一時期、伯備線(新見駅~米子駅)間の直通列車2往復に115系電車に代わりキハ120系が運行されたことがありました(2025年3月15日のダイヤ改正時点では115系電車(岡山G編成)が運行)。この区間は岡山県と鳥取県の県境区間であり、新見駅~生山駅の間で特に利用者が少なくなっており2両編成の115系G編成では、オーバースペックとなっています。
伯備線(新見駅~米子駅)の現状
伯備線(新見駅~米子駅)間の路線状況
- 区間 新見駅~米子駅 78.8キロメートル(ただし、伯耆大山駅~米子駅 4.8キロメートルは山陰本線)
- 駅数 17(ただし、米子駅・東山公園駅は山陰本線、布原駅は芸備線列車のみ停車)
- 電化 直流1,500ボルト
- 全区間単線
- 軌間 狭軌(1,067ミリメートル)
- 最高速度 新見駅~江尾駅 時速110キロメートル、江尾駅~伯耆大山駅 時速120キロメートル
1982年(昭和52年)7月1日に電化されて以来、普通列車は115系電車(一部の列車は気動車)で運行されてきました。なお、布原駅については当初から伯備線の列車は通過扱いとなっており芸備線の普通列車のみ停車扱いとなっています。
伯備線(新見駅~米子駅)間の列車本数
2025年3月15日ダイヤ改正時点の本数です。路線上の伯備線は、新見駅~伯耆大山駅の区間になりますが、実際の運行上は米子駅まで乗り入れていますので米子駅までとして扱います。ただし、山陰本線の列車は除きます。
- 下り(新見駅→米子駅)
新見駅~備中神代駅間 14本(伯備線8本、芸備線6本(内1本は快速))
備中神代駅~生山駅 8本
生山駅~米子駅 11本
- 上り(米子駅→新見駅)
米子駅~生山駅 11本
生山駅~新郷駅 8本
新郷駅~備中神代駅 9本
備中神代駅~新見駅 15本(伯備線9本、芸備線6本)
日常利用する範囲での最低限の本数で運行されているのが現状です。なお、伯備線の列車は、新見駅~米子駅の直通列車は8往復すべてが115系電車G編成(2両編成ワンマン)、上りの新郷駅~新見駅までの列車1本が115系D編成(3両編成)、生山駅~米子駅の列車がキハ121形(1両編成ワンマン)での運行となっています。また、芸備線の列車はキハ120形(1両編成ワンマン)です。
伯備線(新見駅~米子駅)間の利用実態
2023年度の新見駅~伯耆大山駅の輸送密度は2,933となっています。普通列車と特急列車の輸送密度が不明であるため普通列車の輸送密度は不明ですが、利用した感じであると300程度ではないかと思います。特に県境部分を含む新見駅から生山駅の区間では100を切っていると思われます。
この実態であるため一時期、新見駅から米子駅の間で運行される昼間の列車2往復にキハ120形が使用されたのではないかと思います。ただし、現況では115系G編成に戻っています。恐らく車両の運用の都合上キハ120形が使えないのでしょう。
キハ120形の状況の現状と変化
吹田総合車両所京都支所亀山派出所からの転属
2025年4月29日から30日にかけて、後藤総合車両所岡山気動車支所へ吹田総合車両所京都支所亀山派出所に所属していたキハ120形301と303の2両が転属してきました。現在のところ使用されているという情報は見かけませんので恐らく余剰車両となっていると思われます。今年の7月から芸備線の新見駅から備後落合駅間の試験増便に1本は利用されると思われます。
姫新線(津山駅~中国勝山駅)のキハ47形の運用
姫新線の津山駅~中国勝山駅では、朝の1往復だけキハ47形(2両編成)での運用があります。これを津山線のキハ120形で置き換え、津山駅~新見駅への直通とすることでキハ120形を2両を捻出することが可能ではないでしょうか。これにより亀山支所からの転属分と合わせて4両が確保できそうです。
美祢線運休によるキハ120系の余剰車の活用
2023年6月30日に発生した災害により現在美祢線は不通となっています。鉄道での復旧かBRTでの復旧かはまだ決定していませんが、鉄道で復旧する場合は厚狭川の工事も必要であるため10年以上かかるとされています。そこで新下関総合車両所新山口支所に所属するキハ120形7両については、最低でも10年は他で活用することが可能であると思われます。この3つにより11両が利用可能となります。
伯備線(新見駅~米子駅)をキハ120形で置き換えるには
必要な運用数は
今回の予想は、伯備線(新見駅~米子駅)の運用のみを置き換える前提で検討していますので、伯備線(岡山駅~新見駅)・山陰本線(米子駅~西出雲駅)については考えていません。岡山地区は227系電車で置き換え、山陰地区は残りのキハ120形で置き換えで対応できそうですが・・・。
さて、伯備線の時刻表を見てみると現在のダイヤでは、新見駅~米子駅間は4運用あれば運行することが可能なようです。朝の下りの3本の列車は通勤・通学需要が多いため2両編成で運行するとすれば115系電車2両からキハ120形に変更するとすれば7運用+予備1運用で大丈夫ではないかと思われます。キハ120形は11両あるため8両を伯備線用に回すことは可能であると思われます。
227系電車で置き換えないと考えたのは
- 現況の利用状況だと115系2両編成だとオーバースペックとなっていないか
青春18切符の時期以外に、伯備線の新見駅~米子駅の区間を乗車すると岡山駅発米子駅の始発列車でさえも新見駅~生山駅間の乗車率は好ましくなく終日2両編成はオーバースペックに感じられます。また、一時期昼間新見駅から米子駅の間の列車をキハ120形で置き換えた場合も大きな混乱はありませんでした。
また、キハ120形気動車は車両性能が高いため115系電車と置き換えてもダイヤ的に大きな問題は発生しないでしょう。
- ICOCAを新見駅~米子駅間の全ての駅に導入するか、227系を料金収受型のワンマンカーに改造して専用の運用につかせる必要がある
もう一つの理由はワンマン運転の関係です。伯備線の新見駅・生山駅・根雨駅・伯耆大山駅以外の駅では現在ICOCA利用はできず、車内収受型のワンマン運転が行われています。このため、227系で115系を置き換えるのであれば全ての駅にICOCA改札機を設置するか、227系R編成の車内収受型のワンマン化が必要となり改造車については運用を分ける必要が出てきます。どちらの対応も予算が必要となるので車内収受のワンマン運転が可能であるキハ120形の活用を考えました。
まとめ
伯備線の新見駅~米子駅間については、2026年のダイヤ改正においてキハ120形での運行に車両が変更される可能性が考えられます。12月のダイヤ改正の発表もしくはダイヤ改正後の時刻表を見てみないと分かりませんが注目してみたいと思います。私個人としては、せっかく電化しているので227系で運行してほしいですが客観的にみると少し厳しいような予感がしています。