岡山県と広島県を結ぶJR芸備線の備中神代駅〜備後庄原間駅(68.5km) は、利用者数減少が顕著で、沿線自治体・JR西日本・国が協力して交通のあり方を議論する「再構築協議会」の対象区間となっており将来のあり方について検討が行われています。
この区間については、2026年6月まで列車の試験増便を行いその効果を確かめる実証実験が行われてきましたが効果についてはいまいちでした。そして、7月からは、バス転換した場合の実証実験を行うことになっておりその計画が発表されました。この結果と芸備線試験増便の結果をあわせて検討し、2026年11月に国土交通省から路線の存廃についての意見が発表されます。
国土交通省ホームページ
2026年6月1日〜9月30日:バス実証実験が「平日の日常利用」に挑む
そんな厳しい現実と向き合うなかで、 2026年6月1日から9月30日までの平日(祝日除く)に、芸備線に並行する「路線バスの実証運行」 がスタートします。
どんなバス?
- 幹線道路を使い、 JR新見駅〜JR備後庄原駅 を結ぶ4つの路線として運行される日常生活向けの路線バスです。
- 学校、病院、スーパーなど、生活に身近な施設を経由するルート設計。
- 鉄道の定期券・切符を持っている人は、同じきっぷでバスにも乗れる仕組みです。
この実証実験は、単なる「代替」ではなく、 地域の日常交通をどう最適化するかを見るテスト走行 でもあります。どの区間でどれだけ利用されるのか、どんな時間帯が便利か──利用者の声や乗降データを実際に得ることが狙いです。私も、自分の考えとしてこの区間のバスのアイデアをかつて出していますのでよければご覧ください
鉄道はこの実験中も走る ― “共存”がキーワード
注意したいのは、この実証バスが走っている期間も、 芸備線そのものの列車は通常通り運行する という点です。
つまりこれは
- 鉄道をすぐに止めるための準備ではなく
- 鉄道+バスという両方の交通手段をどう活かせるかを見極める実験
という色合いがとても強い試みとなっています。
鉄道だけでは対応しづらい移動ニーズを、バスがどう補完できるのか──そうした“ハイブリッドな交通モデル”のデータを積み重ねることがねらいです。
実証実験の4つの路線について
新見駅(新見市役所)~東城駅
この区間は、バスが5往復運転されます。これにより鉄道とあわせて1日11往復の運転となります。芸備線の存廃の議論の対象区間の中では比較的利用が多い区間ですので適切な設定と思われます。なお、新見市役所は新見駅から徒歩で約30分かかりますので市役所までの運行としたことは利便性の向上に繋がるでしょう。ただ、バスと芸備線がほぼ同じ時刻で運転される便が3本ほどあるのは気になります。
- 新見駅(新見市役所)→東条駅
| 種別 | 新見市役所 | 新見駅 | 東城駅 |
| 芸備線(快速) | 5:16 | 6:34 | |
| 芸備線 | 7:03 | 7:53 | |
| バス | 8:35 | 8:41 | 9:29 |
| バス | 11:39 | 11:45 | 12:33 |
| 芸備線 | 13:00 | 14:26 | |
| バス | 14:25 | 14:31 | 15:19 |
| バス | 16:13 | 16:20 | 17:06 |
| 芸備線 | 16:20 | 16:57 | |
| バス | 18:19 | 18:26 | 19:12 |
| 芸備線 | 18:51 | 20:18 | |
| 芸備線 | 22:28 | 23:04 |
- 東城駅→新見駅(新見市役所)
| 種別 | 東城駅 | 新見駅 | 新見市役所 |
| 芸備線 | 6:19 | 6:53 | |
| 芸備線 | 7:31 | 8:08 | |
| バス | 7:31 | 8:17 | 8:24 |
| 芸備線 | 9:00 | 9:36 | |
| バス | 10:35 | 11:23 | 11:29 |
| 芸備線 | 13:11 | 13:58 | |
| バス | 13:27 | 14:14 | 14:20 |
| 芸備線 | 17:20 | 17:56 | |
| バス | 17:20 | 18:08 | 18:14 |
| バス | 19:17 | 20:03 | |
| 芸備線 | 21:30 | 22:09 |
東城駅~備後落合駅
芸備線で最も利用の少ない区間です。2往復のバスが設定されました。この区間については、芸備線が速度制限のため所要時間が長く、バスが30分のところ芸備線は50分かかります。沿線人口も多くないので、この区間については苦戦が予想されます。
- 東城駅→備後落合駅
| 種別 | 東城駅 | 小奴可駅 | 備後落合駅 |
| 芸備線(快速) | 5:45 | 6:14 | 6:34 |
| 芸備線 | 13:37 | 14:05 | 14:26 |
| バス | 15:20 | 15:42 | 15:51 |
| 芸備線 | 19:28 | 19:57 | 20:18 |
| バス | 19:50 | 20:06 | 20:15 |
- 備後落合駅→東城駅
| 種別 | 備後落合駅 | 小奴可駅 | 東城駅 |
| 芸備線 | 6:41 | 7:03 | 7:31 |
| バス | 12:12 | 12:21 | 12:43 |
| 芸備線 | 14:39 | 15:00 | 15:29 |
| バス | 18:51 | 19:00 | 19:16 |
| 芸備線 | 20:40 | 21:01 | 21:30 |
備後落合駅~備後西城駅
この区間は、下りで3本・上りで2本バスが設定されています。芸備線の本数が下り4本・上り3本のうえ、上りの芸備線とバスの時刻が重なっており有効本数としては、下り8本・上り5本と少し不便な設定となっています。ウィル西城は、庄原と西城を結ぶ路線バスが備後西城駅に乗り入れしないため停留所が設定されています(備後西城駅までは徒歩で数分かかります)。
