ついにこの時が来た…JR北海道「黄線区8路線」上下分離を提案へ

黄線区が廃線となると駅が消滅する網走駅 JR北海道

ついに、この話が公式の場に出てきました。
報道によるとJR北海道が、経営的に特に厳しいとされる「黄線区(黄色線区)8路線」について、上下分離方式の導入を自治体側に提案する方針を示しました。

「いつか来るとは思っていたけれど、やはり来たか……」
鉄道ファンなら、そんな思いを抱いた方も多いのではないでしょうか。

そもそも「黄線区」とは?

JR北海道では、線区ごとの経営状況を色分けして整理しています。

  • 黒線区:自立経営が可能
  • 黄線区:単独では厳しいが、工夫次第で存続の余地あり(輸送密度 200以上~2000未満)
  • 赤線区:抜本的な見直しが必要(輸送密度 200未満)

今回、上下分離が提案されるのは、このうちの「黄線区」8路線です。
赤線区ほど切迫していない一方で、
「このままでは長くはもたない」という位置づけにある路線群と言えます。なお、赤線区については2026年3月31日の留萌本線の廃線をもってすべて廃線となっています。

輸送密度とは?

輸送密度は「1kmあたり・1日平均の利用者数」を示す指標で、
鉄道では路線の将来を考える重要な基準のひとつになっています。


対象となる黄線区8路線

今回、上下分離の検討対象とされているのは、次の8路線です。なお、輸送密度は2024年度の数字です。

  • 釧網本線(東釧路駅~網走駅) 輸送密度 378
  • 根室本線花咲線(釧路駅~根室駅) 輸送密度 217
  • 石北本線(新旭川駅~網走駅) 輸送密度 新旭川駅~上川駅 843 上川駅~網走駅 627
  • 宗谷本線(名寄駅~稚内駅) 輸送密度 273
  • 富良野線(富良野駅~旭川駅) 輸送密度 1,304
  • 根室本線(滝川駅~富良野駅) 輸送密度 457
  • 室蘭本線(沼ノ端駅~岩見沢駅) 輸送密度 327
  • 日高本線(苫小牧駅~鵡川駅) 輸送密度 388

いずれも、

  • 利用者の減少
  • 除雪・保守など北海道特有の高コスト
  • 低密度輸送

といった共通の課題を抱えています。


「上下分離方式」ってどういう仕組み?

ここで改めて、上下分離方式を簡単に整理しておきます。

現在(上下一体)

  • JR北海道が
    • 線路・駅・橋梁の維持
    • 列車の運行
      をすべて負担

上下分離後(想定)

  • 下(インフラ):道や沿線自治体が保有・維持
  • 上(運行):JR北海道が列車を走らせる

つまり、
「線路は自治体、列車はJR」
という役割分担になります。

実際には、線路の管理等については専門的な技術が必要とされるため下の部分を運行を行う鉄道事業者が引き続き保有・維持を行い自治体は費用を負担する「みなし上下分離」を呼ばれる形態をとることが多いです。


なぜ今、この提案なのか?

背景には、避けて通れない事情があります。

JR北海道単独では限界

広大な路線網に対し、人口減少と自動車依存が進む北海道。
これまでの「企業努力」だけでは、黄線区の維持が難しくなっています。

国からの“期限”

国は、2027年度末までに黄線区の将来像を示すことをJR北海道に求めています。
今回の上下分離提案は、その回答のひとつとも言えそうです。


上下分離=即・安泰、ではない

ただし、上下分離は魔法の杖ではありません

  • 線路や橋の維持費は年間で数億円規模(大規模改修は、数十億円以上)
  • 財政規模の小さい自治体には大きな負担
  • 「鉄道を残す覚悟」が自治体側にも問われる

実際には、

  • 国の支援
  • 道(北海道)の関与
  • バス・BRTなどとの役割分担

といった複合的な議論が不可欠になります。しかし、現在の北海道は鉄道に対して積極的ではないため多くの関与につていは望むことは難しい状況にあります。


岡山から見ると、他人事ではない話

岡山から見ていると「北海道の話」に思えますが、
地方ローカル線を抱える地域にとって、これは決して他人事ではありません。特に、岡山県には路線の存廃の対象となる可能性のある路線が多数存在しています。

路線名区間輸送密度(2024年度)
芸備線備中神代~備後落合19
姫新線中国勝山~新見99
因美線東津山~智頭137
姫新線上月~津山387
姫新線津山~中国勝山725
  • 「上下分離は延命策なのか」
  • 「自治体が線路を持つ時代が本当に来るのか」
  • 「鉄道は“公共インフラ”として再定義されるのか」

JR北海道の動きは、全国のローカル線の未来を占う試金石になりそうです。


まとめ:ついに“選択”の段階へ

今回の上下分離提案は、
「廃線か存続か」という二択ではなく、
“どう残すのか”を考える段階に入ったことを意味しています。

楽な道ではありません。
それでも、何もせずに失われていくより、
議論のテーブルに鉄道を残したという点で、大きな転換点と言えるでしょう。

今後、沿線自治体がどう判断するのか。
そして、この流れが全国に広がるのか。
引き続き注目していきたいと思います。


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