2018年3月末に廃止されたJR三江線。その代替交通として運行されてきた石見交通の「江津川本線」は、2027年3月末で廃止される見通しとなっています。
これを受け、島根県江津市と川本町は、2027年春以降、両自治体の負担によって生活バスを運行する方針です。ただし、運行本数は現在の1日9便から6便(1日3往復)に減少します。
また、石見交通の「江津川本線」についても11月16日(月)から6本(3往復)に減便となります。
鉄道の廃止後に代替交通として整備されたバス路線も、運行開始から約9年で転換点を迎えることになります。
旧JR三江線の代替交通・「江津川本線」バスも利用低迷で来春廃止、沿線自治体はさらなる代替「生活バス」運行を発表…経費は年2000万円
読売新聞ホームページ
江津川本線の廃止後は江津市と川本町が生活バスを運行
読売新聞の報道によると、2027年春からは江津市と川本町の負担で生活バスを運行することになります。
現在の江津川本線は、JR三江線の廃止に伴い2018年に運行を開始した路線です。江津市と川本町を結び、通学や通院など地域住民の日常生活を支えてきました。
しかし、運行を担う石見交通は、利用者の低迷などを背景に2027年3月末で路線を廃止する意向を示していました。沿線自治体は運行継続に向けて対応を検討してきましたが、従来の形で路線を維持することは難しくなりました。
今回、両自治体が生活バスを運行することで、江津市と川本町を結ぶ交通手段は引き続き確保されることになります。
一方、運行主体や費用負担のあり方が変わることには注意が必要です。これまでのバス路線をそのまま引き継ぐのではなく、自治体が地域住民の移動手段を確保する仕組みへと移行することになります。
石見交通は11月16日から一般路線バスも減便
江津川本線の廃止が予定される一方、石見交通では2026年11月16日から一般路線バスの減便も実施されます。
現在の9本(江津市→川本町:4本、川本町→江津市:5本)から朝・昼・夕の6本(3往復)に減便となります。
リンク:江津川本線時刻表
江津川本線については、利用者の低迷や運転士不足などを背景に、2027年3月末での路線廃止が予定されています。今回の一般路線バスの減便も踏まえると、地域のバス交通は、路線を維持することだけでなく、限られた運転士や経営資源をどのように配分するかという課題に直面していることが分かります。
なお、ダイヤについては書かれていませんが6本(3往復)での運行が予定されているため、11月16日以降の減便後のダイヤに近いかたちとなると思われます。
江津川本線の廃止後は、江津市と川本町が費用を負担して生活バスを運行する方針ですが、自治体が交通手段を確保しても、運行を担う人材や財源の問題がなくなるわけではありません。
今後は、自治体がどのような交通体系を構築するのかに加え、実際に運行を担う事業者や運転士を確保できるのかという点も重要になりそうです。
年間約2,000万円の負担を継続できるのか
2027年春から江津市と川本町が生活バスを運行することで、三江線の廃止後に確保されてきた代替交通は、引き続き維持されることになります。
一方で、気になるのが運行に必要な費用です。年間約2,000万円の負担が見込まれる場合、国の補助制度を活用できれば、自治体側の実質的な負担を最大で50%軽減できる可能性があります。
仮に補助によって費用の半分が賄われたとしても、自治体側には年間約1,000万円の負担が残りますし、利用状況によっては補助を受けられない可能性もあります。さらに、江津市と川本町がどのような割合で費用を分担するのかによって、それぞれの財政負担も変わってきます。
特に、川本町のように財政規模が大きくない自治体にとって、地域住民の移動手段を確保するための継続的な支出は、決して小さなものではないでしょう。
もちろん、生活バスは単純に採算だけで評価できるものではありません。通学や通院など、住民の日常生活を支える役割があるためです。
しかし、国の補助を活用できたとしても、補助の対象となる経費や適用期間などの条件があり、将来にわたる負担がすべて解消されるわけではありません。
鉄道を廃止して代替バスに転換した後も、地域交通を維持するためには費用がかかります。今回の江津川本線の事例は、交通手段を確保するだけでなく、その費用を誰が、どのように負担し続けるのかという問題も示しているように感じます。
自治体が運行主体となり、運転業務を委託する方法も
2027年春以降の生活バスについては、運行費用を江津市と川本町が負担することになりますが、自治体が運行を担う方法にもいくつかの選択肢があります。
江津市と川本町についても、自治体が路線や運行計画などを管理し、運転業務をバス事業者に委託する方法が考えられます。これにより、自治体が地域交通の運行に責任を持ちながら、運転士の確保や実際の運行を専門事業者に任せることができます。
一方、運行方式を変更する場合には、国の補助制度を引き続き活用できるのかという問題もあります。現在の江津川本線は地域間幹線系統補助の対象となっていますが、2027年春以降の生活バスがどのような制度の対象となるのかは、運行形態や計画の内容によって確認する必要があります。
地域間幹線系統補助とは、複数の市町村にまたがる路線バスなど、一定の要件を満たす路線の運行を支援する国の補助制度です。
今回の生活バスについても、こうした国の補助制度を活用できるかどうかが、自治体の負担を考えるうえで重要になります。ただし、補助を受けるには対象事業者や路線などの要件を満たす必要があり、必ずしも運行費用の半額が補助されるとは限りません。
概略については国土交通省のホームページに書かれています。
リンク:地域公共交通確保維持事業
地域間幹線系統補助の仕組みについては、こちらの記事も参考になります。
年間約2,000万円とされる運行費用を考えると、国の補助をどこまで活用できるのか、自治体間でどのように費用を分担するのかは、今後の運行を考えるうえで重要なポイントになりそうです。
代替バスも自治体が支える時代へ
三江線は2018年3月末に廃止され、江津川本線はその代替交通として運行されてきました。
しかし、代替バスも利用者の低迷や運転士不足などの問題に直面し、2027年春には現在の路線としての運行を終えることになります。
今回の対応では、江津市と川本町が負担して生活バスを運行することで、地域の移動手段を確保することになりました。
もっとも、自治体が運行費用を負担する仕組みに移行したからといって、将来にわたって交通手段が安定して維持されると決まったわけではありません。
運行に必要な財源を確保できるのか、運転士を確保できるのか、そして利用者にとって必要な運行本数を維持できるのか。今後も考えていかなければならない課題は残っています。
三江線の廃止から約9年。鉄道に代わる交通手段として運行されてきたバスも、地域の実情に合わせた再編を迫られることになりました。
鉄道を廃止してバスに転換すれば、それで地域交通の問題が解決するわけではありません。今回の江津川本線の事例は、代替交通をどのような仕組みで維持していくのかという課題を改めて示しているように感じます。
今後、自治体負担による生活バスがどのような運行内容となるのか、地域住民の生活を支える交通手段として定着するのか、引き続き注目したいところです。
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