JR北海道が黄線区8線区の「上下分離」を撤回 今後は国・北海道を交えた協議へ

富良野線美馬牛駅とH100系DECMO JR北海道

JR北海道が単独では維持困難としている「黄線区」8線区をめぐり、大きな動きがありました。

2026年4月にJR北海道が示した「上下分離方式」について、JR北海道が撤回する方針を沿線自治体に伝えたことが分かりました。

前日に当ブログでも、JR北海道が黄線区について国と北海道に調整役を求める動きを紹介しましたが、今回はその続報です。

JR北海道「上下分離方式案」撤回を沿線自治体に伝える 単独維持困難の「黄線区8区間」経営改善めぐり

HTB北海道ニュース

(2026年9月16日15:00追記)JR北海道より今後の黄線区の協議の進め方についてプレスリリースが出されました。

リンク:【社長会見】黄8線区の協議について

JR北海道は4月に「上下分離方式」を提案

JR北海道の黄線区をめぐっては、2026年4月、JR北海道が今後も鉄道を維持していくための仕組みとして「上下分離方式」などを示しました。

黄線区に分類されているのは、次の8線区です。

  • 釧網本線(東釧路~網走)
  • 富良野線(富良野~旭川)
  • 花咲線(釧路~根室)
  • 根室本線(滝川~富良野)
  • 石北本線(新旭川~網走)
  • 室蘭本線(沼ノ端~岩見沢)
  • 宗谷本線(名寄~稚内)
  • 日高本線(苫小牧~鵡川)

上下分離方式とは、鉄道の運行と鉄道施設の保有・維持管理を分ける仕組みです。

この時のJR北海道の案では、JR北海道が列車の運行を担う一方、線路や駅、除雪などの設備については自治体などが担うことが想定されていました。

しかし、自治体側にとっては新たな財政負担につながるため、反発や慎重論が相次ぎ、協議は事実上見送られていました。

4月にJR北海道が上下分離方式を軸に協議入りする考えを示した際にも、北海道の鈴木直道知事は「上下分離方式ありきではなく、さまざまな方策で議論することが重要」との考えを示していました。

「上下分離方式」を議論の対象から外す

今回、JR北海道は沿線自治体に対し、この上下分離方式を撤回する方針を伝えたとされています。

つまり、4月に示された案をそのまま自治体に受け入れてもらうことは難しく、いったん議論の対象から外すことになりました。

ただし、これは黄線区の維持問題そのものが解決したという意味ではありません。

JR北海道は黄線区について、依然として単独での維持が困難な状況にあるとしています。

2025年度の黄線区8区間の赤字額は約156億円で、前年から約8億円悪化しています。

今度は国と北海道が調整役に

前日の記事でも紹介したように、JR北海道は黄線区の今後について、国と北海道に調整役を求める意向です。

JR北海道は国土交通省と北海道に対し、自治体との調整を担うよう求める方向で、国・北海道・JR北海道・沿線自治体などが参加する協議の場を設けることを目指しています。

HTBによると、上下分離方式は議論の対象から外した上で、10月には初会合が開かれる見通しです。

これまでJR北海道と沿線自治体を中心に進められてきた議論に、国と北海道が本格的に加わることになります。

「上下分離を撤回=黄線区8線区の存続決定」ではない

今回のニュースで注意したいのは、上下分離方式の撤回と黄線区の存続問題を混同しないことです。

今回撤回されたのは、あくまでJR北海道が2026年4月に示した「上下分離方式」という一つの案です。

黄線区8線区について、JR北海道が単独では維持困難としている状況そのものが変わったわけではありません。

黄線区の枠組み自体が変わる可能性も

さらに気になるのが、8線区の中でも特に輸送密度が低い花咲線(根室本線 釧路~根室間)です。

JR北海道が公表した2025年度の輸送密度では、花咲線(釧路~根室間)は201人となりました。2024年度の217人からさらに減少し、「黄色線区」の基準とされる200人にあと1人まで迫っています。

当ブログでも先日、減便や東根室駅の廃止などが花咲線の利用状況にどのような影響を与えたのかを取り上げました。

もし今後、花咲線の輸送密度が200人を下回れば、現在の「輸送密度200人以上2,000人未満」という黄色線区の区分から外れる可能性があります。

もちろん、輸送密度が200人を下回った時点で「赤線区」となり、直ちに廃止が決まるという意味ではありません。しかし、現在の黄線区8線区という枠組み自体が変わる可能性があることには注意が必要です。

つまり、今回の上下分離方式の撤回によって「黄線区8線区が存続することになった」と考えるのは早いでしょう。

今後は、国・北海道・JR北海道・沿線自治体による協議とともに、各線区の利用状況がどう推移するのかも重要になりそうです。

自治体だけに負担を求める形から転換へ

今回の動きで興味深いのは、議論の舞台が変わりつつあることです。

4月の段階では、JR北海道が沿線自治体などに対して上下分離方式を提示するという形でした。

ところが、自治体側から強い反対や慎重論が出たことで、その案は撤回。

今度は国と北海道にも調整役を求め、関係者が参加する協議の場を設ける方向になりました。

北海道の鉄道を維持するために、JR北海道だけ、あるいは沿線自治体だけが負担するのではなく、国や北海道を含めてどのような仕組みを作るのかが大きな課題になりそうです。

2027年3月の期限に向けて

JR北海道の黄線区については、国から2027年3月を期限として「抜本的な経営改善策」の提出を求められています。

その期限まで半年あまりとなる中で、4月に示した上下分離方式は撤回され、10月にも新たな協議が始まる見通しとなりました。

今回の決定によって黄線区の方向性が決まったわけではありません。

むしろ、上下分離方式という具体的な案をいったん取り下げ、国・北海道・JR北海道・沿線自治体が改めて議論する段階に入ったと見ることができそうです。

前日に紹介した「国と北海道に調整役を求める」という動きと合わせて考えると、JR北海道の黄線区問題は新しい段階に入ったと言えそうです。

今後、10月に予定される協議の場でどのような案が示されるのか、引き続き注目したいところです。

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