あいの風とやま鉄道は、2027年春から521系の一部を3両編成に変更する計画です。
現在2両編成で運行している521系に中間車両を組み込み、輸送力の増強を図ります。一方、同じく3両編成で運行している413系「とやま絵巻」は、2027年春に引退することになりました。
521系の3両編成化によって、同社の一般列車で活躍してきた413系の姿がまた一つ消えることになります。
あいの風3両編成に 521系、来春から 中間車両導入 「風」モチーフ
北國新聞(富山新聞)ホームページ
521系に中間車両を組み込み3両編成へ
あいの風とやま鉄道では、現在2両編成の521系を一部3両編成に変更する計画を進めています。
今回の計画では、中間車両を3両新造し、既存の521系に組み込むことで3両編成を導入します。
中間車両は、モーターや運転台などを持たない付随車(サハ521)で、定員は約150人を想定しています。
現在の521系2両編成の定員は約250人ですが、中間車両を組み込んだ3両編成では約400人となる見込みです。
従来の521系を新たに3両編成で製造するのではなく、中間車両を追加する方式とすることで、設備投資を抑えながら輸送力を増強します。
また、利用者の多い時間帯に521系を2本繋いだ4両編成で運行している列車の一部を3両編成にすることにより車両運用に余裕ができると思われます。これにより、城端線・氷見線があいの風とやま鉄道に移管後に計画されている増便などによりあいの風とやま鉄道線の利用者が増えた場合に増便を行うことが可能になりそうです。
同社は、この取り組みによって輸送需要に応じた効率的な車両運用や、エネルギー消費量・CO2排出量の削減なども目指しています。
3両編成の521系は2027年春のダイヤ改正から運用を開始する予定です。
413系「とやま絵巻」は2027年春に引退
今回の521系3両編成化に伴い、413系「とやま絵巻」は2027年春に引退することになりました。
「とやま絵巻」は、413系の1編成を改装したイベント列車で、2016年8月から運行を開始しました。
車体には富山県の自然や食、文化などをイメージしたラッピングが施されており、地域の魅力を発信する列車として活躍してきました。
また、イベント列車としての運行だけでなく、朝の時間帯には一般の普通列車にも使用されていました。
2026年3月のダイヤ改正以降は、金沢駅まで乗り入れる普通列車にも使用されており、413系ならではの3両編成で運行される姿を見ることができました。
土曜休日の運行となっています。
- 428M:富山(9:42発)→金沢(10:45着)
- 439M:金沢(11:05発)→富山(12:03着)
しかし、車両の老朽化や521系の3両編成化に伴い、約10年にわたる活躍に一区切りをつけることになります。
なお、同じ413系を改造した観光列車「一万三千尺物語」は、引き続き運行される予定です。
車両新造には国の補助制度を活用
2024年6月に公表された資料では、今回の521系中間車両3両の新造費用について、国庫補助(補助率1/3)を活用する計画が示されています。
リンク:利便性向上等のための投資について
鉄道事業者が車両や設備を更新する際には、国による補助制度が設けられています。今回のような車両設備の整備では「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業(補助率3分の1)」などが関係する制度として考えられます。
一方、社会資本整備総合交付金を活用した地域公共交通再構築事業では、鉄道の輸送密度が原則4,000人未満であることなどが要件となっています。
あいの風とやま鉄道は、全線平均の輸送密度が4,000人を上回っているため、今回の車両新造については、こうした地域公共交通再構築事業とは別の補助制度を活用するものと考えられます。
なお、あいの風とやま鉄道が2029年頃に経営を引き継ぐ、城端線・氷見線の再構築事業では輸送密度が4,000未満のため社会資本整備総合交付金が活用されています。こちらはJR西日本からあいの風とやま鉄道への事業主体の移管を含む鉄道事業再構築実施計画に基づくもので、新型車両の導入も支援対象となっています。
2024年の公表資料では具体的な補助制度名までは明記されていないため、「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業」とは断定できませんが補助率・経営状況から推測しています。
413系から521系へ 車両更新と輸送力増強を進める
あいの風とやま鉄道では、開業後も521系の新造車両を導入してきました。
一方、413系は国鉄時代に製造された車両であり、老朽化に加えて部品の調達も難しくなっています。
今回の521系中間車両の新造は、既存車両を有効活用しながら輸送力を増強する取り組みでもあります。
以前の記事でも紹介したように、413系「とやま絵巻」は、観光列車「一万三千尺物語」とともに富山県内で活躍してきた車両です。
一般の普通列車として乗車できる機会がなくなるのは残念ですが、521系の3両編成化によって、通勤・通学時間帯などの混雑緩和につながることを期待したいところです。



