JR北海道の釧網本線にある「美留和駅」について、JR北海道が地元の弟子屈町に駅の廃止を打診していることが分かりました。
美留和駅は1日の利用者がわずか2.8人。利用者の少ない駅の一つですが、かつては貨物の取り扱いが行われ、列車の行き違いができる交換駅でもありました。
現在は無人駅となり、駅舎には貨物列車で使用されていた車掌車を再利用した建物が残っています。
北海道新聞ホームページ
美留和駅に廃止の打診
北海道新聞によると、JR北海道は釧網本線の美留和駅について、地元の弟子屈町に廃止を打診しました。
現時点で廃止時期は決まっておらず、今後、弟子屈町との協議が行われるものとみられます。
美留和駅は釧網本線の川湯温泉駅と摩周駅の間にある駅です。
駅番号は「B65」。釧路方面から来ると川湯温泉駅の次、網走方面から来ると摩周駅の次に位置します。
釧網本線は、釧路駅から東釧路駅を経由して網走駅までを結ぶ全長166.2kmの路線です。JR北海道の資料によると、2020~2024年の5年間平均で、美留和駅の1日平均乗車人員は2.8人となっています。
「1日に3人にも満たない」という利用状況が、今回の廃止打診の背景にあると考えられます。
駅舎は貨物列車の「車掌車」を再利用
美留和駅の大きな特徴が、現在の駅舎です。
美留和駅では、かつて貨物列車などで使用されていた車掌車を再利用した駅舎が使われています。
いわゆる「貨車駅舎」「ダルマ駅」と呼ばれるタイプの駅で、北海道のローカル線ではかつて多く見られました。
美留和駅については、かつて木造の駅舎が存在していましたが、その後、貨車を利用した現在の駅舎となっています。
鉄道車両をそのまま駅舎として活用していることから、現在の美留和駅は釧網本線を訪れる鉄道ファンにとっても印象的な駅の一つです。
駅を訪れれば、現役の鉄道路線の中に、かつての貨物輸送を感じさせる車両が駅舎として残っている姿を見ることができます。
かつては貨物ホームや交換設備も
美留和駅は、1930年8月20日の釧網本線(当時は釧網線)弟子屈駅~川湯駅間の開業により営業が開始されました。
現在の美留和駅は単式ホームと1線の線路というシンプルな構造ですが、かつては現在とは大きく異なる姿をしていました。
美留和駅には、かつて千鳥式の2面2線のホームがあり、駅裏側には副本線、さらに駅舎横の網走側には貨物ホームと引き込み線が設けられていました。
つまり、美留和駅はかつて旅客列車が停車するだけの小さな駅ではありませんでした。
貨物を取り扱い、列車の行き違いも行うことができる駅として、地域の鉄道輸送を支えていたことが分かります。
しかし、時代とともに貨物輸送の役割は小さくなり、美留和駅では1979年に貨物の取り扱いが廃止されました。
その後、1984年には簡易委託駅となり、1992年には無人駅となっています。
現在の利用状況からは想像しにくいですが、かつては現在よりも駅として大きな役割を担っていたことになります。
釧網本線では利用者の少ない駅が並ぶ
美留和駅だけが特に利用者が少ないというわけではありません。
JR北海道が公表している2020~2024年の5年間平均を見ると、釧網本線には美留和駅のほかにも、1日平均乗車人員が数人程度の駅があります。
リンク:駅別乗車人員
例えば、札弦駅は3.2人、緑駅は5.4人、磯分内駅は5.7人、藻琴駅は7.3人、茅沼駅は3.2人などとなっています。
一方で、川湯温泉駅や摩周駅、知床斜里駅、標茶駅、網走駅など、比較的多くの利用者がいる駅もあります。
釧網本線は観光路線としての性格も強い一方、沿線住民の生活路線としての役割も持っています。
そのため、利用者が少ない駅をどう維持していくのかは、今後も沿線自治体にとって大きな課題となりそうです。
10月9日には、ノロッコ川湯温泉号が最後の通過
今年度で廃止される釧網本線のノロッコ号ですが、10月9日には「ノロッコ川湯温泉号」が釧路駅~川湯温泉駅で運転されます。
美留和駅は停車駅ではありませんが、ノロッコ号がこの駅を通過するのは最後となります。
JR北海道では2027年春に廃止が検討されている駅が他にもあります。
JR北海道では、近年駅の廃止が行われていますが2027年春にもいくつか駅の廃止が検討されています。
- 赤井川駅(函館本線)
- 栗丘駅(室蘭本線)
- 別当賀駅(花咲線・根室本線)
- 瑞穂駅(宗谷本線)
詳しくは、それぞれのページで取り上げています。
まとめ 「車掌車の駅舎」が残る美留和駅の今後に注目
JR北海道では、利用者が少ない駅について、地元自治体などと協議しながら駅の廃止を進めています。
美留和駅についても、今回の打診を受けて今後どのような協議が行われるのかが注目されます。
まだ廃止が決まったわけではありません。
ただ、1日の平均乗車人員が2.8人という利用状況に加え、駅を維持するための費用などを考えると、今後の協議は厳しいものになる可能性があります。
美留和駅には、現在では珍しくなった車掌車を利用した駅舎が残っています。
かつて貨物ホームや交換設備を備え、地域の鉄道輸送を支えていた駅が、現在では1日に数人が利用する無人駅となっています。
今回の廃止打診は、そんな美留和駅の長い歴史にとって大きな転機となりそうです。
今後、廃止時期など具体的な方針が決まれば、改めてお伝えします。