- 備後落合駅→備後庄原駅
| 種別 | 備後落合駅 | ウィル西城 | 備後西城駅 |
| 芸備線 | 6:41 | → | 7:01 |
| バス | 7:36 | → | 8:02 |
| 芸備線 | 9:12 | → | 9:31 |
| バス | 13:05 | 13:18 | 13:20 |
| 芸備線 | 14:40 | → | 14:59 |
| バス | 15:55 | 16:08 | 16:10 |
| 芸備線 | 17:14 | → | 17:34 |
| 芸備線 | 19:18 | → | 19:38 |
- 備後庄原駅→備後落合駅
| 種別 | 備後西城駅 | ウィル西城 | 備後落合駅 |
| 芸備線 | 7:55 | → | 8:14 |
| バス | 11:50 | → | 12:05 |
| 芸備線 | 14:00 | → | 14:19 |
| 芸備線 | 15:53 | → | 16:12 |
| 芸備線 | 18:27 | → | 18:46 |
| バス | 18:35 | → | 18:50 |
備後西城駅~備後庄原駅
この区間では、実証実験のバスは下りが7本・上りが5本設定されています。芸備線・路線バスとあわせると下りで21本・上りで18本となります。上りについては、18時台にほぼ同じ時刻で3本設定されているのは少し考えた方がいいかもしれませんが・・・。
- 備後西城駅→備後庄原駅
| 種別 | 備後西条駅 | ウィル西城 | 備後庄原駅 |
| バス | 6:41 | → | 7:12 |
| 路線バス | 6:52 | 7:20 | |
| 芸備線 | 7:01 | → | 7:29 |
| バス | 7:20 | → | 7:51 |
| 路線バス | 7:26 | 7:54 | |
| 路線バス | 8:06 | 8:34 | |
| バス | 8:20 | → | 8:57 |
| 路線バス | 9:26 | 9:54 | |
| 芸備線 | 9:31 | → | 9:57 |
| 路線バス | 12:26 | 12:54 | |
| バス | 13:25 | → | 14:02 |
| 路線バス | 14:36 | 15:04 | |
| 芸備線 | 14:59 | → | 15:28 |
| 路線バス | 15:36 | 16:04 | |
| バス | 16:15 | → | 16:52 |
| 路線バス | 16:36 | 17:04 | |
| バス | 17:25 | → | 17:56 |
| 芸備線 | 17:34 | → | 18:01 |
| 路線バス | 17:36 | 18:04 | |
| 芸備線 | 19:38 | → | 20:06 |
| バス | 20:50 | → | 21:13 |
- 備後庄原駅→備後西城駅
| 種別 | 備後庄原駅 | ウィル西城 | 備後西城駅 |
| バス | 6:40 | → | 7:10 |
| 路線バス | 7:27 | 7:55 | |
| 芸備線 | 7:29 | → | 7:53 |
| バス | 7:31 | → | 8:01 |
| 路線バス | 8:42 | 9:10 | |
| バス | 11:00 | → | 11:37 |
| 路線バス | 11:32 | 12:00 | |
| 芸備線 | 13:35 | → | 14:00 |
| 路線バス | 13:52 | 14:20 | |
| 路線バス | 14:52 | 15:20 | |
| 芸備線 | 15:28 | → | 15:53 |
| 路線バス | 15:52 | 16:20 | |
| 路線バス | 16:52 | 17:20 | |
| 芸備線 | 18:01 | → | 18:27 |
| バス | 18:01 | → | 18:31 |
| 路線バス | 18:02 | 18:30 | |
| 路線バス | 19:02 | 19:30 | |
| バス | 20:10 | 20:32 | 20:34 |
再構築協議会――地域交通の未来をみんなで考える場
このバス実証は、単体の取り組みではありません。JR西日本・自治体・国(中国運輸局)・バス協会などが参加する芸備線再構築協議会で計画された施策の一つです。
この協議会では、
・利用データの分析
・地域の移動実態の調査
・鉄道としての価値の検証
・バスやタクシーなど二次交通との連携
といった点が総合的に議論されています。
2025年度には「列車の土休日増便」や「臨時列車の実証」なども行われ、利用者の声や経済効果の試算も提示されました。
そうした蓄積がこの2026年度の「日常利用バス実験」につながっています。
なぜ今、この実証が重要なのか?
芸備線のこの区間は、沿線人口の減少や自動車依存の高まりもあり、従来の鉄道だけでは利用者を支えきれない課題に直面しています。単に「赤字だから廃止」という二択ではなく、 地域の暮らしや経済活動を支える新しい交通のあり方を探るというのが、この取り組みの本質です。
沿線自治体の担当者たちからは、
「地域住民の生活圏を守りたい」
「国としてもローカル線ネットワークの価値を議論すべき」
という声が上がっています。
読者に届けたいメッセージ
- ただの移動手段ではなく、
地域の人々の暮らしをつなぐ「公共交通」 - 鉄道文化を未来につなぐための試行錯誤
- バスという形を含めた“新しい地域の足”の見え方
…そんな視点で、この実証実験はとても興味深い意味を持っています。
まとめ
6月から始まるこのバス実証実験は、芸備線という単一の路線の話ではなく、 ローカル交通と地域社会の未来を問う大きなチャレンジ です。
利用者の声、住民の体験、そして実際の乗降データ――それらを丁寧に拾い上げていくことで、この地域の「足」の姿はまた新しい方向へ進んでいくはずです。




