JR東日本は2027年春から、京浜東北・根岸線の大宮駅~南浦和駅間、蒲田駅~大船駅間でワンマン運転を開始する計画です。
ワンマン運転では、これまで運転士と車掌が分担してきた業務の一部を、運転士が担うことになります。安全に列車を発車させるためには、乗降状況などを確実に確認できる仕組みが欠かせません。
こうしたなか、JR東日本の労働組合である輸送サービス労組東京地本が、京浜東北・根岸線のワンマン運転に向けた訓練について、Xで懸念を表明しました。
今回は、2027年春にワンマン運転を開始する京浜東北・根岸線について、JR東日本が公表している安全対策と、労働組合側が指摘する問題を取り上げます。
サステナブルな輸送モードを実現するため、京浜東北・根岸線、
JR東日本ホームページ
中央・総武線(各駅停車)でワンマン運転を実施します
京浜東北・根岸線は2027年春からワンマン運転
JR東日本は、労働力不足などへの対応や、より効率的で持続可能な鉄道輸送の実現に向けて、首都圏の主要路線でワンマン運転を拡大する方針です。
2025年3月には常磐線各駅停車と南武線でワンマン運転を開始しており、2027年春には京浜東北・根岸線と中央・総武線各駅停車にも対象を広げる計画です。
京浜東北・根岸線では、大宮駅~南浦和駅間と蒲田駅~大船駅間が対象となります。いずれも10両編成で運転される区間です。
JR東日本は、ワンマン運転に向けた安全対策として、運転席に乗降確認モニタを設置するほか、異常時に乗客と輸送指令室が通話できる機能や、指令室から車内放送を行う機能などを導入するとしています。
また、京浜東北・根岸線を走行するE233系10両編成にはATO(自動列車運転装置)を導入し、輸送の安定性向上を図る方針です。
ワンマン運転の訓練に労働組合が懸念を表明
輸送サービス労組東京地本は2026年10月6日、Xへの投稿で、京浜東北・根岸線のワンマン運転に向けた訓練について指摘しました。
投稿によると、訓練では、発車できる条件が整っているか分からない状態でも、発車してよいという合図を車掌が送らなければならない状況があったとしています。
また、組合員が不安を抱いていることから会社と団体交渉を行ったものの、会社側は取扱いを変える姿勢を見せなかったと説明しています。
これは労働組合側が発信した内容であり、投稿だけでは訓練の具体的な状況や会社側の見解までは分かりません。ただし、安全に列車を発車させるための確認手順について、現場側から懸念が示されていることは注目すべき点です。
ワンマン運転では、車掌が乗務している場合と異なり、運転士が運転席から列車の乗降状況などを確認する必要があります。10両編成という長い列車で、発車に必要な条件をどのように確認し、安全を確保するのかが重要になります。
10両編成のワンマン運転で求められる安全確認
列車を発車させる際には、乗客の乗降が終了していることや、ドアが確実に閉まっていることなど、安全に発車できる状態であることを確認しなければなりません。
JR東日本は、乗降確認モニタによって運転士が全てのドアの乗降状況を確認できるようにするなど、設備面での対策を進めています。
しかし、安全設備を整えることと、実際の訓練で適切な確認手順が守られることは、分けて考える必要があります。
どれだけ設備が整っていても、乗務員が発車条件を確認できないと感じる状況があるのであれば、その原因を確認し、必要に応じて取扱いや訓練方法を見直すことが大切です。
特に、利用者の多い首都圏の通勤路線では、混雑時の乗降確認や、通常とは異なる状況が発生した場合の対応も考えておく必要があります。
ワンマン運転の導入を進めるのであれば、効率化だけでなく、安全を確保するための具体的な手順と、現場の疑問や不安を解消する仕組みも重要ではないでしょうか。
ホームドアと連動していても、ドアの閉扉確認は重要
京浜東北・根岸線ではホームドアの整備が進んでいます。ホームドアと車両のドアを連動させることは、乗客の転落や列車との接触を防ぐうえで重要な対策です。
2026年度中に京浜東北・根岸線では田町駅をのぞくすべての駅にホームドアが設定される予定となっています。
なお、田町駅は2027年春からのワンマン運転対象区間にはなっていませんのでワンマン運転が行われる区間はすべてホームドアが設置される区間となります。
一方で、ホームドアが整備され、車両のドアと連動していても、それだけで全ての安全上の問題を防げるとは限りません。
2026年9月には、東武伊勢崎線で10両編成の急行列車が、一部のドアが開いたまま走行する事象が発生しました。東武鉄道の発表によると、車掌がドアの閉扉操作を行い、側面ランプの消灯などを確認して出発したものの、実際には1か所のドアが完全に閉まっていませんでした。車両の不具合とされ、詳細原因は調査中です。
この事例は京浜東北・根岸線のワンマン運転訓練で指摘された問題とは別のものですが、設備による安全対策に加え、列車が安全に発車できる状態であることを確実に確認する仕組みが重要であることを示しています。
ワンマン運転では、運転士が発車に必要な条件を確認する役割を担います。ホームドアなどの設備を整えるだけでなく、異常があった場合に発車を防ぐ仕組みや、乗務員が異常を認識した際に確実に運転を見合わせられる取扱いも重要ではないでしょうか。
ワンマン運転の拡大は安全対策と一体で
JR東日本は2027年春から、京浜東北・根岸線に加えて中央・総武線各駅停車でもワンマン運転を開始する計画です。今後、首都圏の主要路線でワンマン運転がさらに拡大していくことになります。
人手不足への対応や持続可能な鉄道運営は重要な課題です。一方で、運転士1人が担う業務が増える以上、安全確認の仕組みや異常時の対応について、現場が納得できる形で整備していく必要があります。
今回の労働組合側の指摘についても、訓練でどのような問題が発生したのか、会社側がどのように対応するのかを確認していきたいところです。
2027年春のワンマン運転開始に向けて、安全設備の整備だけでなく、実際の運転や訓練における安全確認がどのように行われるのかにも注目したいと思います。
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