最近、鉄道ニュースを追いかけていると、
「アクティビスト(物言う株主)」
「不動産価値に対して株価が安い」
といった言葉を目にする機会が増えてきました。
また、最近の報道で近鉄グループホールディングス・名古屋鉄道・京阪ホールディングスについてアクティビストが株式の1%以上を保有していることが判明しました。
正直なところ、少し前までは鉄道ファンの間ではあまり意識されてこなかった話題かもしれません。
しかし、この流れは今後の鉄道界の姿を大きく左右する可能性を秘めていると感じています。
今回は、岡山から鉄道を見てきた立場で、少し考えてみたいと思います。
鉄道会社は「不動産会社」と言われる理由
鉄道会社と聞くと、
- 列車
- ダイヤ
- 車両
を思い浮かべる方がほとんどだと思います。
ですが実際には、多くの鉄道会社は
- 駅前の一等地
- 駅ビルや商業施設
- 沿線の住宅地や開発用地
といった莫大な不動産資産を抱えています。
極端に言えば、
「鉄道会社は電車も走らせている不動産会社」
と表現されることもあるほどです。
それにもかかわらず、株式市場では
「不動産価値に比べて株価が安い」
と見られている会社が少なくありません。
ここにアクティビストの目が向いているわけです。
アクティビストは何を求めているのか
アクティビストの主張は、意外とシンプルです。
これだけの資産があるのに、
なぜ会社の価値(株価)が低いままなのか?
そのため彼らは、
- 不動産の売却や再開発
- 駅前開発のスピードアップ
- 株主還元の強化
- 資本効率の改善
といった提案を行います。
数字だけを見れば、確かに理屈は通っています。また、資本主義経済においてはある意味当然の発言でもあります。
しかし、鉄道会社は普通の企業ではない
ここで問題になるのが、
鉄道会社は公共インフラを担っている存在だという点です。また、鉄道会社は宅地開発と路線延長をセットで行ってきた歴史があります。
岡山でも、毎日の通勤・通学、
高齢者の移動、地域の生活を支えているのが鉄道です。
利益が出にくい路線であっても、
- 「必要だから走らせている」
- 「地域の足として守っている」
という側面があります。
もしアクティビストの論理だけが優先されれば、
「儲からない路線は縮小・廃止」
という話が、これまで以上に現実味を帯びてくるかもしれません。
これについては、日本独自の考え方があるのではないかと思います。外国の会社を親会社にもつ紀州鉄道での廃線の話題は典型的な例でしょう。
今後、鉄道界に起こりそうな変化
この流れから、次のような影響が考えられます。
① 駅前・沿線開発のさらなる重視
今後は、
「電車を走らせる」よりも
「駅でどう稼ぐか」
がますます重要になっていくでしょう。
駅ビル、ホテル、商業施設の強化はさらに進みそうです。これについては、今後人口が減少していき鉄道利用者が減少することを考えれば、会社の存続のためにある程度は必要な事ではあります。
② ローカル線はより厳しい立場に
不動産価値が乏しい地方路線は、
株主目線ではどうしても評価が低くなります。
自治体との連携や支援なしでは、
維持が難しくなるケースも増えそうです。特に、廃線のハードルがJRグループより低い私鉄では今後問題となってくるでしょう。
③ 経営判断のスピードアップ
株主からの目が厳しくなることで、
鉄道会社の経営判断は、これまで以上にスピードを求められるようになるかもしれません。
鉄道ブログ岡山からの正直な思い
個人的には、
アクティビストの指摘は「冷たい話」に聞こえる一方で、
鉄道会社が抱えてきた課題を浮き彫りにしているとも感じています。
鉄道を守るためには、
- どう不動産を活かすのか
- どう地域と共存するのか
- どう持続可能な経営にするのか
これまで以上に考えなければならない時代に入ったのだと思います。
まとめ
鉄道会社の不動産価値と株価のギャップ。
この問題は、決して投資家だけの話ではありません。
これからの鉄道は、
「走らせるだけ」では守れない時代に入っていくのかもしれません。
これから、6月に入ると大手企業の株主総会が開催されます。その中でどういった提案があるのか注目していきたいと思います。


