でも3Dプリンターを活用した駅舎建設が始まります。
建設用3Dプリンターを活用し釜石線「小佐野駅」の建替えを行います
JR東日本ホームページ
小佐野駅を3Dプリンターで建て替え
JR東日本によると、釜石線の小佐野駅は築78年を迎え、老朽化が進んでいることから建て替えを行います。
新しい駅舎は鉄筋コンクリート造の平屋建てで、延べ床面積は約7.5平方メートル。
「山から海へ流れる風のみち」をデザインコンセプトとし、釜石の山間部と海辺をつなぐ小佐野駅らしく、風を感じられるような外壁の表情を計画しています。
工事は2026年10月に着手し、10月中旬には仮設通路への切り替えを予定しています。
新駅舎の利用開始は2027年3月の予定です。
小佐野駅では「現地で直接造形」
今回の小佐野駅の建て替えで特に注目したいのが、3Dプリンターを使った施工方法です。
JR東日本によると、建設用3Dプリンターによる駅舎の施工は同社管内で初めて。
さらに、建設現場に3Dプリンターを設置し、現地で直接造形する施工方法は、駅舎として日本で初めての試みになるとしています。
3Dプリンターを使うことで、デジタル技術によるデザイン性の向上、自動化による施工品質の平準化、省人化など、新しい鉄道建築の可能性を検証します。
これから駅舎の建て替えと聞くと、大型の駅舎を思い浮かべるかもしれません。
しかし、小佐野駅の新駅舎は約7.5平方メートル。
こうした比較的小規模な駅舎だからこそ、3Dプリンターを活用した新しい建設方法との相性が良いのかもしれません。
3Dプリンター駅舎の先駆けはJR西日本「初島駅」
alt="紀勢本線初島駅" class="wp-image-17024"/>JR東日本に先立って、JR西日本が2025年に紀勢本線の初島駅で3Dプリンターを活用した駅舎を建設しています。
JR西日本、JR西日本イノベーションズ、セレンディクスの3社が取り組んだもので、JR西日本は「3Dプリンティング技術を用いた駅舎建設は世界初の事例」と発表しました。
初島駅の駅舎は鉄筋コンクリート造の平屋建てで、10平方メートル弱。
高さ約2.6メートル、幅6.3メートル、奥行2.1メートルの建物です。
壁面には、有田市の名産である「みかん」と「たちうお」をイメージした装飾も施されました。
3Dプリンターで出力したパーツに鉄筋やコンクリート充填などの処理を行ったうえで現地に運び、クレーンで組み立てる方式が採用されています。
JR西日本は、組み上げから躯体完成までを終電から始発までの約6時間で行うことを想定していました。
従来工法と比較した工期短縮や、型枠を使わないことによる造形の自由度などが特徴です。
初島駅の3Dプリンター駅舎は2025年7月22日から利用が始まっています。駅舎には待合所、2人掛けベンチ、券売機、簡易ICカード改札機などが設置されています。
「3Dプリンターで駅を作る」が珍しくなくなる?
初島駅の建設時、JR西日本は今回の駅舎を基本モデルとして、他駅への展開可能性を検討するとしていました。
背景には、建設や維持管理にかかるコストの検証に加えて、労働力不足への対応があります。
そして2026年には、JR東日本が小佐野駅の建て替えに3Dプリンターを活用します。
初島駅と小佐野駅では施工方法に違いがありますが、どちらも比較的小規模な駅舎の建て替えに新しい技術を取り入れた事例です。
鉄道会社にとって、老朽化した駅舎をどのように更新していくのかは、これからますます重要なテーマになりそうです。
「駅舎を建て替える」と聞くと大掛かりな工事を想像しますが、将来的には3Dプリンターによって、駅ごとのデザインを取り入れながら、より効率的に駅舎を更新するケースが増えていくのかもしれません。
まずは2027年3月に利用開始予定の小佐野駅が、どのような駅舎になるのか注目したいところです。

