JR北海道は、単独では維持が困難としている「黄線区」8路線を応援する取り組みとして、「応援自動販売機」を設置すると発表しました。
自動販売機の売上の一部を黄線区の利用促進活動などに活用することで、沿線地域や利用者に路線の現状を知ってもらい、応援につなげる狙いがあります。
~飲料の購入で地域の鉄道を元気に~
JR北海道ホームページ
黄8線区に『応援自動販売機』を設置します!
「黄線区」とは?
JR北海道では2016年に、利用状況が厳しく単独では維持が困難な線区を公表しました。これらの路線では、人口減少や自動車利用の普及などにより利用者減少が続いています。その際に、輸送密度をもとに、次の3つに分類しました。
- 黒線区:自立経営が可能
- 黄線区:単独では厳しいが、工夫次第で存続の余地あり(輸送密度 200以上~2000未満)
- 赤線区:抜本的な見直しが必要(輸送密度 200未満)
このうち、赤線区については2026年3月31日の「留萌本線」廃線により全路線が廃線となりました。
次に、JR北海道単独での維持が困難とされる黄線区について上下分離による経営継続について地元自治体との協議に入る意向を示していましたが、自治体の反対もあり現在話し合いは通団している状況です。
現在も沿線自治体や北海道、JR北海道が利用促進策や経費削減に取り組んでいますが、収支改善は依然として厳しい状況です。JR北海道自身も「抜本的な収支改善には至らず、黄8線区の収支は依然として厳しい」としています。
JR北海道は、2025年度の全路線の状況を発表していますが、黄線区は厳しい状況にあり2024年度よりも状況は悪化しています。
「応援自動販売機」が設置されるのは?
実際に、「応援自動販売機」が設置されるのは次の8路線にある駅となっています。青字で書いてある駅は、「ラッピング自販機」設置駅です。
| 路線 | 駅 | 台数 |
| 釧網線応援自販機 | 釧路(7)・釧路湿原(1)・知床斜里(1)・網走(4) | 13 |
| 花咲線応援自販機 | 根室(2)・厚岸(1) | 3 |
| 富良野線応援自販機 | 旭川(11)・西御料(1)・美瑛(1)・上富良野(1)・中富良野(1)・富良野(3) | 18 |
| 石北線応援自販機 | 北見(5)・新旭川(1)・上川(1)・遠軽(2)・留辺蘂(1)・美幌(1)・女満別(1) | 12 |
| 宗谷線応援自販機 | 名寄(2)・稚内(1)・南稚内(2)・幌延(1)・豊富(1)・音威子府(1) | 8 |
| 根室線応援自販機 | 滝川(4)・芦別(1) | 5 |
| 室蘭線応援自販機 | 岩見沢(5)・追分(1) | 6 |
| 日高線応援自販機 | 苫小牧(5) | 5 |
ただし「根本的な解決」にはならない
一方で、この取り組みだけで黄線区の厳しい経営状況が大きく変わるわけではありません。
自動販売機による収益は、鉄道路線の年間維持費と比較すると限定的なものになるでしょう。
地方ローカル線が抱える問題は、
- 沿線人口の減少
- 通学利用者の減少
- 自動車への移行
- 設備維持費や人件費の増加
など、構造的な問題があります。
そのため、本当に路線を維持していくためには、利用者を増やす取り組みだけでなく、地域交通全体としてどのような形が望ましいのか議論していく必要があります。
JR北海道から自治体への「協力のお願い」でもある?
今回の応援自動販売機は、単に飲料販売による収益確保を目的としたものではありません。
JR北海道は今後、自治体などにも協力を呼びかけ、設置箇所を増やしていく方針を示しています。
これは、JR北海道が自社だけで取り組むのではなく、沿線自治体や地域と一緒になって黄線区を支えていきたいというメッセージとも受け取れます。
もちろん、自動販売機の売上だけでローカル線の経営問題を解決することはできません。
しかし、JR北海道が「自分たちにできる取り組み」を示したうえで、自治体側にも「地域の鉄道を支える取り組みに参加してほしい」とボールを投げた形とも言えるのではないでしょうか。
それでも「知ってもらう」ことには意味がある
ただし、今回の取り組みを「意味がない」と見るのも適切ではありません。
ローカル線の維持には、まず多くの人に現状を知ってもらうことが重要です。
普段鉄道を利用しない人が、自動販売機をきっかけに黄線区の存在を知り、実際に沿線を訪れる可能性もあります。
また、鉄道旅行の目的地として沿線地域を選ぶ人が増えれば、利用促進にもつながります。
JR北海道では、黄線区沿線への誘客促進や周遊促進の取り組みも進めています。
まとめ
岡山県内でも、利用者減少により将来のあり方が議論されるローカル線があります。
北海道ほど規模の大きな問題ではありませんが、「利用者が減少する中で、地域の足をどう守るか」という課題は全国共通です。
今回の「応援自動販売機」は、鉄道を直接支える大きな収益源になるものではありません。
しかし、地域の鉄道に関心を持つ人を増やす第一歩としては意味のある取り組みではないでしょうか。
岡山県と広島県をつなぐJR芸備線は、現在バスによる実証実験が行われています。

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