東急大井町線「九品仏駅」名物ドアカット終了へ 西側踏切閉鎖・ホーム延伸で2029年度解消予定

九品仏駅踏切 東急電鉄

東急大井町線九品仏駅で長年続いている「ドアカット」が、2029年度を目途に終了する見通しとなりました。

世田谷区が公表した「九品仏駅前踏切の安全対策について」によると、駅西側(尾山台駅側)の踏切を閉鎖し、ホームを延伸することで、現在実施されているドアカットを解消する計画です。

鉄道ファンには全国的にも知られた「ドアカット」が、いよいよ歴史に幕を下ろすことになります。

東急大井町線九品仏駅前踏切の安全対策について

世田谷区ホームページ

九品仏駅で続く「ドアカット」

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ホームに収まらない大井町線の列車(九品仏駅)

九品仏駅はホームのすぐ先に踏切(九品仏1号踏切)があるため、5両編成の列車が停車すると最後尾車両の一部ドアがホームから外れてしまいます。

そのため、安全上の理由から該当するドアを開けない「ドアカット(ドア非扱い)」が行われています。

乗客はあらかじめ別のドアへ移動する必要があり、駅係員や車内放送でも繰り返し案内されるなど、東急線では珍しい運転方法として知られてきました。

かつては首都圏でもドアカットを実施する駅が複数存在しましたが、ホーム延伸や駅改良工事によって次々と解消され、現在では九品仏駅が代表的な存在となっています。

一般的にドアカットは、ホーム延伸や駅改良によって解消されるケースが多い一方、運転本数や編成両数の見直しによって終了した例もあります。岡山県のJR吉備線(桃太郎線)・備前三門駅では、かつて5両編成運転時にドアカットが行われていましたが、4両編成への減車により現在は実施されなくなりました。吉備線の場合は、利用者の多い岡山駅側の区間の岡山駅~備中高松駅の間に区間列車を設定することによりラッシュ時の輸送力を確保し減車を行いました。

ドアカットという運転方式自体が、少しずつ過去のものになりつつあることが分かります。

踏切を閉鎖してホームを約37メートル延伸

今回公表された計画では、思い切った方法で問題を解決します。

主な整備内容は次のとおりです。

  • 九品仏1号踏切(駅西側)を閉鎖
  • ホームを尾山台駅方向へ約37メートル延伸
  • ホーム幅を拡幅
  • 改札口を尾山台駅側へ約13メートル移設
  • 改札前広場を約24㎡から約60㎡へ拡大
  • 代替となる九品仏2号踏切の幅員を拡幅し、相互通行化

これらの整備によってホーム全体の有効長が確保され、6両編成すべてのドアを通常どおり扱えるようになります。

2029年度にドアカット解消へ

資料では工程も示されています。

2026年度に交通規制変更に向けた手続きを進め、2027年頃には踏切の切り替え工事を実施。その後ホーム延伸などを進め、2029年度にドアカットを解消する予定です。

さらに駅全体の安全対策工事は2030年度の完成を目指しています。

駅利用者にとっては利便性と安全性が向上するだけでなく、東急線の運行面でも大きな改善となりそうです。

2032年度のワンマン運転開始へ向けて

近年、首都圏の鉄道各社ではワンマン運転の拡大が進んでいます。

ドアカットは通常とは異なるドア操作が必要となるため、ワンマン運転との相性は決して良いとは言えません。

今回のホーム延伸によってドアカットが解消されれば、将来的な運行方式の変更にも対応しやすくなる可能性があります。

東急電鉄は、2026年度設備投資計画において大井町線で2032年度ワンマン運転の開始のための準備を進めることを示しています。

まとめ 「名物」の終わりは少し寂しい

鉄道ファンにとって九品仏駅は、数少ないドアカットが行われる駅として訪れる人も少なくありません。他の鉄道会社では、JR東日本横須賀線の「田浦駅」・嵯峨野観光鉄道「トロッコ嵐山駅」・東武伊勢崎線(スカイツリーライン)浅草駅が知られいます。

ホームで「このドアは開きません」という放送を聞き、実際に最後尾だけドアが開かない光景は、今では珍しい鉄道風景となっています。

一方で、利用者の立場から見れば、すべてのドアから乗り降りできるようになることは大きなメリットです。ホームも広くなり、改札前の混雑緩和や踏切の安全性向上も期待されています。

鉄道には時代とともに姿を変えていく設備が数多くあります。

九品仏駅のドアカットも、長年親しまれてきた「名物」として記憶に残りながら、安全で使いやすい駅へと生まれ変わっていくことになりそうです。2029年度まであと数年ありますが、現在の姿を見られる時間も少しずつ限られてきました。鉄道ファンにとっては、今のうちに記録しておきたい駅の一つとなりそうです。

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