地方鉄道を取り巻く環境が、また一段と厳しくなってきました。
熊本・鹿児島県境を走る第三セクター「肥薩おれんじ鉄道」が、不足している運転士の養成に乗り出すというニュースが伝えられています。
一見すると「人手不足だから育てます」という、よくある話のようにも見えますが、今回のポイントはそこではありません。
本当に重要なのは“いかにして他社への流出を防ぐか”、この一点に尽きます。
慢性化する地方鉄道の運転士不足
地方鉄道ではここ数年、運転士の確保が大きな課題となっています。
退職や高齢化に加え、最近は大手鉄道会社が採用を再開したこともあり、若手人材がそちらへ流れてしまうケースが目立つようになりました。
特に運転士は、一度資格を取得すれば全国どこでも通用する職種です。
そのため、第三セクターやローカル私鉄が「人材育成機関」になってしまうという構図が生まれやすいのが現実です。
運転手不足で減便を行っている肥薩おれんじ鉄道では、春のダイヤ改正で一部列車の運行を再開しましたがそれでも厳しい状況が続いています。
また、わたらせ渓谷鐡道では、今年の春のダイヤ改正で減便を行いました。
育成するだけでは意味がない
肥薩おれんじ鉄道が今回、運転士養成に踏み切った背景には、減便や運休を避けたいという切実な事情があります。
地域の足としての役割を考えれば、列車を走らせ続けること自体が使命です。
ただし、単に養成を始めただけでは根本的な解決にはなりません。
- 免許取得後、数年で他社へ転職
- 常に人が足りない状態が続く
- 現場の負担が増し、さらに退職者が出る
こうした悪循環に陥ってしまえば、「養成=人材流出の入口」になってしまう恐れすらあります。
カギは“定着”をどう考えるか
今回の取り組みで注目したいのは、運転士をいかに定着させるかという視点です。
地方鉄道が大手と同じ待遇を用意するのは簡単ではありません。
それでも、
- 地域に根ざした働き方
- 生活と仕事のバランス
- 将来のキャリアの見通し
こうした点を丁寧に示していくことが、流出防止につながっていきます。
「この会社で、この地域で働き続けたい」と思えるかどうか。
そこが問われているように感じます。
地域鉄道全体に突きつけられた課題
今回の肥薩おれんじ鉄道の動きは、決して一社だけの問題ではありません。
全国の第三セクター鉄道、ローカル私鉄が同じ悩みを抱えています。
人を育てることは大切。
しかしそれ以上に、育てた人が残る仕組みを作れるかどうかが、これからの地方鉄道の明暗を分けそうです。
まとめ
観光列車やイベント列車が注目されがちですが、日常のダイヤを支えているのは現場の運転士です。
列車が当たり前に走る風景を守るためには、設備以上に「人」が欠かせません。
肥薩おれんじ鉄道の運転士養成は、
地方鉄道が生き残るための試金石になるのではないでしょうか。
今後、どこまで“定着”に踏み込んだ施策が打ち出されるのか。
引き続き注目していきたいところです。

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