日本の中古電車がインドネシアで復活? 輸入禁止方針から一転、JR205系や東京メトロ6000系が走るジャカルタの通勤鉄道

武蔵野線205系 海外の鉄道

インドネシアの鉄道といえば、日本で活躍していた中古電車が数多く走っている姿を思い浮かべる鉄道ファンも多いのではないでしょうか。

JR東日本の205系や東京メトロ6000系など、日本ではすでに引退した車両が、インドネシアの首都ジャカルタ周辺で通勤輸送を支えてきました。

しかし、インドネシアでは2023年に日本からの中古電車の導入が大きな問題となり、国産車両への転換を進める方針が打ち出されました。

ところが、2026年10月、再び中古車両の輸入を検討する動きが出てきました。いったい何が起きているのでしょうか。

※この記事では、東洋経済オンラインの報道をもとに、インドネシアの中古車両輸入をめぐる動きを紹介します。

輸入禁止じゃなかったの?インドネシア「日本の中古電車」輸入再開の裏事情 「国産化」進めていた政府の方針に何が起きた?

Yahooニュース(東洋経済オンライン)

インドネシアで活躍してきた日本の中古電車

インドネシアでは2000年ごろから、日本の中古電車が導入されてきました。

日本とインドネシアでは線路の幅が同じ1067mm(狭軌)であることも、中古車両を導入しやすい理由のひとつです。

ジャカルタ首都圏の通勤鉄道では、JR東日本の205系をはじめ、東京メトロの6000系や7000系、東急電鉄の車両など、日本で活躍していた電車が数多く使用されてきました。

インドネシアの鉄道では、JR東日本の205系や東京メトロ6000系など、日本で活躍していた車両が今も通勤輸送を支えています。

2026年4月には、ジャカルタ近郊で発生した鉄道事故に関連して、日本生まれの東京メトロ6000系についても紹介しました。

こうした日本の中古電車が活躍するインドネシアですが、今後も日本から中古車両を導入できるのか、状況が変わりつつあります。

日本では長年の活躍を終えた車両が、海外で新たな役割を担う姿は、鉄道ファンにとっても興味深いものです。

一方、車両の老朽化が進めば、部品の調達や維持管理が難しくなるという問題もあります。日本で製造された車両をいつまでも使い続けられるわけではありません。

2023年に問題となった中古電車の輸入

インドネシアでは、国内の鉄道車両メーカーであるINKAによる車両製造を進め、国内産業を育成する方針が打ち出されていました。

2023年には、KAIコミューターが日本から中古のE217系を導入しようとしましたが、輸入をめぐって議論となりました。

国内メーカーで車両を製造できるのだから、中古車両に頼るのではなく、国産化を進めるべきだという考え方です。

最終的には、日本の中古電車を導入するのではなく、中国製の新型車両を調達する方向となりました。

しかし、国産化を進めれば、それだけで必要な車両を確保できるわけではありません。

国産車両の製造が進まず、再び中古車両に注目

2026年10月3日付の東洋経済オンラインの記事によると、国産車両の製造を担うINKAでは、資金繰りの悪化などにより生産が滞っているといいます。

一方、ジャカルタ首都圏では通勤輸送の需要が大きく、車両不足が課題となっています。

必要な車両を国内で製造できなければ、通勤輸送を維持するために別の調達手段を考えなければなりません。

そこで浮上したのが、日本からの中古車両の輸入再開です。

報道によると、KAIとその子会社であるKAIコミューターは、6両編成14本を導入し、現地で12両編成に組み直して使用することを検討しています。

ただし、これは輸入再開が正式に決定したということではありません。今後、関係省庁との調整や正式な許可が必要となります。

中古車両の輸入は国産化と両立できるのか

今回の動きで興味深いのは、インドネシアが国産車両の製造を諦めたわけではないという点です。

中古車両の輸入は、あくまでも不足する車両を補うための暫定的な措置とされており、国内産業の育成も引き続き課題となっています。

INKAの生産が滞る一方で、鉄道事業者には毎日の通勤輸送を支える責任があります。国産化を優先したい政府と、必要な車両を確保したい鉄道事業者の事情が、必ずしも一致していないことがうかがえます。

今後はKAIによるINKAの買収・傘下化も進められる見通しと報じられています。鉄道の運行と車両製造を一体的に立て直すことができるのか、こちらも注目されます。

長野の211系がインドネシアへ? E131系への置き換えで気になる今後

今回の中古電車の輸入計画で気になったのが、導入が検討されている車両の編成数です。

報道では6両編成14本とされていますが、JR東日本の長野地区で活躍する211系は、6両編成が14本配置されています。

長野地区では、2026年秋からE131系3両編成20本、合計60両の投入が予定されています。これにより、長年活躍してきた211系の一部に動きが出てくる可能性があります。

もちろん、編成数が一致しているからといって、長野地区の211系がインドネシアへの輸出候補になっているわけではありません。

また、211系は3扉車であるのに対し、ジャカルタでは4扉車・6扉車なども使用されています。

乗降時間や車両の改造、現地での保守などを考えると、単純に転用できるとは限りません。

一方で、インドネシアでは扉の数が異なる車両が混在していることもあり、3扉車だから可能性がないとも言い切れないでしょう。

日本で引退する車両を海外で再活用する動きは、これまでも見られました。今回の輸入計画で実際にどの車両が候補となるのか、長野地区の211系の今後とあわせて気になるところです。

日本の中古電車が再び海を渡ることになるのか

日本で役目を終えた車両が海外で活躍することは、車両を有効活用するという面で意義があります。一方で、海外での使用にも部品調達や保守、老朽化への対応が必要です。

インドネシアでは、これまで日本の中古電車が通勤輸送を支えてきました。しかし、これからも同じ形で中古車両に頼り続けるのか、それとも国産車両を安定して製造できる体制を整えられるのか、転換点を迎えているようです。

今後、どの車両が輸出候補となるのかも気になります。

日本の鉄道ファンにとっては、205系などの車両が今後もインドネシアで活躍するのかという点も気になります。

中古車両の輸入再開が正式に認められるのか、そしてインドネシアの鉄道車両の国産化がどのように進むのか、今後の動きを注目したいと思います。

タイトルとURLをコピーしました