富山地方鉄道本線の存続をめぐり、市民団体「黒部ワンコインプロジェクト」が実施したアンケート結果が公表されました。
アンケートでは、地域鉄道を維持するためには行政による税金投入を積極的に行うべきと考える回答が多くを占めたことが明らかになりました。
これは、以前紹介した滑川市が実施した市民アンケートで「鉄道は必要だが税金投入には反対」が多数となった結果とは対照的な内容となっています。
同じ富山地方鉄道本線を対象としていても、調査対象や立場の違いによって考え方が大きく異なることが浮き彫りになりました。
「積極投資」が「廃止」圧倒 富山地鉄存廃、行政の関わり 沿線住民アンケート
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黒部ワンコインプロジェクトがアンケート結果を公表
黒部ワンコインプロジェクトは、富山地方鉄道の利用促進や沿線活性化に取り組む市民団体です。
これまでも500円で利用できる企画乗車券「くろワンきっぷ」の販売やイベント開催などを通じて、地域鉄道の利用促進に取り組んできました。
今回公表されたアンケートでは、富山地方鉄道の存続や行政の役割などについて利用者の考えを調査しています。
その中で目を引いたのが、地域鉄道を維持するためであれば行政が積極的に財政支援を行うべきという意見が多かったことです。
近年は人口減少や自家用車利用の増加などで地方鉄道の経営環境は厳しさを増しています。鉄道会社だけで維持することは難しくなっており、公費負担を前提とした運営へ転換する例も増えています。
利用者からも、「地域に必要な公共交通である以上、行政が支えるべきだ」という考え方が広がっていることがうかがえる結果となりました。
滑川市民アンケートとは正反対の結果
alt="滑川駅" class="wp-image-11741"/>一方、本ブログで以前紹介した滑川市の市民アンケートでは、少し異なる結果となっていました。
その調査では、
- 富山地方鉄道本線は地域に必要
- 廃止は避けたい
と考える人が多かった一方で、
行政による税金投入には否定的な意見が多数
という厳しい現実も明らかになっています。
「鉄道は残してほしい。しかし税金を増やしてまで維持することには賛成できない。」
こうした考え方は、多くの自治体で共通する課題とも言えるでしょう。
今回の黒部ワンコインプロジェクトの調査結果は、この滑川市民アンケートとは対照的な内容となりました。
なぜ結果が違ったのか
同じ富山地方鉄道本線を対象にしているにもかかわらず、なぜここまで結果が異なったのでしょうか。
考えられる理由の一つは、アンケート対象者の違いです。
滑川市の調査は、市民全体の意見を把握することが目的でした。
そのため、日常的に鉄道を利用しない人や、自家用車が生活の中心となっている人も多く含まれています。実際、富山地方鉄道を利用していない人の割合は7割を超えていました。
一方、黒部ワンコインプロジェクトの活動に関心を持つ人は、普段から鉄道を利用していたり、地域鉄道の必要性を強く感じていたりする人が多いと考えられます。このアンケートも地鉄の列車やバスが乗り放題となる「ワンコイン」イベントなどで行っており実際に鉄道を利用している人の意見が大半を占めています。
鉄道を日常的に利用している人ほど、
「多少の税金投入はやむを得ない」
という考えになりやすいことは十分考えられます。
また、設問の内容や回答方法によっても結果は変わることがあります。
アンケートは質問の仕方一つで回答傾向が変わることも少なくありません。
そのため、「どちらが正しい」というより、それぞれ異なる立場からの意見として受け止めることが重要でしょう。
地域鉄道をどう支えるのか
地方鉄道を巡る議論では、
「赤字だから廃止」
「公共交通だから無条件で税金投入」
という二者択一では解決できない問題が多くあります。
利用者数は減少し続ける一方、高齢化の進展により公共交通の重要性は高まっています。
また、通学や通勤だけでなく、観光や地域振興、防災の観点からも鉄道は重要なインフラです。
近年ではJR西日本の芸備線やJR東日本のローカル線、さらには全国各地の第三セクター鉄道でも、行政と鉄道会社、地域住民が一体となって持続可能な交通体系を模索する動きが広がっています。
富山地方鉄道も同様に、単なる鉄道会社の経営問題ではなく、「地域の移動をどう守るのか」という視点で議論が進められています。
富山地方鉄道の沿線7市町村は、本線存続に向けて動き出しましたが費用分担など抱えている問題は大きく今後の動きが注目されます。
まとめ 「誰に聞くか」で見えてくる景色は変わる
今回の黒部ワンコインプロジェクトのアンケート結果と、滑川市民アンケートを比較すると、非常に興味深いことが分かります。
同じ路線を対象にした調査であっても、利用者を中心に調査するのか、市民全体を対象にするのかによって結果は大きく変わるということです。
鉄道を日常的に利用する人は、存続のための公的支援を前向きに受け止める傾向が見られる一方、市民全体では税負担への慎重な意見も少なくありません。
どちらの結果も地域の「本音」であり、一方だけを見て判断することはできないでしょう。
富山地方鉄道の将来を考える上では、「鉄道を残すべきか」という議論だけでなく、「誰が、どのような形で支えていくのか」という視点がますます重要になりそうです。
今回公表されたアンケート結果は、そのことを改めて考えさせてくれる内容と言えるのではないでしょうか。



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