北海道の玄関口・新千歳空港と札幌・小樽方面を結ぶJR北海道の快速「エアポート」。
利用者の多いこの列車では、721系から733系への車両置き換えが進められていますが、JR北海道は2026年9月18日、新たに739系3000代通勤形交流電車を快速「エアポート」に投入すると発表しました。
2027年春から営業運転を開始する予定で、6両編成を6本、合計36両が導入されます。
今回の新型車両で特に注目したいのが、6両編成のまま定員が721系の527人から793人へ増えることです。
座席数はそれほど変わらない一方、立席を含めた定員は約1.5倍となります。
JR北海道ホームページ
2027年春から739系3000代を投入
JR北海道が今回発表した739系3000代は、快速「エアポート」で使用されている721系の置き換え用として導入されます。
導入されるのは、
- 6両編成×6本
- 合計36両
です。
2027年春からの営業運転を予定しています。
運行区間は快速「エアポート」の小樽~札幌~新千歳空港だけではありません。
函館本線の小樽~岩見沢間、千歳線、学園都市線、室蘭本線の苫小牧~沼ノ端間でも使用される予定です。
つまり、空港アクセス専用車両というより、札幌圏の幅広い運用に対応する通勤形車両として導入されます。
車体はアルミダブルスキン構造で、先頭部は鋼製。設計最高速度は130km/hとなっています。
外観は733系と同様の高運転台とし、空港アクセス車両らしく、前面には航空機の主翼にある「ウイングレット」をイメージしたアクセントが配置されます。
6両編成なのに定員は約1.5倍に
今回の739系3000代で最も気になるのが、輸送力です。
JR北海道が発表した主な諸元を721系3000代と比較すると、次のようになります。
| 739系3000代 | 721系3000代 | (参考)733系 | |
|---|---|---|---|
| 編成 | 6両 | 6両 | 6両 |
| 定員 | 793人 | 527人 | 821人 |
| 座席数 | 287席 | 279席 | 288席(3000代) 276席(4000代) |
| 設計最高速度 | 130km/h | 130km/h | 130km/h |
| 座席配置 | ロングシート | 転換クロスシート | ロングシート |
| トイレ | 2か所 | 2か所 | 2か所 |
| 車いすスペース | 6か所 | 2か所 | 6か所 |
| 車内案内表示器 | あり | なし | あり(4000代から設置) |
| 防犯カメラ | あり | なし | あり |
注目すべきは、座席数が279席から287席へ8席増える程度なのに、定員は527人から793人へ大幅に増えることです。
計算すると約1.5倍。
これは、座席を大幅に増やすことで輸送力を高めるのではなく、ロングシート化などによって立席スペースを確保し、1編成あたりに乗車できる人数を増やす考え方といえます。
快速「エアポート」は、新千歳空港を利用する旅行客だけでなく、札幌都市圏の通勤・通学利用も多い列車です。
混雑する時間帯には、座って移動することよりも、より多くの利用者を一度に輸送できることが重要になります。
今回の739系3000代は、そうした現在の「エアポート」が抱える輸送需要を意識した車両になっているといえそうです。
ロングシートが基本に 4号車は「uシート」
alt="快速「エアポート」uーシート" class="wp-image-16222"/>座席配置も大きく変わります。
721系3000代は転換クロスシートが基本でしたが、739系3000代はロングシートが基本となります。
一方で、快速「エアポート」の4号車については、これまでと同様に回転式クロスシートを採用。
指定席「uシート」として、空港利用などで着席して移動したい利用者にも対応します。
さらに739系3000代では、4号車のuシートについて座席構造を見直し、足元のスペースを拡大します。
無料で利用できる一般車両では輸送力を重視しつつ、指定席では着席時の快適性にも配慮するという構成です。
快適さより実用性へ? 721系からの世代交代
快速「エアポート」の車両については、今年5月にも「721系撤退とロングシート化」を取り上げました。
721系は1988年に登場した北海道を代表する近郊形電車で、転換クロスシートを備えた車両です。
快速「エアポート」では、新千歳空港を利用する旅行客にとっても、北海道らしい車内設備を持つ車両として長く活躍してきました。
しかし、現在の快速「エアポート」は、空港アクセス列車であると同時に札幌都市圏の重要な輸送手段となっています。
そのため、座席を中心とした快適性よりも、混雑時により多くの乗客を輸送できることが重視されるようになっています。
今回の739系3000代では、その変化が「定員793人」という数字にかなりはっきり表れています。
車いすスペースや案内設備も充実
739系3000代は、輸送力だけを重視した車両というわけではありません。
車いすスペースは721系3000代の2か所から6か所へ増加。
車いすスペースの床の色を変えて、場所を分かりやすくするほか、介助者用の折り畳み式簡易腰掛も設置されます。
また、車内案内表示器を各車両3か所に設置。
721系にはなかった車内防犯カメラも設置されます。
機器レイアウトを変更して空間を確保することで、座席数を増やす工夫も行われています。
「エアポート」はさらに輸送力重視へ
今回の739系3000代の投入によって、快速「エアポート」はさらに輸送力を重視した車両構成へ変わっていくことになります。
721系3000代と比べると、
定員 527人 → 793人
と大幅に増加する一方、
座席 279席 → 287席
と、座席数の増加はわずかです。
この数字だけを見ると、「座るための列車」から「できるだけ多くの人を運ぶ列車」へと性格が変化していることが分かります。
一方で、4号車のuシートは残され、足元のスペースも拡大されます。
すべての利用者に同じ快適性を提供するのではなく、一般車両では輸送力を確保し、指定席では着席して移動したい利用者に対応するという役割分担が、より明確になりそうです。
721系から733系、そして739系3000代へ。
快速「エアポート」の車両は、北海道の空港アクセスを担う列車であると同時に、札幌都市圏の大量輸送を支える列車へと進化しています。
2027年春、739系3000代が営業運転を開始すると、「エアポート」の車内風景もまた大きく変わりそうです。


